WBSS決勝 井上尚弥vsノニト・ドネア 史上最高舞台のテーマは、互いが持つ一撃必殺の”三つ”の武器!!

2019年11月10日

WBSS決勝、ノニト・ドネアvs井上尚弥。

試合直前、両雄が並び立つ姿を見て、私は信じられない想いを抱えていた。

これほどの試合を、この瞬間に迎えることができるなんて。

それほどこの試合は、ハイレベルになることが予想できて、かつ、劇的で偶発的で奇跡的な様相を帯びていた。

まさしく小説の、クライマックスシーンのそれだった。

ゴングが鳴って、普通に試合が始まったことが信じられない位だった。

序盤、井上尚弥は左ジャブをボディー。これはいわゆる威嚇だろう。

ドネアはオーソドックスに左ジャブ、そのスピードと正確さは、オタクくさくて申し訳ないがはじめの一歩でいうリカルドマルチネスを彷仏とさせるような完成度を思わせた。

今回は12ラウンドと言う長丁場のため、端的に語らせてもらう。

今回の、この史上稀に見る超決戦のテーマは、3つの武器だ。

通常、どんなボクサーでも、大体勝ちパターンというか、倒せる技は大体が1つだ。わかりやすいので言わせてもらうが、村田涼太の右ストレートがその代表格だろう。長谷川穂積なんかは左右のストレートの連打。

しかしこの2人は、驚くべきことに3つもの倒せるパンチを備えていた。

井上尚弥は、左フック、右ストレート、左ボディフックだ。

ドネアは、クロスカウンターの左フック、肩で角度を変えた左フック、フック気味の右ストレート。

その結果が、勝敗を分けた。

まず炸裂したのが、ドネアの肩で角度をつけた左フックだ。それによって井上尚弥はおそらくはボディーだと勘違いして、まともに鼻っ柱にもらってしまった。

結果として右の瞼と、鼻から出血。これはかなりのアドバンテージを握られたことになる。

続いて炸裂したのが、井上尚弥の右ストレート。それがドネアの左フックをかいくぐる形でまともに入って、ドネアは大きく体勢を崩した。

次が、ドネアのフック気味の右ストレート。これによって井上尚弥は、史上初めてと思えるほど効かされてしまい、足元がおぼつかなくなり、初めてドネアにクリンチを試みると言う事態に陥った。

私は正直、これで終わったと思った。それほどの、深いダメージだった。

だが井上尚弥はそこを乗り切り、そして運命の11ラウンド。


井上尚弥の18番、右アッパーからの左ボディーフックが爆発した。

ドネアは、ダウンした。個人的にはノックアウトじゃないかってくらい、カウント10いってた気がするくらい、それは深い深いダメージだった。

ここで私は終わったと思った。井上尚弥の追撃は半端じゃない。畳み掛けてたたみかけて、ドネアはボディーでマットに沈むと思っていた。

しかしそこで、ドネアのクロスカウンターのフックが火を噴いた。井上尚弥がのけぞる。ここが、超一流が超一流たる所以だろう。不用意な追撃などできない、許さない。

結果、判定は12ラウンドまでもつれ込んだ。

クリンチしなければしのげないほどのダメージまで与えたか。

それすらも許さないほどのダメージで、マットに這いつくばらせたか。

倒す武器を3つも持っていると言う事実、そして追撃を許さないカウンター、ディフェンステクニックを持っていると言う条件。

間違いなく歴史に名を残す、超絶技巧のそれは激突だった。

よくぞ差をつけて、生き残って、出血にも耐えて、歴史に名を残した、井上尚弥。

私は君を心から尊敬して、これからも勉強させてもらって、これからのさらなる飛躍を祈らせてもらう。
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