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”悪魔王子” バダ・ハリ ~K-1史上最強の四人

2021年7月23日

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

最恐巨神兵をK.O

彼を語る上でわかりやすいのはあの最強巨神兵であるセーム・シュルトの全盛期に、唯一KO勝ちしているという点だろう。

彼はK-1の中でも、瞬発力、そして切れ味という意味では、トップに近いところにいるのではないかと考えている。

グランプリの歴史の中でも、最強クラスの人間たちが揃った、K-1GP2009決勝大会。

そこで前回紹介した”デモリションマン”、アリスター・オーフレイムが猛威をふるっていた。

その圧倒的なパワー、恐るべきスピード、ムエタイ仕込みのテクニック。

まさに無人の野を行く活躍。

実際その次の年の2010では誰も止めることができずに圧倒的な力で優勝を決めている。

2009年度でも、準々決勝で当時極真空手世界チャンピオンとなったエウェルトン・テイシェイラを相手に、たった2発、ボディーへと一発からの顔面への膝蹴り、それだけでマットに沈めてしまったほどだ。

まさに史上最強の外敵、そのままK-1は総合格闘技からの脅威に飲み込まれてしまうかと思われていた。

しかし、バダ・ハリがいた。

史上最強の外敵を粉砕

1回戦のルスラン・カラエフ戦は開始直後から猛烈なプレッシャーをかけてくるカラエフ相手に超ショートのフックを合わせ、そのあと右ストレートをぶち込み、わずか38秒パンチで仕留め、その勢いを証明し、迎えた準決勝。

皆、間違いなくこの試合が大きなターニングポイントになると、そして流れとしてはアリスターオーフレイムが有利だと考えていた。

まるで岩のようにガードを固めて前に進むアリスター・オーフレイムを、見守る誰もがどういう風に攻略したらいいのか、と頭を抱えたに違いない。

全身鎧のような筋肉を纏い、その上でガードが固いのだから、どうしようもないだろうと。

しかもバダ・ハリは確かに瞬発力やスピードは特筆すべきものがあるが、しかし打たれず強いわけではないのはその前年末に行われた同じくアリスターオーフレームとの戦いでパンチによるKO負けを喫していることでもある意味証明されている。

そんなバダ・ハリは開始早々からそのスピーディーなパンチで攻め立てるが、すべてカードの上。

やはり厳しい戦いになるのではないかと、皆が予想した、次の瞬間。

アリスターオーフレイムの大振りの左フック、そこに実にシャープなバダ・ハリの右ストレートがクロスカウンターの形で合わせられて、あの巨躯がマットに大の字に、沈んでいた。

ありえない光景だった。

試合は続行されて、バダ・ハリは畳みかけるが、ガードが固いアリスターオーフレームの壁は崩せず、これはこれは2R以降に持ち越されるかと思われた刹那、連打からの今度は左ハイキックがバランスを崩していたアリスター・オーフレイムの顎を迎え撃つようの形で炸裂して、リングまで吹き飛ばし、崩れ落ちそうになり、しかしアリスターはロープでその体を支えたが、間違いのないスタンディングダウンを取られ、バダ・ハリの勝利が告げられた。

ストリートファイターからリング上の神へ

バダ・ハリのの強さは、安定したものではない。

今まで紹介した男たちのように、毎回実力を発揮するわけではなく、精神的にも非常に不安定だ。

K-1の舞台において、倒れた相手に対する踏みつけという最悪クラスの反則を二度に渡り行っており、さらには反省した素振りも見られない。

持久戦のようなじれったい展開ではその人間の精神力・忍耐力が試されるが、残念ながら彼はそれを持ち合わせてはいなかったようだ。

勝利した後の、敗者に対する尊敬や、関係者に対する敬意も繰り返される罵倒や控室での大暴れぶりを聞く限り足りているようには思えない。

しかしそれをおいてもなお、その一瞬の閃きのような打撃の切れ味は、凄まじいものがある。

倒せないはずの相手を仕留める、まるでガトリングガンのような速射砲。

心・技・体が充実した、極めて稀な瞬間にしか発動しないが、その時それこそ彼はリングに降臨した神のような存在に至っているように私には感じられた。

ストリートファイトあがりと言うことで、まさしく武道家や競技者、アスリートとは違い、どこまでも殴り合いの延長線上のような側面からは抜け出せない感じではあったが、それもまたキックボクサーというあり方の1つではあるのだろう。

ショービジネスとしての賞は問わずのKO率が高いなどのエンタテイメント性、事件性や、問題性など含めて、その最たるものと言っても構わないだろう。

自ら名乗ったゴールデンボーイ、そして悪魔王子という称号を、現実のものにした、その拳と蹴りの輝きは、今もなお人の心を魅了し続けるものなのかもしれない。

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