ムエタイ幻想の正体〜時流が作った革新派スタイルを解剖

2024年4月11日

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前傾・大振りがなぜ可能なのか?

パンチの概念の変革

では早速、そのカラクリについて話していきたいと思います。

まず先に述べた通り、ムエタイは防御偏重主義の格闘技です。
大事なのが、ダメージなし、たくさん試合ができる、相手があって自分が生活できる、まずそこです。

しかし、そんな彼らが、ダメージをたくさん与えて、さらにはKOなんてしたらすごくお金をたくさんもらえる、そういった世界に飛び込むわけです。

そんな中で、何よりもネックになる技があります。

パンチです。

パンチと言うものは、格闘技、ひいては暴力の原点であり、最も原始的、かつ、中心にあるものです。

現在は極真空手においても、パンチの技術革新が起こり、それについていけないものは完全に置いていかれる状況になります。

しかし、それ故ムエタイではパンチがある意味ご法度であり、その技術が、アヌワット・ゲーオサムリットなどの一部の選手を除いて、培われて来ませんでした。

そしてそれゆえに、K-1や、そういった肘打ち、首相撲が禁止、もしくはポイントが低い舞台では勝てない状況が続きました。

前回述べた技術革新は、それに一石を投じるものです。

格闘技のセオリーの話をしますが、極端な話をすれば、前進する相手に後退しながら勝つ事は大変難しいものです。

当然ですが、打撃と言うものは相手に向かって、相手に体重をかけて行うもの。
後退していれば、いちいちシフトウェイトをしなければなりませんし、相手に間合いのコントロールを許すことになります。

だが無理に前進すればカウンターの餌食になったり、ステップワークに振り回されたりすることもあります。

しかしここで、ムエタイ400年とも500年ともいわれる歴史が火を吹きます。

ムエタイはフェイントに引っ掛かりやすい

ムエタイ選手は、フェイントに引っかかりやすいといいます。あまり反応が良すぎることを揶揄した言葉です。

つまり、彼らのディフェンステクニックは表面上のものではなく、体に染み付いているものです。

つまり彼らは前進しても、パンチを振り回しても、相手に攻撃された際、瞬間的に顎をひいたり、体をずらしたり、ガードしたり、そういったことができる――というか体が反応してしまうのです。

だからムエタイ選手に限って言えば、普通のセオリーが通じず、ある意味攻撃だけに絞って戦うことができるのです。

では実際彼らはどのようにして考えて戦っているか、パンチの打ち方や攻撃の組み立てはどういう風になっているか?

そのスタイルがもたらす恩恵と弱点、序盤編

狙いはフック

前のめりで、まるで子供の喧嘩のように大振りのパンチを振り回しているようで、そこには実は綿密な計算があります。

まず彼らの狙いは、基本的にフックです。

既にご存知の方も多いと思いますが、ボクシングを中心としたパンチをメインとする格闘技の場合は、1番の狙いは利き腕のストレートです。

基本的には右ストレートになります。これが1番破壊力があり、そして正確に顎を狙い打ちぬくことができるので、基本的にはそれを最終的に狙ったファイト構成になることが多いです。

ではなぜムエタイではフックなのかと言うと、右ストレートを打つためにはスイングバック、要はためが必要になります。

しかし彼らは前進と言うアドバンテージを取るために、振りかぶることができません。

ですから必然、右ストレートは選択肢から外れてきます。
そしてアッパーを打つと体が浮いてしまうので、それもなくなります。

ですので彼らは基本的に一見して前のめりで、大振りのフックを振り回すのです。

そして若干前傾で振り回すことで、体が浮かないので、さらにしっかり顎を引くことによって、相手からの攻撃をしっかり防ぐことにつながっています。

反撃の一手はなにが有効か?

前のめりですので、ボディーは狙いにくくなります。
奥のほうになりますので、そこに到達するまでにムエタイの超反応によって基本的には捌けます。

ある意味で1番の問題はローキックですね。

セクサンなども、前半の攻防でローキックを効かされていることがたまに散見されます。
前傾してしっかりが体重が乗って、ある程度足に力が入っているといっても、そこを思いっきり蹴られれば、やはり基本的には効かされる可能性があります。

そして上段への攻撃も、ある程度はさばけるといっても、やはり多少は顔面や、ときにはこめかみに一撃をもらうこともあります。

ときには腹にも、前蹴りや三日月切りなどを、カウンターで食ってしまうこともあります。

しかし倒れるまでには至りません。

そしてなぜか時間が経つにつれペースはムエタイよりになり、最終的には相手が押し込まれてしまうケースが多々見られます。

それはなぜなのか?

そのスタイルがもたらす恩恵と弱点、中・後半戦編

犠牲を強いる戦い

前提として、この戦い方は前半でかなりの犠牲を強いります。

前回も述べたように、中距離の蹴りの餌食になりやすいですし、カウンターのパンチも浴びやすいです。
そしてローキックはカットが難しいので基本的にもらいたい放題。

実際に最近武居由樹と戦ったスリヤンレックという選手も、1ラウンドは相当なダメージを負いました。

しかしこの戦い方は、その真価を発揮するのは中・後半戦。

ムエタイ以外の選手がこれをやれば早々に倒されておしまいでしょうが、今まで述べたようにムエタイの選手は長年の歴史が培った超反応と超絶防御テクニックがあります。

それによってしのいでしのいでしのげば、基本的にはカウンターや、中間距離の蹴りといったものは、基本的にはそれ一本で試合を構成できるものではありません。
野球で例えるならば、それは変化球やフォーク、シンカーのようなもの。

基本的には相手の嘘をつくものであり、どこまでもストレートがしっかりしていなければ成り立つものではありません。

仕留め切らなければ、押し切られる

カウンターパンチャー、7色の蹴り持っているものにとっては舌なめずりしそうなほどに格好の的に思えますが。

仕留めきれなければ、ダメージをしっかりと与えられなければ、後に残るのは、相手にとって猛烈なパンチやローキック、膝・肘を打ち込める、絶好の間合いと位置取りと重心。

蹴りやカウンターを狙えば、どうしても重心が後ろになります。
それも1ランド以上かけて培われたものは、そうやすやすと変える事は難しい。

前半のダメージやリスクと引き換えに、後は一方的に野球でいうストレートを投げ続けることができるポジションをずっとキープすることができるのです。

これがムエタイが最近、ムエタイ以外の特別ルールにおいても勝ち始めている原因、対策の1つです。

そして次回からはオーソドックスなムエタイルールでのオーソドックスなムエタイスタイルでの攻略法、そして今回の新スタイルでのムエタイの攻略法、それらの研究を進めていきたいと思います。

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