【体重差55kg】ガオグライvsマイティモー ハイキックロスカウンターでムエタイ戦士がサモアの剛腕を粉砕!
小よく大を制す
武道、そしてそれを超えて、格闘技、その理想を表した言葉だと言われている。
私はこれまでにその小よく大を制した戦い、名選手、その理念、それを紹介させていただいてきたが、それはやはり実際以上に難しいと言えるだろう。
身長差20センチ、体重は33キロ差を跳ね返し、本部の怪物と言われたウェイト制大会4度の優勝戦績を持つ七戸康博を相手に五分の戦いを演じて体重判定まで持っていき、退けた、第5回世界大会王者緑健児。
さらには身長差32センチ、体重は50キロ差のオランダのカレンバッハを相手に、素手での顔面パンチあり、投げ技寝技もありと言う中でその胴で蹴りを受け馬乗りになり投げ飛ばされるを繰り返し、30分間の首都の末参ったをさせたスモールタイガー藤平昭雄。
身長差15センチ、体重差25キロの中円運動の極地、そして鉄拳とも言えるもの凄まじい正拳の破壊力を発揮し、再延長の末、後の全日本王者桑島保浩を判定3対0で破ると言う快挙を成し遂げた堺貞夫。
さらには身長差16センチ、体重差は驚愕の41キロ、それをものともせず、後の世界大会準優勝逢坂祐一郎を、再延長4対0という鑑賞と言う形で沈めてしまった人間風車、谷川光。
しかしそれらの戦いの素晴らしさは全く筆舌に尽くしたいものがあるとした上で、やはりいわゆる小が大を本当の意味で倒す、その難しさと言うものが、浮き彫りになるとも言えるだろう。
しかしそれは事実として仕方がないもので、実力が高くなればなるほど、それは拮抗していき、そもそもが大同士であっても、早々倒すと言う場面が現れる事はなく、だからこそそれが現れたときは、すでに述べさせていただいた第6回世界大会準々決勝の数見肇VSグラウベフェイトーザ、第10回世界大会の準決勝、塚本徳臣VSローマンネステレンコのように、会場が爆発するような喝采が巻き起こる。
だからこそ、元来的それは不可能なものだと思われている。
だからこそだからこそ、それが成し遂げられた戦いと言うものだ、いかに稀有で、奇跡的なものだと言うことを証明になると言えるだろう。
前置きが長くなってしまったが、そんなわけでご紹介させていただきたいのは、K-1グランプリ2005の準々決勝で行われた、ガオグライゲーンノラシンVSマイティーモーの試合である。
元来的に空手の試合以外で、体重差のある試合と言うものが起こる事はほぼない。
特に顔面パンチありの戦いにおいて、体重差と言うものは致命的になりがちであり、非常に細かい体重設定と言うものがなされているからだ。
しかしこの戦い、信じがたいほど驚天動地の体重差で行われていた。
77kg vs 132kg
ガオグライが77キロに対して、マイティモーがなんと驚きの132キロ。
体重差まさかの55キロ。
こんな体重差で、しかもグローブをつけての顔面パンチあると言う下手すれば死人が出るぞと言うもはやお膳立て。
しかもその対戦相手が体重以上とも言えることに大変な相手だった。
怒涛のサモアンフック。
そう呼ばれ、K-1参戦後そのサモアンフックでKOの山を、というかほんとにKOの連続を築き上げ、グランプリ開幕戦では剛力王と呼ばれていたゲーリーグッドリッジをなぎ倒し、さらには2003、2004とグランプリを連覇していた現王者ボンヤスキーからダウンを奪って勝利し周囲を驚愕させ、さらにはその4ヶ月後にはマイクタイソンと互角の試合をするほどのプロボクサーであるフランソワボタをそのパンチでねじ伏せると言う信じがたい偉業を達成している。
K-1GPソウル大会で16キロ差などを跳ね返しKO勝ちなどの活躍を見せつけて、毒サソリと呼ばれたアレクセイイグナショフ、マイクベルナルドと引き分けたりもしていたが、これはもうどう考えてもある意味最初から勝負が決まっている戦いと思われていた。
185センチ132キロVS 180センチ77キロ。
解説によるとこの試合のテーマはただ1つ、当たるのかサモアンフック、それとも3分3ラウンド、避け切るのかマトリックス。
当たるか当たらないか。
一発でも当たったら体重的にもガオグライ選手は立ってられないです。
つまりは狩るものと狩られるもの、そういう風に見られていた、そういうことになる。
獰猛に表情を変化させるマイティモー、ただただまっすぐ見据えるガオグライ。
開始と同時にまずはマイティーモーが左ジャブ。
それにガオグライが回り込みながらインロー、前蹴りで距離を測る。
そこにマイティーモーが右ミドルでロープに貼り付けにして、右ボディフック四連打からの左サモアンフック。
それを頭を下げて、頭を下げたまま側頭部にも目がついているんじゃないかと言う感じでそのままバックステップで避ける。
すごい空間把握能力だ。
ガオグライのワンツー、マイティモーの左右フック。
左ミドルを叩き込み、しかし開始の右ボディフックでロープまで吹っ飛ばされる。
やはりこの体重差はいかんともしがたいが、何しろほぼ体重1.7倍だし…そんな雰囲気が場を支配しだす。
そんな中前蹴りの軌道からの左ハイキックがパチンとマイティーモーの顔面に音を立て、会場が湧き立ち、マイティモーもそれに鼻をかいて闘志をあらわにし、左右フックで追い回し、左右そこから左に戻っていきそれを見定めたマイティモーが右フックを――
ハイキックのクロスカウンター
一瞬何が起こったかわからなかった。
そして次の瞬間、思わず声が上がっていた。
うおおおおおお!?
このシーンだけは何回見ても、その瞬間驚き、目を剥いてしまう。
マイティモーがその右フック、それでこの飛び回るムエタイ選手を押し止めようとしたその瞬間、ガオグライはその左右左と戻るそれがおそらくは誘いとなっており、相手の攻撃を引き出し、その瞬間本当の意味で飛び上がり、その側頭部、こめかみめがけて、ジャンピングハイキックを放ったのだ。
というか最初からそのプランで、マイティモーが動き出す前にその左に戻る動きが助走になっており、文字通りピタリとはまったようにジャストミート、クリーンヒット、マイティーモーはなすすべなくその巨体をマットに転がせていた。
マイティーモーも必死に立ち上がろうとするが、体は痙攣しており、特に食った左半身、左腕が全く言うことを聞かないようで、それでも一応立ち上がったもののそのまま当然のようにノックアウト判定。
1ラウンド2分40秒、
体重155キロ、1.7倍を乗り越えて、まさかの1ラウンド、それもたったの一発での勝利。
こんなことあり得るだろうか。
しかもその時のムエタイは、高く美しい蹴り、首相撲で崩すことを高いポイントとしており、それほどKOは重視されておらず、さらにはハイキック等もそれほど使いこなす選手は私の知る限り散見されなかったと言うのに…
まさしくムエタイ界、いや、キックボクシング――格闘技界の特異点。
そう評すべき一戦、戦士だと言えたのではないだろうか。
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