RIZIN20のヒロインはRENA!輝いた主役達に賞賛と感謝を込め―
BEST BOUT
今日の、RIZIN。
まさか生中継1発目からBEST BOUTに遭遇するとは思ってもいなかった。
RENAの、Bellatorで敗れたリンジー・ヴァンザントとのリベンジマッチ!
正直勝率は20%程度だと予想していた。
RENAの負け方はここ最近完全にパターン化している。
寝技を侮り、チョークスリーパー、スリーパーホールドでの失神KO。
なぜ勝てないのか?
まず、RENA選手は決して悪い選手ではない。
確かにRIZINでは、相手は選ばれてはいた思う。決して弱いと言うわけではなかったと思うが、今のRIZINやベラトールのように超一流の選手が出ていたかというと、どちらかと言うと2流位の選手で構成されていた感は否めない。
しかしそれでも、そのことごとくを中段の下突き、そして前蹴りで仕留める事は、決して容易なことではない。
もともとは、シュートボクシングのスター選手。打撃のセンス、そして感性は素晴らしいものがある。
ではなぜ、総合格闘技では勝てないのか?
当たり前と言えば当たり前のことを言わせもらうと、競技が全く違うのだ。
皆さん格闘技と言う括りで、これが最強だ、どれとどれがほぼ同じだろうと言う話をする方を時折見受けられるが、実はそれは少し違う。
極論する。例えばボクシングとキックボクシングは、ボールを使ってるから同じと言う理屈でサッカーとバスケットボールを比べているのと同じ位違う。
RENA選手の今回の敗退も、なまじわかってしまう分私には見ていて辛いものがあった。
彼女はどこまでも、打撃系立ち技格闘技の常識に基づいて戦ってた。
もちろんテイクダウンは警戒していたし、グラウンドの練習も相当したのだろうことが見て取れた。しかし土俵が違う。RENA選手は、あくまでもグラウンドもできる、と言うスタンスで戦っている。
対して相手は端から、立って戦う気など微塵もない。最初から転がして、そして自由を奪って、決めて勝とうとしている。
立ち技、総合格闘技それぞれの定跡
立ち技格闘技において、してはいけないもの。そして総合格闘技において、してはいけない禁忌と言うものがある。将棋でたとえれば、定跡と言うものだ。
玉が一番下段にいて、相手がその2段手前に金を打ったなら、それを防がなければいけない。
そのような、相手がしてきたことに対して何かをしなければ詰めになってしまう、そういったことが格闘技の世界でもある。
RENA選手がベラトール初挑戦で敗れた第2ラウンドの中盤、打撃で丁寧に攻めて、途中で相手が崩れて、腰を落として下がる場面になった。
そこでRENA選手は、詰めてしまいました。
これは立ち技打撃格闘技では定跡だ。
そのままつぶしてしまえば、勝てる。
これはしなくてはならないことだ。
しかし総合格闘技において、これは最悪の悪手となる。
相手は最初から、相手が詰めてくること、前傾になって距離をつぶしてくることを、狙っていたのだ。
総合格闘技を見て、重心が上がってしまうことほど恐ろしいものはない。
RENA選手は、どこまでいっても総合格闘技の常識に適応をすることができなかったのだろう。
しかも直近での試合では、直前に相手が変更して、しかもかなりの年配相手での秒殺KOにもかかわらず、かなりのはしゃぎっぷり。
今回のコメントも、今年の汚れは今年のうちに。
正直浮かれていると思っていた、いつも通り打撃での勝利宣言、寝技を侮り、いつも通りのパターンに陥ると予想していた。
蓋を開けて、自分の不明を恥じた。
はっきりって、ここ最近でこれほど熱く、そして感動した試合は無い。
彼女の覚悟
彼女は覚悟を決めていた。
深く、本気で練習を重ねていたのだろう。注意深く、慎重になっていたのだろう。
今回の試合、彼女はほとんど、蹴りを出さなかった。自分から、連打に行くことはなかった。
そして、蹴りをカットすることもなかった。
蹴りをその身で受けて、肉を切らせて骨を断つ――顔面にパンチを集める。
タックルに来たら、丁寧に丁寧に外す。
2ラウンド、つい片足タックルに行き、そして逆襲の三角絞めにあった時、私はもう駄目かと思ったが、彼女は必死に、地道に、耐えて、耐えて、耐えて、そして生き延びた。
最終ラウンドに訪れた勝機
3ラウンド、彼女はその顔に、武道家の重みを、深さを湛えているようにすら見えた。
丁寧で、地味で、そして確実な戦い。
相手は徐々に退路をなくしていった。
そして訪れた、必然の勝機。
ハーフガードから、マウントポジションをとって、パウンドの連打。
腕ひしぎに行ったり、チョークスリーパーを狙ったりといった色気は一切出さない。
美しい乱れ泣く勝ち名乗り
ただ、勝利に愚直に、まっすぐに。
勝利した瞬間の泣き崩れる顔は、本当に美しかった。
その苦しかった心の内を思うと、彼女を甘く見ていた自分が本当に浅はかで、そして彼女が自分を裏切り本当に花開いてくれたことが嬉しくて仕方なかった。
今日のMVPは、間違いなくRENA、君だ。
2019年最後のすべての賞賛を、君に与えたいと思う。
浜崎朱加にリベンジしたハム・ソヒも、ベラトール大将ジョン・マカパに対していつもの派手さに加えていぶし銀な戦いで勝ち切った朝倉未来も、きっちりと自分の仕事をこなした那須川天心も、やはり予想通り右ストレートと右フックの戦いになったが場数の違いで勝利を手にしたマネルケイプ、また1つ貴重な経験を手に入れた朝倉海も。
2019年最後の年を、お腹いっぱいにしてくれたRIZINのみなさん、本当にお疲れ様でした。
さらに令和2年、2020年が、オリンピックと同様に格闘技が盛り上がることを願って。
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