”熊殺し” ウイリーウイリアムス ~極真史上最強の五人
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まずは記事を書くに至り、ご冥福をお祈りさせて頂きます。
では早速、前回の塚本徳臣に続いての極真史上最強シリーズ、第二弾になります。
実はこの企画、確か2、3ヶ月前の事、ふと考えたのがきっかけだったりします。
極真史上最強の男は、一体誰だろうか?
実はそれまで、確か1996年のことですから、もう23年も前のことですか。その頃は、極真史上最強の男は2人だと思っていました。その、どちらかだろうと。ですがそれから時を経て、深く強さというものを見れるようになり、さらには自分が尊敬する空手の師範との話し合いを経て、5人のうちの誰かだろうという結論にいたりました。
その最初に挙がったのが、実は今回ご紹介するアメリカのウイリーウイリアムスだったりするのです。
その暴力が世界を席巻した、第二回世界大会
彼の全盛期である第二回世界大会の、初戦である二回戦からの四回戦までの3試合。
蹴りのみで、それも上段膝蹴り、足払いからの上段回し蹴り、下段膝蹴り、全く違う技のレパートリーの広さ、スピード、破壊力、巧みさ。
会場はその戦慄の戦闘力に、文字通りどよめいていました。
しかし実際は、その時点ではウイリーウイリアムスはその潜在能力の30%程度しか出していないと言っても過言ではなかったのです。
断言します。
ウイリーの強さの本質
ウイリーウイリアムスの強さは、その70%がある一点に集約されています。
パンチ力です。
これだけ3連戦を一瞬の蹴りによる一本勝ちで沈めておきながらとお思いでしょうが、なめていたわけでは無いのでしょうが彼はおそらく温存していたのでしょう。
極真の全日本以上の大会は全て見てきましたし、さらにはKー1やキックボクシング、ムエタイ、ボクシング、様々な打撃格闘技の試合を見続けてきました。
その私が、たった2人だけです。
極真の、あのマイクまでかなりの距離をとっているあの試合場において、ボディー、つまりは胴体での攻撃で、テレビの前にいるこちらまで響き渡る音を叩き出した選手。
それが次の試合である、第二回世界大会、準々決勝。
佐藤俊和選手との試合。
本戦こそ蹴りで攻めていましたが、前蹴りを得意とする佐藤はうまく距離をあけて、終盤クリーンヒットを許しさせませんでしたが、近づき相手の袖を掴んでの膝蹴りで、ダウンしてしまいました。
しかし極真ルールでは相手を掴んでの攻撃は反則となります。1本勝ちが取り消され、そのまま延長戦に突入します。
そこでウイリーウイリアムスは、豹変しました。
大山倍達が驚愕した、戦慄の下突き10連発
ウィリーは、それまでの距離をとった蹴りを止め、重心を落とし、脇もしっかりと閉めて、そしてそれまで開いていた拳を固く握りしめました。
身長2メートルを超える黒い拳は、さながら鉛でできた黒光りする砲弾です。
そこから繰り出される突きは、文字通りほとんどバズーカ。
下突き──つまりはボディへの、アッパー。
度肝を抜く光景だった。一発一発で、佐藤の体が後ろにズレた。一発だけ外したその拳は、佐藤の頭を超え、まるで天空へと振り上げられるような軌跡を描いた。
そして左中段回し蹴り連発からの、動きを止めてからの正拳下突き、 10連発。
私はその時の光景を忘れることはできないだろう。バスバスバスバスバスバス、それは何かの音に例えることが難しい。あえて、あえて例えるとするならば、硬い拳が筋肉の硬さを持った紙袋を連続で叩くような、かつて聞いたことがない音が、日本武道館に響き渡った。
準決勝は様々な憶測がなされる反則負けで敗れたが、開始数秒にわたるやりとりでも、たった1、2発のパンチであの三瓶啓二が後に吹っ飛んだ。それだけでも驚愕の事実と言っていいだろう。
さらに数発とは言え三瓶の打撃を、赤子にそうさせるように体を持って受けたのも恐るべきものだ。もちろんあの、あばらが折れても最後まで戦い抜く根性の鬼ともいえる三瓶が圧倒的に負けるとは思えないが、それでもなおウィリーを止める事は難しかったとしか言いようがない。
あのパンチ。
まともに食って、立てるような人間がいるとは思えなかった。
一発。
ただの一発でも顔面にでも貰おうものなら、比喩ではなく顔はなくなってしまうだろう。
さらには身長2メートル、体重は100キロを超えているとは思えない軽快なフットワーク、上中下のバラエティに富んだ蹴り、鉄の如き打たれ強さ、極真史上最強の一角になる事はまず間違いない。
改めてご冥福をお祈りするとともに、惜しむらくはもう少しだけ全盛期が長く続いて、その魔人の如き戦いの記録を見てみたかったと言う思いを込めて、この記事に代えさせていただきます――。
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