堀口恭司vs朝倉海 世紀の番狂わせは、勝負の機微、奥深さ、難しさ、恐ろしさ、すべてが学べる真剣勝負

2019年10月11日

正直散々今回の記事を書く書く言っておいて、いざ結果が出たらどうしようか少し迷ってしまった。

私はもう無茶苦茶ミーハーな堀口恭司ファンだ。だから彼が負けた試合の記事を書くのは、正直心苦しい。

けれども、今回の試合、ラッキーパンチや彼が圧倒的に弱かったわけではないと言うことを世間の方々に納得というか理解を求めるという意味も込めて、やはり筆を取ろうと思う。

まず率直に気になったのは、堀口恭司の顔に余裕がなかったことだ。

普段からへらへら笑っているわけではないが、いつも彼はどこかその空気感を楽しんでいた。

しかし今回、どこか張り詰めているものを感じた。顔色が青い。目が輝いていない。

自分で、追い込んでしまった感があるのだろう。この試合は受ける意味は無い。堀口恭司側に旨味は全くない。

個人的な感想だが、おそらく彼は、これを受けることによって自分の超人的な印象をさらに高めようとしたのではないか?

これは男が男に惚れる、本当に男気あふれる男だからこそ、それは十分に考えられると思う。実際本当にかっこいい。

その結果、早い段階でKOをしなければいけない状況になってしまったのではないか?

すべては私の憶測に過ぎない。

試合が始まった。





違和感はすぐに起きた。堀口恭司が、最も得意とする大きなローキックを使わない。やたらと前傾して、大きな壱発を狙っている。

直線的すぎる。いつもの、いくつもの伏線を張り、本人が言っていたような詰め将棋のように相手を絡め取り、劇的な結末に導く、あの老獪な駆け引きが見られない。

対して朝倉海は、自分から飛び込んでいかない。明らかに、待っている。自分を知っている。闇雲に飛び込めば、撃墜されることをわかっている。

朝倉海は覚悟していたのだろう。自分が噛ませ犬であることを。相手がねじ伏せくること。その上で、ただ壱発、その壱発に欠けていたのだろう。

お互いの狙い、思惑が、完全に朝倉海のほうに合致してしまった瞬間だった。

途中放った膝蹴りも、重心は残してある。狙いはあくまで、パンチ壱発。そして堀口恭司が、その時点でおそらくそれに気づいていない。

堀口恭司は、いつもの堀口恭司ではなく、

朝倉海も、いつもの朝倉海ではなかった。


そして狙うのは、堀口恭司の中でもかなりモーションの大きい、オーバーハンドの右。

膝蹴りの後前後に揺さぶり、その間合いで堀口恭司が繰り出すと予想し、そして朝倉海は一瞬だけ肘を引いて突き出すショートの強烈な右ストレートをそのあごに、ライトクロスの形で叩き込んだ。

こんなの食らって倒れないやつはいない。私の瞳には、それは一瞬のレーザービームにすら映った。それほどの、閃光のような一撃。

だけど堀口恭司は倒れなかった。信じられない。ほんとにこの男は超人だ。そして、自分の信念を曲げない男だ。

だけどそこまでだった。朝倉海の追撃も完璧だった。小さく細かく追い詰めて、大きなフックから膝蹴りを放ち、そしてとどめは同じくショートのフック気味な右ストレート。

堀口恭司以外がくらったら、おそらくは失神しているであろうダメージ。

ふと、ハンターハンターの言葉を思い出していた。





強さにはマックスとミニマムがあり、強いやつでもミニマムの時に弱い奴のマックスに当たったら、負ける。

今回の試合、自分としては心苦しさもあるが、正直ショックは全くない。

こういうことも訪れる。

このレベルになれば、実力の差はそれほど逼迫している。壱発で倒せると言うのはそれだけ大きい。

特に朝倉海は白筋タイプの中でも、特に瞬発力がケタ外れな選手だ。それが研ぎ澄まされれば、それは一振りの刃と言っていい。

私はこの1戦、ミルコクロコップのPRIDEグランプリ1回戦の、ケビンランデルマン戦を思い出していた。

彼もやはり人間、いつの間にかどつぼにはまり、自らでどうしようもできないプレッシャーを作り、そこに絡めとられてしまった。

私はそれが、実は少し嬉しい。彼は誰も理解できない超人ではない、人間だったのだ。

この敗戦で、彼への評価が変わる事は無い。彼は試合後、丸椅子に座りながら試合のVTR再生を目で追っていた。彼は既に今回の修正、次へと向かっている。

だからこそむしろ次の試合、10月が楽しみでならない。

朝倉海のこれからの飛躍と、そして我らがヒーロー堀口恭司の今まで以上の大復活を心から願う。
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