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あやうく一生懸命生きるところだった 救いと指針の等身大バイブル

2021年4月15日

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

彷徨った末の出逢い

どん底の生活の中、あてもなく彷徨っていた。

派遣法改正、コロナ禍、就職活動20連敗。

そんな中で、答えを見つけられずに迷いと苦しみと悩みの中で、街をさまよっていた。

強制的に失業状態になって、その後パワハラモラハラにあってやめざるをえなくて、受けても受けても落ちて、探しても探しても明日が見えなくて。

そんな時に、店頭で1冊の本を見つけた。

あやうく一生懸命生きるところだった

そのタイトルに、引っかかるところがあった。

一生懸命生きるところだった。

一生懸命生きる、その言葉の意味を考察してみて、危惧させるような、それはうつ病においても大変に危険な行為として知れ渡っていて――

うまく言えないが、逆にいえば消化できないような含みを、感じとった。

私はその頃、普段のトレーニングとして10キロのランニングをこなすときに、iPhoneの読み上げ機能を使って本を聴いていたので、その流れで実際のものではなく電子書籍版を購入することを決めた。

結果として、もう数え切れないほどリピートすることになった。

私は今まで様々な啓蒙書や、成功哲学、指南書などを読んできた。

それらとの1番の違いは、著者がなにがしかの結果を出してから書かれたものではない、と点だった。

本人が、志望するイラストレーターだけでは食べていけずにサラリーマンとしての二足のわらじを履いて、その鬱積の末に仕事を辞めて、おそらくはその最中に書かれたエッセイだ。

金、名声、地位を手に入れて、その上で悠々として過去を振り返って、自分語りをしている方とは、また違う。

現在進行形で、もがいてあがいて苦しんで、だけどそれでもどうしようもなくて、その上で見つけた自分の身の振り方というか、心の整え方が書いてある。

印象に残っているエピソードがいくつかある。

人生というものは、努力しても報われるわけではない

村上春樹の、風の歌を聴け、という作品のエピソードを引用して、

船が転覆した時、海の上で同じ船の破片をつかんで浮かんだ男女が、一晩お酒を飲みながら語ったあと、別れて女性は島を目指して泳ぎ、男性はそのままその場に残ったという話。

結果的に、腕がちぎれるほどに必死に泳いだ女性も、何もせずに漂っていた男性も、2人とも救助された。

女性は、男が死ねばいいと思っていたと語る。

何もしなかったのに、必死になった自分と同じように、救助されたからだ。

しかしこの本質は、実際のところ2人とも同じようについていた、という現実に帰結する。

必死に泳いだ女性のも結局どこにも行き着かずに、そのまま溺死していた可能性もあるのだ。

それは逆に言えば、特に何もせずとも、幸運を掴むことが出来る可能性を示している。

ふと、そんな可能性を度外視していた自分に気づいた。

日本というものは、努力して、あきらめずに、一生懸命生きることを強要する。

本の中でも語られているが、蟻とキリギリスの童話に代表されるように、自分の心の自由に生きていればいつかとんでもないことになると脅している。

しかし実際のところ、例えば俳優など、幾度も幾度もオーディションを受けて最終的に合格するといった話よりも、たまたま知人と一緒に受けたオーディションで自分だけスカウトされたなどの、そういった話の方がよほどよく聞く逸話だ。

世の中は、頑張れば報われるようにできていない。

それはネガティブでも悲劇的でもなく、構造的にそうなのだ。

それを聞いて、それこそ目から鱗が落ちた。

今あがく著者の処世術

その他にも、身の丈に合った生き方をする、社会の提示する当たり前に卑屈にならない、執着をしないなど、いわゆる世間的に言われていることとはまさしく逆をおっているとも言える内容だった。

だけど聞けば聞くほど、身に染みる、納得できるものだった。

そしていつも、文末は以下に近いような形で締めくくられている。

こういった事は本当は成功した人が言うべきかもしれない。

ごめん、僕も毎日気が触れそうなんだ。

成功した後で、振り返ってこうしたらいいよなんていうのは、本当はズルイのかもしれない。

人生をというものは、個人的には将棋盤に近いものだと考えている。

その時その瞬間巡り合わせがたまたまそれがうまくいったかもしれないが、次の瞬間同じようにしてうまくいくとおう事はほとんどないように思われる。

2匹目のどじょうは掬えないのだ。

そして、狙って何かをやる事は難しい。

発明にしても、そのほとんどがたまたま偶然別のことを研究していたら生まれたと言うものが大多数を占めると言う。

それを専門用語でセレンディピティというらしい。

だからこそ、そんな暗中模索の中で、様々なことを謙虚な気持ちで発見して、自分なりの考え方をまとめて、それを提示するその姿勢に共鳴できる。

様々な立派な本を読んでも、行き詰まってしまって自分を嫌いになってしまったり、どうしようもない人は、この本に教えられたり救われることがあるのかもしれない。

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