【クロノトリガー】天才発明家ルッカのトラウマとの対峙!ロボとの友情に感動!
ドリームプロジェクト
ストーリー原案及びキャラクターデザインにドラゴンクエストの堀井雄二と鳥山明、そしてエグゼクティブプロデューサーにファイナルファンタジーの坂口博信というスペシャルタッグ。
そのような壮大な触れ込み、CM、それに胸奪われたのを覚えている。
ミーハーでベタベタなオタクだった私は、ドラクエもファイナルファンタジーも大好きで、その両方がタッグを組んで、究極の一作を作る、そんな言葉に胸躍っていた。
そして送り出された作品は、当時のゲーム価格としては頭1つ抜き入れた値段だった(笑
確かその頃はスーパーファミコンのソフト値段は、最初の頃は6800円とかだったのが、徐々に上がっていき、大体それなりに大作のゲームが、9800円というのが相場になりつつあった。
そんな中で、クロノトリガーはさらに飛び抜けた11,400円だった!
びっくりした、親にお願いするのも気が引けるレベルだった(笑
しかしそれだけの、いやそれを超えた、それはそれは凄まじいクオリティーだった。
時空を越えて、原子から未来、そして時の最果てまで、現在・過去・未来の3つどころか、6つにも及ぶ時間を股にかけて、その中で星の命を救うというハリウッド映画のようなスペクタクルな展開に、まさに時間を忘れて、その当時の皆は没頭していたように思う。
そんなわけで私としても格別の思いがあるRPGであり、ゲームのクロノトリガーだが、その中での名場面は数しれず、そこで最初に思い浮かんだ、お気に入りのキャラであルッカのシーンを今回は紹介したいと思う。
ルッカは主人公の幼馴染と言うポジションでありながら、後から現れたお姫様であるマールに恋人というかヒロイン的なポジションを奪われているような感があるが、実際のところメガネっ娘で、ショートカットで、マッドサイエンティスト的なところもあり、個人的にはとてもストライクな、狙いすぎていない、そういうキャラだったりする。
そんな彼女が、ロボの400年もの活躍の末に復活した中世の森で、仲間たちとともに一晩を明かすという、実際考えるとなかなかハードの展開なのだが、ドット絵のゲームならではのあまりそういうところを感じさせないシーンで、彼女はふと夜中に目を覚まし、森の奥へと足を進める。
そこに、事件の発端でもあり全ての始まりでもありきっかけでもあり、次元の裂け目、ゲートがあった。
彼女はためらわず足を踏み入れて、そこに姿を現す。
その直前、ルッカはロボを修理しながら、その400年もの見解を聞いていた。
ゲートの出現はラヴォスの力の歪みだと思っていましたが、それは違うような気がしてきたのです。
それにカエルが、走馬灯の話をする。
それは楽しい思い出もあるが、たいていは悲しい思い出さ。
それにロボが呼応する。
きっとあの時に戻りたいあの時ああしていれば…という強い想いが記憶を呼び起こすのでしょう。
マールが尋ねる。
「ルカはあるの?
もどりたい、いっしゅんが?」
「ううん…なるべく考えないようにしているの。だって疲れちゃうもの」
10年前のルッカ
そこは、彼女が生まれ育った生家。
しかしそこには10年前の日付の走り書き、幼き日の自分の日記が転がっていた。
父が家族よりも研究に没頭してしまっているような、そんなふうに見える状況に対する憤りと、科学に対する怒り。
一階に降りると、そこには若かれし母親、ララがいて、知識がないために危険なその機械のそばによって、無謀にもその周りを掃除しようとしていた。
するとスカートの裾が挟まってしまい、それを取るために娘のルッカを呼ぶ。
しかし幼き日の自分はうまく取ることができず、機械が動き始めてしまい、動けない母親は幼き日の自分に機械を止めるようにパスコードの入力を求める。
「わからないわ、お母さん!」
徐々に巻き込まれ、機械に引きずり込まれる母。
何もわからず、手出しできず、ただ手をこまねいて、右往左往し、母親がその機械に巻き込まれていくのを、ただ見つめることしかできず――
「あぁ、もうだめ…あなた!!」
胸を引き裂く悲鳴があたりに響き渡る。
ベッドに突っ伏し、うなだれるルッカ。
そして階段の入り口には、また日記が落ちていた。
「お父さんとお医者さんの話を聞いちゃった。でも聞かないほうがよかった…お母さん…足が…」
「私が機械に詳しければあんなことにならなかったのに…私さえ…」
そして仲間のもとに戻ると、そこにはロボが待っていた。
ロボの優しさ、みどりのゆめ
彼はその場で激しく足踏みし、その健脚を見せて、
「私の足をあげます。バランス良好、超小型の二速歩行パーツです。
私にはキャタピラでもつけてくれれば…」
そんな動きまくる、自分にはキャタピラで十分だ。
そんなふうに元気付けようと必死に自分を犠牲にしようとするロボを尻目に、ルカは数歩前に出て、静かにうつむく。
それにロボも、動きを止めて、静かに語る。
「気を落とさないでください」
その言葉に、ルッカも顔を上げる。
「ありがとう。私にはこんな良い友達がいるのね…」
いつも強気で、明るく、研究一筋で、ムードメーカーで、ブレーンで、そんな彼女が見せた、そんな彼女の発端となった、その出来事。
そしてその出来事を理解した上で支えようとするロボの、その優しさが垣間見える。
「友達…ロボットの私が…」
幼心にも胸に染みた名シーンだった。
そしてそんな彼女に、ロボは400年もの間絶えず森で育った木の樹脂を固めで作った重みのある宝石、みどりのゆめを送る。
「ありがとう…ロボ」
このストーリーにはパスコードを正確に入力した場合の成功バージョンも存在しており、一度このおそらくは史実通りである失敗パターンを見た後にそちらをたどると、おそらくほとんどの人間が胸をなでおろし安堵し、そしてそれまで以上に彼女に感情移入して、そして彼女の虜になることだろう。
変えたい過去があり、それを変えるため、これからの未来に悲劇を繰り返さないために、自らの弱さを捨てて、力を手に入れて、そして皆のために、仲間のために、笑顔を絶やさず前向きに力を尽くす、そんな無敵の少女ルッカ。
そしてそれを支える心優しいロボ。
クロノトリガーの中でも、まさに屈指の、苦しくも切なくもそれを乗り越えたと言う忘れるべきではない尊い一幕だと言える。
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