ジャックデンプシー、デンプシーロールの元祖、その勇姿!!
ジャック・デンプシー
彼ほどあの漫画の影響で有名になったボクサーも、いないのではないだろうか。
はじめの一歩。
その主人公である幕之内一歩の、もはや代名詞とさえいえる必殺技。
デンプシーロール。
ヴィ―ビングしながら相手の攻撃を躱しながら、相手の懐に飛び込み、そして∞の文字を描きながら、その反動を利用した左右のフックを相手の顔面に叩き込み、完膚無きまでのノックアウト勝利を勝ちとる。
その、元祖、開発者。
1920年代に活躍した、と言われる、古のボクサー。
はじめの一歩をボクシングの教科書としている私としては、その彼のことを取り扱わないわけにはいかないだろうと考えた。
ジャックデンプシーは、身長185センチのヘビー級のボクサーだ。
一般的に考えれば高身長と言えるだろうが、当時のアメリカのボクサーとしては決して大きいわけではなく、むしろ小柄と言って差し支えない部類に入っていたようだ。
しかし彼はその体格差をものともしない、それまでかつてあり得なかったスタイルを確立し、雲突くような大男たちをなぎ倒すことになる。
それまでデンプシー以外にも豪腕と謳われたボクサーは存在していたようだが、基本的には重心を極端に後ろにかけることが主流であり当たり前であった中、ジャックデンプシーはボクシング史上初めて前傾姿勢の構えだったとされている。
いわゆるはじめの一歩風に言うのならば、ジョルトと言えるだろうか。
その重心を前にかけることによって生み出される体重の乗ったパンチで、常識外れのパワーを誇り、その前傾姿勢のまま上体は無限大の文字を描くようにウィービングして防御するとともに振った上体の反動を利用して左右の連打を叩き込むデンプシーロールを作り上げたと言う。
その彼の恐ろしさが戦慄とともに伝わった、最も有名な試合とも言えるものが、1919年7月4日、オハイオ州トレドで行われた世界タイトルに初挑戦した、通称トレドの悲劇と呼ばれる試合だろう。
“ポトワトミーの巨人"
対戦相手のジェスウィラードは身長2メートルの巨体で"ポトワトミーの巨人"と言う異名を誇りを誇り、プロ入り以来ダウンをしたことがなく、黒人初の世界ヘビー級王者ジャック・ジョンソンを破ったことにより国民的英雄となっており、ジャックデンプシーは背の低い楽な挑戦者と言う紹介を受けているほどだった。
身長差は15センチ、タイトルマッチ当日、40度と言う猛暑の中、その世紀の1戦は幕を開けた。
だがこの試合、その開始の数分前に突如、初回KOで勝たなければファイトマネーはないと告げられたといい、それによりジャックデンプシーは比類ないほどの攻撃的なスタイルを見せつけることになる。
ゴングとともにジャックデンプシーは小兵の定石通りにステップワークを使い、ウィラードの周りを回る。
ウィラードはほとんどガードを上げずに、重いジャブを繰り出した。
すると見えるウィラードのチョッピングライトに合わせて、大きな左フックとともにデンプシーが飛び込む。
さらに同じような左フックで飛び込み、同じ展開にウィラードが接近戦で、非常に細かいフックを連打。
しかしこれはほとんど手のひらで打っているためダメージはそれほどではないだろう。
ジャックデンプシーは顔面への左フックと、ボディーへの右ストレート、それにほとんど狙いを絞っているようだった。
デンプシーロール炸裂!!
ウィラードのアッパーを接近してクリンチで逃し、仕切り直してリング中央の戦いとなったところから、突如頭と体を左右に振りながらの、ボディーのフックの連打!
それが3発続き、ウィラードの視線が下がったところに、振り子のように帰ってきた左フックが完璧にその顎を捉え、ウィラードはプロ入り初のダウンを喫した。
間違いのない、デンプシーロール。
実際見ると、その迫力、破壊力に、息を飲まざるを得ない。
効いている、膝が揺れて、足腰が言うことを聞かないようだった。
その頃のボクシングでは、ダウンしてもニュートラルコーナーには下がる必要はないと言うことで、間近で待ち、立ち上がったらすぐに襲いかかると言うところも、まさに古のボクシングの戦いと言う雰囲気を醸し出している。
左右、左左、右、巨体がロープで吹っ飛び、さらに追撃の右左、倒れた。
ややロールではなかったが、それでもデンプシーロール2度目の炸裂。
立ち上がったときに今度は思い切った右フック、そこからのデンプシーロールによる6連打。
凄まじい、体格差がまるっきりひっくり返ったような戦いだ。
さらにまだ半分しか立ち上がりかけていないところに、後ろからの右ストレート。
リングの外まで叩き出しそうだ。
続いてデンプシーロール10連打!
そしてデンプシーロール15連打!
40度にも及ぶと言う熱波の中、そのスタミナもまた凄まじいとしか言えないだろう。
ゴングがあり、ジャックデンプシーの1ラウンドKOはならなかった。
それももはや虚しいとさえ言える事実なのだが…。
2ラウンドも相手の懐に飛び込んでからのデンプシーロールを連発するが、ウィラードもクリンチで逃れ、ダウンをさせまいと粘る。
それに加えてさすがのジャックデンプシーも疲れも見えた。
2ラウンドはダウンなく、3ラウンドに進む。
デンプシーはそこで人が変わったような右のアッパーを連発。
そのまま左のボディーもしっかり叩いて、狙いを散らし、ダメージを積み重ね、勢いだけでないクレバーさ、テクニックも見せつける。
そしてウィラードは4ラウンド開始のゴングに応えることができず、ジャックデンプシーは3ラウンドでのTKO勝ちを収め、世界王者となった。
1ラウンドで、7度のダウン、さらには対戦相手のウィラードは顎を7カ所も砕かれた上、肋骨、頬骨、歯までも数本折られ、さらには片耳の聴力が著しく低下してしまったと言う。
まさに一方的な、圧倒的な勝利、暴力的なまでの力、そしてクレバーさ、テクニック、すべてを見せつけられた試合と言えるだろう。
まさしく古の、伝説的な豪腕ボクサー、ジャックデンプシー。
はじめの一歩の作者、森川ジョージの言葉を借りるなら、巨人殺し。
その異名は、実力に、まったくもって、過不足なしの戦いだった。
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