FF6 東方の戦士カイエン ケフカの毒で奪われた魔列車にて告げられた家族の想い――

2023年12月13日

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人生初のRPG

FINAL FANTASY VIは私が初めて触れることになったRPGだ。

私の家ではRPGは難しくて大人がするものみたいなイメージがあったので、ある年齢に達するまでRPGを購入する事はなく、友達に借りたり、友達の家でやったような記憶がある。

ファイナルファンタジーと言えば、圧倒的なグラフィック、美しいキャラクター、そういったものに目を奪われている、そういう人も多いと思う。

だけど私としては、このFINAL FANTASY VIに、その原点、その魅力、その設定、シナリオの劇的さ、そういったものが詰め込まれていると考えている。

あえて2次元で、ドット絵の主人公や村人たちと、まるでヨーロッパの宗教画のような敵キャラ、ボスキャラ、そのある種恐ろしい対比に、怯えながらも心の琴線に触れていた。

そんなFINAL FANTASY VIの中でも、今回は、胸が引き裂かれるような、辛くて直視が難しいような、そんなシーンを引き合いに出したいと思う。

主人公たちの心を中に、カイエンと言うキャラクターがいる。

中世ヨーロッパで活躍するサムライ

東方の国ドマに仕える、日本刀を武器とするファイナルファンタジーのその中世ヨーロッパを舞台とした世界観の中で、まさしく異色な侍そのもの。

先代王から主に対して絶対の忠誠を誓い、帝国侵攻に抵抗する兵士達の精神的支柱であり、幾度もその侵攻を食い止め、自ら先生に達の隊長格を倒し続け、さらには冷静な判断で篭城を指示し、帝国軍の疲弊を待っていた。

その帝国信仰の中心人物であったレオ将軍が皇帝に呼ばれて帰国。

その隙をつく形で帝国の魔導士ケフカが非道にも飲み水となる川に触れただけで死に至る猛毒を混入させる、毒攻めを行う。

ドマ城内には捕虜となった味方の帝国人もいると言うにもかかわらず――

その時のケフカの言葉が、正しく彼自身の狂気を存分に表していると言えた。

「ヒッヒッ…何百もの悲鳴が奏でるオーケストラは、さぞ聞き応えがあるだろう。ヒッヒッ…」

そして川の水の色が、無色透明から、見るもおぞましい赤紫色へと変色を遂げる

見張りを続けるカイエンに、兵士が声をかける。

「帝国陣地の方で動きがあるようです。新たな攻勢の前触れでしょうか?」

カイエンが手庇を作り確認する。

そこに衝撃の光景が繰り広げられる。

突然兵士が倒れ、またあるものはそのまま高台から地面まで落ち、それは門番、回廊、ありとあらゆる場所で警備する者たちに連鎖的に起こっていた。

それにカイエンはすぐに事態を察する。

「これは…毒でござる」

ドアの兵士が憤る。

「なんて卑劣な!」

カイエンはすぐに気づく。

「陛下をお守りせねば!」

そして兵士と頷き会い、謁見の間に向かうが、すでにドマの王は玉座におらず、その手前、カーペットの中央で倒れ伏していた。

すぐにカイエンは駆けつける。

ケフカの毒とその悲劇

「へ、陛下…!」

「お主は…」

「カイエンでござる!」

ドマの国王は、倒れ付したまま、動く気配はなかった。

「おお…そうか…目をやられてしまって、お主の顔も見えぬ…」

しっかりしてくれと声をかけるが、国王はそのまま――

「…私の父上の頃から、このドマ王国を守ってきてくれて…感謝しておるぞ。…ぐぅ!

すまぬ…わしがその国を守りきれんで…」

「そんなことありませぬ!」

カイエンは必死にその言葉を否定しようとするが、ドマの王はそれよりも、

「おぬしの家族が心配じゃん…うぅ、息が苦しい…胸が焼ける…」

「無理なさらずに!
喋ってはなりませぬ!」

「家族のところに、行ってやりなさい…くく」

「陛下!」

息を引き取り、動かなくなった陛下を見下ろし、肩を落とすが、それでも今は緊急事態。

城の中には生き残った人々がいるやも知れず、ドマの兵士と手分けして探そうと駆け回った、その矢先。

そこは、カイエンの家族――愛する妻、息子が生活する空間だった。

部屋に入って、その瞬間、カイエンはその異変に気づき、慌てて窓際のその蟠る物体に駆け寄る。

「ミナ!
しっかりするんだ、ミナ!」

愛する妻は、カイエンの呼びかけに、しかし二度と答える事はなかった。

カイエンはそれを理解し、力なく項垂れる。

「こんな…こんなことが許されていいのか…」

そこでハッと気づく。

そしてその名を呼ぶ。

「!シュン!」

ベッドまで走るが、そこに横たわる、愛する我が子は、もはや、目をつぶり、しかしその顔色は、その姿は、変わり果てて、そして――

「あ…あ…」

その現実に打ちのめされて受け入れられず、信じられず、カイエンは1歩2歩3歩と、後ずさりする。

「そ、そんな――バカ…な…」

へたりこみ、絶望の淵に落ち、そしてカイエンは、立ち上がり、頭を振る。

「ゆるさん…」

もはやカイエンのその瞳には何も見えなくなっており、他の事は一切考えられなくなっていた。

「ゆるさんぞ!帝国め!!」

部屋を飛び出し、城を飛び出し、敵のただ中に飛び込み、名乗りを上げる。

「拙者はドマ王国の戦士カイエンでござる!」

多勢に無勢の中、モンクのマッシュがやってきての助太刀に対して、どこの誰かは存ぜぬが忝いでござる、と受け入れる。

二連戦を終え、

「うおおーっ!
毒を流したのはどいつじゃー!」

怒りに燃えて迸るカイエンだが、共闘したマッシュの逃げようと言う提案に対して、しかし拙者は家族や国の者たちの敵を…と口惜しさを述べるが、あまりの多勢に無勢と言う現実に、仕方なくそれに随行する。

そして魔導アーマーを使って包囲を突破し、約束の地である炭鉱都市マルシェに向けて南の森を抜けることになる。

その道中で死んだ人間の魂を霊感へ送り届けると言う魔列車に乗りこむことになり、その中で何とか機関車の制御室を操作し、魔列車本体との戦いを経て、霊界へと送り届けられる前に脱出することをに成功する。

こんな列車では早いとこおさらばしようと言うマッシュの背中を横目にふと出入口の方向向くと、そこには信じられない光景が広がっていた。

魔列車での奇跡

そこにはケフカの毒により最後の言葉すら交わすことができずにその命を落とした、愛する妻であるミナ、そして息子のシュンが生きていたそのままの姿で歩いており、そして魔列車に乗り込むところだった。

お前の奥さんと息子さんかと尋ねるマッシュに、魔列車は警笛を鳴らす。

出発を悟ったカイエンがマッシュを弾き飛ばして、2人の下に駆け寄る。

「まってくれ!」

しかし時すでに遅く扉は閉ざされ、列車はゆっくりと、しかし確かに加速しながら動き出していた。

あきらめかけたその時、妻、そして息子がその姿を見せる。

カイエンがその名を呼ぶ!

「ミナ!

シュン…」

走って追いかけるが追いつく事はなく、プラットフォームの端までいきついてしまい、もはやカイエンにはなすすべがなかった。

そんな彼に、2人の言葉が届く。

「あなた…幸せだったわ。

ありがとう…」

「パパ!

ぼく、がんばって剣の稽古をしてママを守るよ!」

その言葉を最後に、ただ電車が遠くに離れていくカタンカタンと言う音を聞きながら、カイエンはいつまでもその後ろ姿を見守っていた。

守ることができなかった、最後に言葉すら交わせなかった、そんな2人のことを――

うなだれるカイエンに、マッシュは近寄るが何も話すことができず、シャドウは一言だけ。

「そっとしておいてやれ」

やりきれない。

それ以外、言葉にならないような場面だった。

何度見ても、胸が締め付けられる。

主のために、家族のために、その身をなげうって、誠実に生きてきた男が、窓越しの、道化師の、精神が破綻した男の卑劣な行いにより、すべてを一瞬にして奪われる。

最後の最後、別れの挨拶すら、する事は叶わなかった。

守ってきた主に、謝罪の言葉を言わせてしまう始末。

そして居合わせた魔列車によって、その魂が霊界に行く直前に、本当の意味で最後の最後、ただ一方的に言葉を受け取った。

感謝と、誓いを。

痛い。

こんな痛みがあるのだろうかと思う位に痛い。

いっそなんで守ってくれなかったのかと罵ってくれれば楽になったのかもしれないだろう。

皆が皆、守れなかった自分のことをおもんばかり、感謝し、そしてこれから先は父に代わって自分が母を守ると、約束される。

こんな辛いことがあるだろうか?

いや、きっと彼は、この戦時中においては、ある意味ではこの上なく恵まれた、幸せな男だったのかもしれない。

だからこそ、それを守りきれなかったのならば、自分の命すら惜しまないそんな彼ならば、その辛さはなおさらだったのだろう。

ある意味子供向けと言えるかもしれない当時のゲームに置いて、大人に置いてなお、いやむしろ大人にこそ響くような、そんなあまりにも鋭い、一緒に通り過ぎていった一撃のようなシーンだった。

ファイナルファンタジーVI アドバンス

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