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“足払いの達人”岡本徹 武道を体現した第7回世界大会王者の組み手!

2021年10月19日

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

極真史上最も空手家らしい組み手を体現していたのは誰か?

そう考えた時に頭をよぎるのは極真カラテ第7回世界大会でチャンピオンに輝いた、岡本徹の名前だった。

岡本徹は第24回から28回まで全日本大会に4回連続でベスト4に入賞すると言う安定した実力を持った名選手だった。

バランスと言う意味ではここまで卓越した選手もいなかったのかもしれない。

パンチ、蹴り、攻撃力、防御力、そして重心や腰の安定性、全てにおいて偏ったところがなく、蹴りにしても上中下バランスよく使いこなせて、いわゆる穴がないタイプだった。

負ける時はいつもダメージが蓄積してや、延長に次ぐ延長で微妙に攻勢点が足りないといったところで敗れてしまった。

岡本徹には、だから圧倒されたり、惨敗といった印象が非常に薄い。

特に極真が松井派と支部長協議派と言うふうに分かれてからの岡本徹は、ある意味では非常に惜しい存在と言えた。

おそらくは同時代の強豪達の中にあって、数少ない塚本徳臣に肉薄した存在と言えるのかもしれない。

まさに塚本徳臣が無敵状態を誇っていた第28回全日本大会、そして第一回カラテワールドカップ、岡本徹は準決勝、そして決勝で立ちふさがり、他の対戦相手が秒殺の1本負けや、圧倒的な本線による判定負けを喫する中、再延長戦まで粘り、その地位を脅かした。

時代が違えば、塚本徳臣がいなければ、天下を取っていたのは岡本徹かもしれない。

悲願の第30回全日本大会優勝

そんな中、塚本徳臣が肺炎にかかっているにもかかわらずの強行出場と言う偶然が重なりはしたものの、その塚本徳臣を3回戦にて破って、さらに史上最強の軽量級と言える人間風車谷川光を内回し蹴りからの中段廻し蹴りでの1本で破り、ノリに乗って決勝まで進出した石原延を相手取って、そのバランスのとれた組み手、そして反撃力によって最後は下段廻し蹴りを効かせて、悲願の初優勝を決めた第30回全日本大会。

そして翌年の第7回世界大会で、優勝候補筆頭のバーガード・ガードナーを相手に、後にドーピング検査で陽性になったその余りあるパワーをやはりその受け止める力によって跳ね返し、反則2つによる減点1も相まって退け、そのまま一気に決勝まで駆け上った。

そして反対ブロックから上がってきたのは、優勝候補筆頭だった塚本徳臣をその尽きないスタミナと圧倒的なパンチ力により敗ったことにより勢いづいていた、燃えるゲルマン魂の異名を持つムザファー・バカック。

その、史上初の世界王者海外流出の危機の中、岡本は真骨頂とも言える組み手見せつけた。

岡本徹の代名詞とさえ言える、足払い。

ここまで鮮やかに足払いを使いこなす選手は、私は見たことがない。

あの華麗なる蹴りの名手の松井章圭をして、鮮やか、素晴らしい、そう言わしめた妙技。

全日本大会の準決勝では、同じくいぶし銀とも言える組み手のうまさを誇る坂本恵義を相手に、規定には記されているが実質ほとんど不可能と言われていた足払いからの下段突きによる技ありを奪ってしまったほどだ。

そして第7回世界大会の決勝戦、私は信じられないものを目の当たりにした。

神懸った第7回世界大会の足払い

決勝まで進出した無尽蔵のスタミナと抜群のパンチ力を誇る燃えるゲルマン魂を相手にして、岡本徹は、まさしく達人の組み手を見せつけた。

中間距離から前蹴りで機先を制し、安定したパンチの連打で場外に叩き出す。

反撃の隙を一切与えない。

そしてさらに、相手も先手をつこうとして遠間から大技で攻め込んできた、その瞬間を狙っての、伝家の宝刀、足払い一閃。

私はその時、本当に目を剥いた。

正しく、対戦相手のムザファー・バカックの身体が、宙に舞った。

30センチは、浮かされていたと思う。

これでは技ありを取らない方が、おかしいと思えるほどのレベルだった。

さらに追撃。

今度はバカックは蹴っていない、つまりは片足立ちになっていない。

だと言うのに前足を引っ掛けるように蹴り飛ばして、相手は一回転してマットに倒れ込む。

なんだ?

一体どうなっているんだ?

そしてさらにバカックがかかと落としをしてきた瞬間、体を滑り込ませるように足払いが閃く。

あまりに武道家足り、そして空手家足る、そうとしか表現できない、そんな姿だった。

最後に挑んできたパンチの打ち合いも、いつも通りの反撃力でしっかりと応戦して、大差の判定勝ちを収めた。

その姿に、私は目を離せなかった。

神懸かっている。

岡本徹の背中から、後光が差しているように錯覚しそうなほどだった。

こうして日本の世界王座流出の危機は、岡本徹によって完璧な形で守られた。

その後岡本徹は翌年に行われた全日本大会に出場したものの、明らかに体の調子が悪く序盤で敗れ、そのまま極真会館から去ることになる。

しかし私は、岡本徹のその時の神懸かった組み手を忘れる事は無い。

足払い、そして武道空手の達人岡本徹。

彼の見せたまさに武道的な組み手が、その感動が、薄れる事はないだろう。

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