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2020年10月29日

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

格闘技――人が人に対して行うもので、最強の攻撃

まず有名なものが、眼球に対する目突きと、睾丸に対する金的蹴りだろう。

格闘漫画であるグラップラー刃牙や続編のバキや範馬刃牙などにより世の中に浸透するようになったが、逆にいえばえげつない行為であり、技術的なものを疑問視する声もあるという。

続いて、倒れている相手に対する、踵蹴り。

ただですら足で行う蹴りというものは、腕の3倍のパワーを秘めている上に、真下におろすために重力の加速もあり、さらに踵という足の中でも強固にして尖った箇所。

そして狙いは顔面の為、決まった場合はそれこそ生死に関わる。

さらには、膝関節に対して正面から行う関節蹴り。
決まれば一発で関節がひっくり返り、戦闘不能に陥るだろう。

鼻の下にある人中というツボに入れば、人は死に至る。

格闘漫画ではよくそこを撃ち抜くシーンなどが描かれているが、そのツボはあまりに小さいため、指1本でしか狙うことができず、基本的には現実的な攻撃とはいえないかもしれない。

そして今回の焦点となる攻撃が、掴んでの膝蹴りである。

今回いわゆるムエタイでは基本中の基本にして奥義ともいわれる、首相撲。

そこからの膝蹴りなど、一般的すぎて、大げさに思われるかもしれない。

デカい相手に捕まれての膝蹴り

しかし、最強たるには、いわゆる条件がある。

自分より体格が上回る相手に、完全にロックされた形で掴まれてしまった状態からの、膝蹴り。

自分よりデカい相手に捕まり、その場合だいたいは腕力も上で、結果的に完全に重心と体幹をコントロールされて、延々と膝蹴りを打たれてしまったら、もはや反撃も防御も無意味となる。

いわゆるその理想を実現させたのが、このディーゼルノイ・チョー・タナスカである。

資料がそれほど残ってないので大量の試合を検証したというわけでは無いのだが、私が拝見した試合では、いくつかのミドルキックやハイキックなどは放っていたが、基本的にはそれは繋ぎで、そのまま首相撲に持ち込んでの膝蹴りに持ち込んでいた。

それもそんじょそこらの首相撲からの膝蹴りではない。

まるで万引きのようにがっちりロックして、凄まじい勢いで引き込み、鋭角に膝蹴りを突き刺し続けるという、それこそえげつないものだ。

相手はその洗練された流れと、あまりにも恵まれた体格に対抗できずに毎回その展開に持ち込まれ、その凄まじい威力の膝蹴りを腕でブロックすることしかできず、たまに返すパンチも腰も体重も入らずまるで意味をなさない。

そしてラウンドが進むにつれて、徐々に相手のガードにも隙が生まれていき、そしてかすかに開いたそこに膝蹴りを打ち込むと、

たった一発。

そのたった一発で、あばらがへし折られたのか、内臓にまで響いたか、あいつは悶絶し、マットに崩れ落ちる。

そして立ち上がっても、ガードを下げざるを得ないので、そこに無慈悲な顔面への膝蹴りが打ち込まれ、そこで試合は終わりを告げる。

実戦的ゆえのエンタテイメント性との兼ね合いの難しさ

まるで巻き戻しのような同じ展開、そういった試合しかなかった。

それをやっている者、見ている者はどう感じていたのか。
別の格闘技の猛者と戦っている場合は大変な盛り上がりだったが、実際平時のスタジアムではどうたったのか。

結果としてディーゼルノイは強すぎて、あまりにも圧倒的に勝ちすぎて、賭けも成立しなくなり、最終的に相手がいなくなり、わずか24歳の若さで引退したという。

あまりにも原始的かつ実践的なその戦いは、K-1などではもちろん敬遠されるだろうし、実際ブアカーオが出てきて首相撲も禁止されたし、さらには他の格闘技もエンタメ性が求められることから、やはり活躍の場を外に探す事は難しかったかもしれない。

もしかしたらそれは、UFCなどの総合格闘技などのジャンルならば、適応できた可能性もあるのかもしれない。

ただ1つ、自分の特性を理解し、人との戦いというものを解析し、そして必要なものを取捨選択し、ただそれだけに特化する。

原始の、大山倍達がいったような本当の人と人の戦いの、その原点を見たような、彼の試合を見た後はそのような感覚に陥る。

不遇の最強戦士、彼が現代に現れたらどのような戦いを演じたのか、今は想像することしかできないのが残念でならない。

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