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第八話「閉ざされた屋上」

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

 そして、5分後。

 なぜか身長156センチの朱鳥は、その3メートル近くに及ぶ高き壁の頂きに、迫ろうとしていた。

「どう? 大丈夫、朱鳥?」

「あーうん。大丈夫だから、ちゃんと支えといてよね、遥」

 下からの声に答えながら、朱鳥は一歩、また一歩と足元を確かめながらその高さは増していく。
 その下では、遥がしっかりとその根本を支えていた。

 鍵を突破し、かつ中にいる天寺にバレない方法。

 そう考えてたどりついたのが、コンクリートの壁に立てかけて、その上から覗こうと用務室から借りてきた、この脚立だった。
 最初はちゃんと借りられるかどうかわからなかったが、花壇の手入れに借りてこいと言われたなんて適当にでっちあげたら案外すんなりと貸してしてくれた。
 朱鳥は多少おっかなびっくりしながら一番上の段まで辿り着き、その壁の上から慎重に顔をつき出す。

 高いところにある清々しい風が、朱鳥の顔を通り過ぎていった。

 初めて覗く屋上は、まるで彩られる前のキャンバスだった。
 真っ白なコンクリートパネルが並べられているだけで、視界を遮るものはほとんどなく、小高い丘のような給水塔だけがその存在感を示している。
 周りはぐるりとフェンスで囲まれ、その向こうには高い空と低い街と遠くに山が広がっていた。

 そのコンクリートパネルの中央で、天寺は大の字になっていた。

「寝てる……だけ?」

 その光景に、朱鳥は拍子抜けした。
 まぁ、確かによく考えれば人目に付くこともなく、日当たりもいいこの場所は、うってつけの昼寝スポットといえた。
 よく見ると、両手が回された頭の下には鞄が置かれ、その隣には弁当箱も置いてあった。

 それから朱鳥は5分ぐらいはここまできた苦労も鑑みて粘ってみたが、結局何の変化もないことにすっかり辟易して、後は遥に代わった。

 てっきり遥も5分位で飽きると思っていたら、何が楽しいのかなんと予鈴が鳴るまで微動だにすることはなかった。

「おーい遥、もうチャイムが鳴ったから行くわよー」

 下から、一応は音量抑えて声をかけると、遥はなぜか3秒くらい待ってから、

「……うん」




 名残惜しそうに壁の向こう見つめながら降りてきて、隣に並んで鉄扉の方へ歩いていった。

「あー無駄な時間を過ごしたわー……って、やだこれ脚立返さなきゃじゃない!? どうしよう遥、わたしたち午後の授業間に合わないんじゃない?」

「あ、いや、脚立は何か今日は使う予定ないから放課後までに返してくれればいいって言われてたけど」

「あなーんだ。もう心配して損した、そういうこと知ってるなら早く言ってよ遥」

「ああ、うん、ごめん」

「…………?」

 その様子を見て、朱鳥はかすかに眉をひそめる。
 何を言っても、なぜか遥は上の空のようだった。

 そしてじっと、壁の方を見ている。
 何が気になるのか?
 結局天寺が、最後まで横になっているだけだったんじゃないのか?

「あ、もしかして遥ってば……」

「ん? 何?」

「天寺を心配してんの? 確かに私たちでギリギリっぽいから、天寺。遅刻するかもしんないわよね。うーん、だけど今からここから声かけるっていうのも、せっかくバレないようにしてたのに間抜けっていうか、なんか微妙よね?」

 これでまず間違いないだろうと思って出した答えだった。

「あ、うん、そうだね」

 だけどなぜか、遥の上の空の声は変わらず、そして視線も移ることも最後までなかった。
 それがかすかに気になると言えば気になったら、それよりも午後の授業に遅れることの方が重要だったので、朱鳥さして気にもとめず、後手で鉄扉を閉めた。

 バレたくないと言っておきながら大して繊細さもない扉が閉まる音と、あとに続くカンカンカン、と階段を下りていく足音。

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