黒澤浩樹vsリビエール 体重差40kgも世界王者の夢絶たれた怒りで”カナダの怪物”を打ち砕く!
格闘マシーン
格闘マシーンと呼ばれその無双の下段廻し蹴りで一本立ちの山を築き、全日本大会初出場初優勝最年少記録の金字塔を打ち立て、準優勝、6位と入賞、全日本ウェイト制でも準優勝一度、3位に2度入賞、4位に一度入賞し、そして世界大会は6位、3位、6位とすべてに渡り安定した力を見せつけ、それに何より鮮烈な1本勝ち、右膝十字靭帯を断裂し足がグラグラになってしまっても意に介さず戦い続ける溢れ出る闘志によって忘れられないインパクトを残した名選手と言える。
そんな黒澤浩樹のBEST BOUT、最も彼がその持ち味、力を発揮し、輝いた瞬間、それを取り上げさせていただきたいと思う。
それは史上最大規模となった、125カ国250名が一堂に会した、第5回全世界空手道選手権大会。
そこまで黒澤浩樹は無差別の全日本大会は優勝、準優勝の栄冠の後は入賞すら遠ざかっており、第4回の全日本ウェイト制大会では準優勝となっているが、しかしその後やはり上位に進出することができず、第5回世界大会の5ヶ月前に、その日本代表選考として開催された第8回全日本ウェイト制大会に出陣し、準決勝。
その第4回全日本ウェイト制大会の決勝で敗れた七戸康博と対戦し再延長まで戦い試し割り判定で惜しくも敗れてことになるのだが、しかしそこで黒澤浩樹の薬指から折れた指が飛び出しているということが判明し、その状態で渾身の突きを打ち続けていたと言う事実で会場どころかあらゆる格闘技関係者を驚愕させての、推薦での出場という経緯となっていた。
そんな万全、好調とは言えない中のはずだったが黒澤浩樹は強かった。
初戦をわずか、右内股下段廻し蹴り一発で終わらせ、2回戦3回戦も強烈なパンチからの右下段回しの連打で圧倒、4回戦はそう一発一発で会場に掛け声が生まれるほどの観衆すべてを味方につけての完璧なる1本勝ち。
そして5回戦も危なげなく勝ち上がり、準々決勝で相対した第21回全日本王者にしてその後グランドスラムを達成する超巨大戦艦八巻健二に対しても必死の力で抗い、しのぎ切り、体重判定に持ち込んでの勝利を掴み、神がかったものを見せつけたものの、準決勝で小さな巨人緑健児と闘い、その変幻自在の権利、間合いの変化に対応出来ず、そこから強烈無比のパンチ、中段廻し蹴りのコンビネーションを浴び続けてしまい、今度は逆に体重判定で破れてしまうことになる。
このときの悔しさたるや、想像に難くないものがあるだろう。
目の前で、世界王者の冠が、こぼれ落ちていく感覚。
そして迎えた、3位決定戦。
“白鯨"ジャン・リビエール
いちど敗れ、もう優勝と言う事はなく、その中で再び自らに喝を入れ、ダメージのある体に鞭を打ち、試合上に、壇上に向かわなければいけない。
しかしそこで、未だエンジン全開で、燃え尽きるどころかその内側に悔しさと言うガソリンを注ぎ込まれた格闘マシーンは、爆発することになる。
カナダの怪物、白鯨と呼ばれ、それまで本大会の選抜先となった第22回全日本大会で3位に入賞、その半年前の第7回全日本ウェイト制大会重量級で優勝も果たしている岩崎達也を後ろ廻し蹴りのクロスカウンターと言うもう二度と起こる事はないだろう技で1本勝ちに葬り、オランダの190センチ100キロを誇る巨漢にして圧倒的な強さで勝ち上がってきたジョニークレインとのパンチ対キック対決を制した。
下段廻し蹴りをガードの上から叩き込み沈めたシーンなど、あまりにインパクトのある勝ち上がり方をしていた。
そんな彼は準決勝で城西の爆撃機、直前の全日本大会の優勝者である、そういった意味で現在日本最強の男と言える増田章と相対しており、再延長まで激しい打ち合い、斬り合いを繰り広げ、体重判定で惜しくも敗れると言う結果となっている。
その体重差、黒澤浩樹87キロに対して、ジャンリヴィエール127キロ。
驚愕の、40キロ差。
お互い重量級だとは言え、体重1.5倍の差、身長差も14センチと、通常であればまず考えられない体格差と言える。
そんな実績、体格差の相手。
しかしそんな事は関係ないとばかりに、試合前の黒澤浩樹の表情は、くすぶるもので破裂寸前のようにも見受けられた。
体重差40キロの闘い
開始と同時に黒澤浩樹は小刻みに体を揺らし、ステップバックして前蹴りで飛び込み、そこから右足をひいての思いっきりの下段廻し蹴り。
さらに飛び込んで右の下突きからの左下段。
白鯨の顔が歪む。
距離をとってタメを作り、左下段からの右の下突き、右中段廻し蹴り、飛び込んでくるところに左下段のカウンター。
鮮やか見事なコンビネーション。
さらに一瞬の隙をついての右上段回し蹴りを側頭部へ!
会場がわく。
右中段廻し蹴りで強烈な破裂音が巻き起こり、連打、下段、追い詰め、左下端、下突き、右内股、右の廻し蹴りの連打で場外へ!
喝采。
左、右下段、ものすごいパンチの連打の反撃も意に介さず、左下段右中段、左下段右中段、そこで一旦距離をとって、無駄なダメージを喰らわないようにして円を描きながら左下段でダメージを重ね、相手の体の振りに合わせての鮮やか見事な右下段。
そして全く同じタイミング、モーションでの右上段回し蹴りを顔面へ!
凄まじい、神がかってさえいる。
すべては黒澤浩樹の思いのままに。
前蹴りを軽やかに躱し、左ロー左ロー右ハイ右ミドル、右左ロー、下突き、右ロー、右ミドル、くっついての下突き下突き、膝蹴りで再び場外へ。
これが40キロ差ある闘いだろうか。
さらに足払いで転ばせようとし、左右下段からの右下段で足を効かせ、再びの奥足下段で完全に両足を持っていき、試合終了。
格闘マシーン、ここに爆発。
戦うために生まれた男の、その1つのたどり着いた姿が、ここに顕現されたかのようだった。
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