たのしいたのしいぼくらののみかい 変わらぬ日常は悩みを癒すかも?
こんな漫画をご存知だろうか?
実はこの漫画1巻と銘打たれているが、実質この巻で終わってしまった漫画なのだ。
うつ病中、唯一読めた創作物
私はうつ病の真っ最中、ほとんどの創作物に触れることができなかった。
うつ病の真っ最中は脳の機能が、通常時の推定30%程度まで落ち込んでいるから理解力というものがないので、普通の話を読むことができないらしい。
だけど何もしていないと、不安と恐怖と寂しさで押しつぶされるような精神状態の毎日。
そんな中、自分の支えは唯一読めた、日常のささいなことを綴ったブログなどから書籍化されたコミックエッセイ本などを5分や10分など短い時間読むことだけだった。
私がよく手にしていた作者は一人暮らしだったりする方が多かったから、なるほどこうやって寂しさを紛らわせて楽しんでいるんだなと、ほっこりしたのを覚えている。
そんな生活の中で、ある時本屋さんで、まるで自分の瞳が吸い込まれるように一冊の漫画に目が留まったのを覚えている。
写真の通り、1つのテーブルを、男4人が囲んでいる。
決してイケメンと言うわけでもなく、ぱっと見ではむしろ冴えない感じ。
だけどその雰囲気が、ふと自分の過去の一場面と重なった。
当時は仕事もできていなかったし月約80,000円で暮らすと言う極限状態だったので三日三晩悩んだが、結局購入することに決めた。
それから多分100回以上は読み返したと思う。
先に言っておきますが、この漫画は決して歴史に名を残すような傑作名作と言うわけではないと思います。
特に叫びだしたくなるほど熱い展開や、心温まるようなハートをミングのお話、ドギマギするような恋愛、涙を流すような感動はありません、まぁ雰囲気から予想はつくとは思いますが(笑)
では何があるかと言うと、そこには日常がありました。
100回以上読み返したただの、掛け替えのない日常
大学時代。
実家から出て、一人暮らしをして、地元から離れて、寂しかった私が出会った4人の仲間たち、そして彼らと毎月行っていた鍋会。
まさにそれとほぼ同じような状況が、克明に描き出されていました。
何度見ても何度見ても、飽きる事はありませんでした。
屈託のない、中身もない、意味もない会話で続く、ただダラダラとした空気。
気がつけば部屋に仲間が集まっていて、そしてゲームでダラダラしていて、時間が来たから電話で連絡取り合ってスーパーに集まって、1人1000円以内とかで安い食材を買って、鍋を作る。
世間的に見ればどうしようもなくてどうしようもない一大学生の日常かもしれない。
だけど、こんな日々は、二度と来ない。
やっている本人たちだって、わかっているんだ。
しばらくすれば就職して、そうすればこんなかけがえのない日々は来ないってこと。
気心の知れた人間が、落ち着ける場所で、何をするでもなく集まってリラックスして過ごせる。
現在の日本で、これは当たり前だと断じる人は少ないんじゃないかと思う。
毎年ものすごい勢いでたくさんの人たちが自殺で死んでいく。
パワハラモラハラ孤独死。
うつ病。
孤独死以外、私は全てを味わった。
そしてうつ病に関しては現在進行形。
独りじゃいきていけないから、そこに誰かいてくれる幸福
人は1人じゃ生きていけないなんてありきたりの言葉じゃ表現しきれない位、誰か自分を自分のありのままに受け入れてくれる誰かがいてくれればいいと願っているんじゃないかと思う。
そこに色恋沙汰が加わるとまたややこしいことになるし、変に回もきたと金が絡んできたりするし、そういった意味でこの物語はありとあらゆる角田においても、優しいと私は感じている。
1回1回が、まるでコピペのようだし、ある批評家が偉そうに会話に中身がないと言っていたが、いちいちいちいちトリビアや雑学を挟む必要なんてないと思っているしそんなことをしたらリアリティーが薄まる。
これは、ある意味ではそういった意味で、ある到達点に達していると思っている。
それがどれだけ幸せなのか。
それがどれだけリラックスできるのか。
今自分が、どれだけそれを求めているのか。
ほとんど起伏もありませんし、起承転結もありません、だからストーリーを理解しようとする必要もありませんし、展開の早さに疲れることもありません。
どのページを見ても、のんべんだらりとした仲間が、ゆるい空気とゆるい笑顔で、お酒片手にこちらを持ってくれています。
それが嬉しくて、それが嬉しくて、ただただページをめくっていました。
本当に、一巻で終わってしまったことが惜しい作品。
今あなたがもしうつ病で、もしくは何か色々なことに追い詰められているのなら、独り寂しい想いをしているのならなお、お勧めします。
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