新着記事

ウマ娘 プリティーダービー 真っ直ぐ疾る純粋さに涙が止まらない

革新的競走馬美少女化ライブアニメ このアニメは自分にしては珍しく、ある程度事前情 ...

極真空手家が考える 強さを構成する5つの要素を完全解説!

強くなりたい 大体格闘技を始める人のそのほとんどが動機として抱えるのがこれだろう ...

“小よく大を制す”堺貞夫 世界王者松井章圭を追い詰めた極真の奥義のその神髄!

小よく大を制す 武道、主に柔道などで、いやそうでもない相撲などでも、格闘技でも使 ...

“戦慄のブラジリアンキック”グラウべフェイトーザ 人間凶器と恐れられた足技、秘密・ルーツに迫る!

二つの異名 戦慄のブラジリアンキック。 人間凶器。 この2つ名が、これ以上ないほ ...

記事ジャンル一覧

六十二話「空手の目的」

2020年10月7日

まずはブログランキングにクリックのご支援
何卒宜しくお願いします。

 にほんブログ村 にほんブログ村へ 
 にほんブログ村ランキング   人気ブログランキング

最初から読みたい方はこちらへ! → 初めから読む
___________________

目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

 手の平。

 突っかけようとした纏が最初に目にしたのが、それだった。
 自分に向けて真っ直ぐに突き出された、右の手の平。

 それを一瞬、纏は構えかと思った。

 しかし、それにしては妙だった。
 慎二は右の手の平を前に出していたが、他はまるで棒立ちの状態だったからだ。

 腰も落とさず真っ直ぐ立ち、左手もだらりと下げている。
 天寺のようなノーガードの構えを思ったが、殺気がない。
 どちらというとこれは――

「どうした?」

 その状態で動こうとしない慎二に、主審が問いかけた。
 それに慎二は笑顔で応え、短く答えた。



「棄権します」



 試合場の主審と纏。
 それに、四隅で待機している副審と両陣営のセコンド。
 最後にパイプ席で観戦しているS席の観客。

 ここまでの人間が、一気に凍りついた。

 それより後方の人間は、マイクで集音されてる音声でないと聞き取れないのだ。
 その、試合場の人間とS席の観客までの全員が、思った。

 この男は、今、なんと言ったのか?

 棄権します。
 それの意味することを、この男はわかっているのか?

 その全員の眉がひそめられた時、主審が口を開いた。

「君……その意味が、わかっているのか?」

 しかし慎二はその問いには答えず、右の手の平を下げて、纏に向かって歩いていきながら、淡々と言葉を紡ぎ出した。

「問題は、やつだ。蓮田夕人なわけよ。俺じゃあやつには、勝てない。この前司に負けてるからな。その司が、あのざまだ。そんなやつに、勝てるわけないだろ? 俺も、あんたに託すよ。すげぇパンチと蹴り、持ってるよな」

 そして纏の目前まで迫り、体を折り曲げて耳元に口を寄せ、その小さな肩を叩き、笑顔で言った。

「ま・か・せ・た・ぜ?」

 体を起こし、手の平をひらひらと振りながら、一度も振り返らずそのまま試合場をあとにした。
 あとには呆気に取られた審判団と、セコンド陣。
 S席の観客達と、流れに置いていかれたA席以降の観客達――そして。

 拳をさらに堅く握る纏の姿が、残された。





 試合場をあとにして、選手用の通路を控え室に向かって慎二は歩く。

 その顔は、先ほどと同じように皮肉げに歪められていた。
 俯き加減に、腰の茶色の帯に親指を突っ込みながらフラフラと足を進めていく。
 その行く先に――

 わだかまる人影を見つけた。

 慎二は目を細める。
 暗い通路。
 明かりも何もないそこに、誰かがいる。

 目を凝らして見つめると、それは――大会用のオレンジのスーツを着て、腕組みをする、太い顔とまとめられた髪をした――橘哲侍だった。

「橘センセー……」

 慎二は困惑する。
 哲侍は大会中、本部の審判長席にいるはずなのだ。
 それなのになぜ、今ここにいるのか?

 まるで、自分を待っていたかのように。

「海宮」

 声が掛けられる。
 それに姿勢を正して向き合うと、続きの言葉が降ってきた。

「なぜ棄権した?」

 あ、やっぱり。

 慎二はその問いかけが来たと同時に、いたずらがバレた子供のように破顔した。

「責任とか、勘弁なんスよ」

 未だ難しそうな顔を崩さない哲侍に向かって頭を掻きながら、慎二はその理由を語り出す。

「下馬評覆すのは楽しいけど、優勝とか別に興味ないんで。それに俺、煉仁会空手は好きっスから。だから今回の決勝には出たくない。それにセンセーの息子さんなら、間違いないっス」

「……ふっ」

 その答えに、哲侍は口元を緩ませた。

「お前らしいな」

「センセーだって、色んな目的で空手やっていいって言ってたじゃないスか」

 慎二もさらに悪戯に口元を緩ませた。
 そして、決勝戦が始まる。
___________________

続きはこちらへ! → 次話へ進む

クリック👍のご支援お願いします。
にほんブログ村 にほんブログ村へ 
ありがとうございますっ!🙇