“現代の侍”数見肇 グラウべ、フィリオを破り全日本二連覇!ギャリーオニール、岩崎達也、堀池典久らと激闘を繰り広げ勝ち取った栄光!
第26回全日本空手道選手権大会
全日本大会都合五度の優勝、全世界ウェイト制大会優勝、世界大会2大会連続準優勝と輝かしい記録を残しその史上最強とも言える下段廻し蹴りの威力を見せつけ、極真史に燦然と残る輝きを見せた、数見肇。
戦慄すぎるデビュー、全世界準優勝の増田章、全日本中量級2度の優勝の三明広幸、全日本準優勝世界大会6位の石井豊、全日本重量級4度の優勝の七戸康博を破って、まさしく超新星とも言える活躍を見せた第24回全日本空手道選手権大会。
その後数見肇は続く第25回全日本大会を、その24回大会決勝で敗れた田村悦宏にリベンジする形で、初優勝を遂げる。
そして第6回全世界空手道選手権大会の選抜戦となった第26回全日本大会に、優勝候補として堂々たる選手宣誓をし、挑むことになる。
2回戦から登場し、ニュージーランドのポール・クリアーに左の下段廻し蹴りを完全に効かせ、さらに右の下段廻し蹴りも効かせ完封、3回戦は広瀬選手を相手に延長戦にもつれ込むが、下段廻し蹴りを脛受けで捌きながらも、そこから強烈な中段廻し蹴りで凄まじい炸裂音を会場に響かせ、そこからパンチと膝蹴り、そして中段廻し蹴りで注意を向けておいて、カウンターの下段廻し蹴りを加えてダメージを重ね勝利。
4回戦の杉村太一郎との戦いでは入ってくるところにパンチ、そして下段廻し蹴り合わせて円の動きで回避の繰り返しで、後の先全開で延長判定勝利。
準々決勝では巨漢の我孫子浩二を相手に猛烈なプレッシャーをまるで気にしていないかのようなカウンターの中段廻し蹴り、そして受け流し。
相手の攻撃を受け止めての突き、下段廻し蹴り、それら全てが冴え渡り、一切付け込む隙を見せずに完勝。
準決勝では、24回、25回と2大会連続で際に入賞している岡本徹と対戦するが、その岡本徹は準々決勝でデンマークの強豪、ニコラス・ペタスと延長3回にも及ぶ戦いの末、3対2の薄氷を踏む接戦を戦っており、さらには準決勝で人間風車谷川行とも戦い、身体的な限界で、そこに数見肇は綿のつなぎ目、パンチを好き、そこをついた下段、突きを打ち込み、確実な勝利を収める。
そして決勝で待っていたのは城南の先輩、八卷建志。
八巻健二は中段前蹴り、そして上段前蹴りを飛ばして中間距離でアドバンテージを取ろうとする。
数見肇はそれを躱して、飛び込んで下段廻し蹴りを狙おうとするが、その接近戦で八卷建志の最も得意とする右の鉤突きが炸裂。
さらにそれに加えて猛烈な胸への突き、痛々しい音が会場に響き渡る。
それにも数見肇は下段廻し蹴りを合わせようとするが、下段廻し蹴りが得意なのは八卷建志も同様。
途中中間距離で後ろ蹴りも放つが、さらには八卷建志も後ろ回し蹴りを返す。
回ろうとするところを右の下段廻し蹴りで止められ、前蹴りで動きを止められ、延長戦ではそれを警戒、学習して、さらに機敏に体動かす数見肇。
途中飛び込んでからの素早い上段回し蹴りで顔面を脅かすが、八卷建志は崩れず。
途中から捕まり始め、胸への突き、そして前蹴りで貼付されての下段廻し蹴りをもらい、逆に下段廻し蹴りを返すタイミングが掴めず、最後は嵐のような胸への突き、右の鉤突き、下段廻し蹴りを身長でも体重でも上回る相手に回り込まれながら連打され、最終結果は準優勝となった。
そして迎えた第6回全世界空手道選手権大会。
第6回全世界空手道選手権大会
初戦から右下段廻し蹴り全開で攻め立て快勝するが、3回戦はイランのホセ・インザハを相手に再延長までもつれ込む激闘。
下段廻し蹴りをもろともせずに突進して重いパンチを払ってくるザハに苦戦しつつも、最後は的確さと手数で押し切って勝利。
準々決勝では堀池典久と対戦。
後の第29回全日本大会3位、第一回全世界ウェイト制軽重量級準優勝となり、数見肇のライバルとさえ呼ばれる男だったが、数見肇は冷静にその鋭い蹴りを受け、さばき、そして入ってきてパンチに来たところに強烈な下段を合わせ、効かせ、崩し、名人芸とも言える勝利。
そしてベスト8のうち5人を外国人が占める中、相対したのはフランシスコ・フィリオ、ニコラス・ぺタスと並んで海外三強にして優勝候補の1人、ブラジルのグラウベ・フェイトーザ。
身長193センチと言う長身、そこから180センチまで造作もなく届くと言う膝蹴り、猛烈なリーチからパンチのラッシュ、それにより勝ち上がってきたまるで暴風のような男。
いきなり左のブラジリアンキックを放つグラウベフェイトーザに対して、数見肇は中間距離から膝の付近を狙う下段廻し蹴りを飛ばす。
入ってきてパンチの応酬から下段を放つが、離れたところを長距離砲の前蹴り、そこからの膝、パンチで数見肇は崩され、後方に一回転させられてしまう。
何と言う圧力か。
さらにグラウベフェイトーザは飛び込み様のものすごいリーチの左中段廻し蹴り、数見肇も下段廻し蹴りを合わせようとするが届かず、さらに追跡のパンチを食ってしまう。
ついで上段回し蹴りから、ものすごく長い下突きの連打、下がっていく数見肇に、会場に悲壮感が漂う始める。
上段膝も絡め、そのうちの壱発を顎に直撃させ、全日本2連覇、昨年準優勝の数見肇をコーナーへと追い詰めていく。
いつあの上段膝蹴りで技あり、もしくは1本を取られてもおかしくない、今大会で日本の世界大会連続優勝は途絶えてしまうのか、ブラジルに負けてしまうのか、そんな嫌なムードが場を支配し始める。
しかしそんな中でも数見肇だけは、ブラジリアンキックがかすめながら、膝が顎先を捉えながらも、崩されず、倒れず、下がらず、ひたすら左の下段、それにかけていた。
太ももじゃなくてもいい、急所じゃなくてもいい、脛どころか、膝でも構わない、そのような思いが込められているような、自分の背足、脛がどのようになっても構わないような、それは覚悟が込められた一撃だった。
それがグラウベフェイトーザの動きを、徐々に徐々に鈍くしていく。
廻し蹴り、そして膝の勢いがなくなっていく。
しかしそれでもグラウベフェイトーザは下突きのラッシュだけで数見肇を追い詰める。
そして数見肇も不動の心で、グラウベフェイトーザの右足を大きく外に吹き飛ばす。
そう、このときのグラウベフェイトーザの足には、その前の準々決勝で戦った市村直樹、第26回全日本で3位に入賞しながらも、グラウベフェイトーザの膝蹴りの嵐に巻き込まれ、何発も何発も顎にもらいながらも耐えたが、最後はついに技ありを取られ破れたが、その魂の下段を何発も何発も叩き込み、確かなダメージを与えていたのだ。
本戦判定、グラウベフェイトーザが1本、引き分け。
そして戦いは延長へ。
早々にグラウベフェイトーザの左中段廻し蹴り、数見肇は下段を合わせ、崩す。
さらに追撃の下段、効いた、そして右の上段廻し蹴りに、鮮やかに下段を合わせ、倒し、下段突き。
鮮やか見事、わざありか!?
誰もが目を見開いたが、しかし判定はとらず、続行。
がっかりした空気が流れる中、数見肇はラッシュされつつ、その両の膝に下段廻し蹴りを連打。
グラウベフェイトーザを撃破!
そして右の正拳突きからの流れるような左下段廻し蹴り、それによりグラウベフェイトーザが初めて完全に止まり、足を引きずり、さらに追撃の下段で、ついグラウベフェイトーザから…あのグラウベフェイトーザから、技ありを奪取!
大歓声、大拍手、会場喝采。
続行して中央で探り合いの後、右の下段、右の下段、右の下段!
足が吹っ飛び、グラウベフェイトーザは背中を向け、数見肇まさに奇跡とも言える、1本勝ち!
この時間違いなくて数見肇はヒーローだった、ブラジルの脅威から日本を守った、ヒーローに違いなかった。
そして迎えた準決勝。
相対するブラジル、そして世界最大最強の脅威、フランシスコフィリオ。
開始早々から横蹴り、そしてブラジリアンキックで間合いを制し、パンチの連弾につなげていくフランシスコフィレオ。
しかし数見肇はグラウベフェイトーザとの戦いで間合い、タイミングをつかんだのか、崩されることなく、そこに的確な左の下段を合わせていく。
右の中段廻し蹴りに膝への右の下段を合わせると言う強気な妙技。
そして膝近くの急所が、膝下、そこへの下段廻し蹴りが効果を発揮し始める。
フランシスコフィリオも前に出てポイントを取り返そうとするが、そのパンチが効かせるものから押すものへと変化してしまっている。
しかしやはりその圧力は明らかにグラウベフェイトーザ以上で、なかなか数見肇は下段廻し蹴りを合わせるタイミングをつかみ切れないのも事実。
延長では数見肇右の下段廻し蹴りを連打、フランシスコフィリオはそれを嫌がって接近して打ち合いを避ける。
そして数見肇は本当にリスクを恐れず、右の後ろ廻し蹴りに対して下段廻し蹴りを合わせて点灯させると言う離れ業さえ見せつける。
この人は恐怖心とかそういったものを持ち合わせていないのだろうか…
何より下段廻し蹴りを得意とする選手は、どうしても視線が下に行きがちで、上段カバーが甘くなりがちと言う点が見受けられるのだが、数見肇に関しては全くそれが当てはまらない。
それどころか常に全体を把握し、大局観を持って、その時最もすべき適切な行動を選択しているように見受けられる。
フランシスコフィリオを破る
再延長でも数見肇元は変わらず、なんと後ろ蹴りに下段廻し蹴りをすると言う大変危険な技で腹にもらおうとも微動だにせず、戦いは一転してお互い下段廻し蹴りを競り合う展開となるが、フランシスコフィリオは体勢をまともに保てず、つかみ、もたれかかる展開となり、お互いクリーンヒットが出ず、そして終了間際渾身の右の下段廻し蹴りが足に食い込んだんじゃないかと思える位の見た目、そしてダメージを与え、赤い旗が2本あったが主審がとらず引き分け。
体重判定となりフランシスコフィリオが103.5キロ、数見肇が97.5キロで、10キロ差はなく、試し割り判定でフランシスコフィリオが22枚、数見肇が24枚で、ついにあの最強最大の脅威であるフランシスコフィリオを日本の数見肇が止めるに至った。
グラウベフェイトーザ、そしてニコラスペタスを破ったフランシスコフィリオ連覇すると言う、日本代表として、まさに完全完璧なる仕事をやってのけた、未だ若干23歳と言う数見肇。
その彼の姿に場内からは割れんばかりの惜しみない拍手が降り注いだ。
決勝戦はやはり第26回全日本選手権大会と同じ組み合わせとなった、八巻健二。
ダメージの多寡もあるだろう、やはり序盤から前蹴り、後ろ蹴りで間合いを制せられ、中段廻し蹴りと右の鉤突きでくの字に曲げられ、そこから左右の突き、下段のラッシュにさらされ、最後はついに右の下段を効かされ敗れたが、それはまさに堂々たる世界大会初出場準優勝と言えるだろう。
肉を切らせて骨を断ち、文字通りその肉体と魂を持って空手木日本の牙城を守った、数見肇。
その後八卷建志が引退し、数見肇は世界大会へ最上位入賞者にして、日本を背負うエースとして、第28回全日本空手道選手権大会に挑んだ。
堂々たる選手宣誓、そしてゼッケン1番を背負って迎えた初戦。
第28回全日本空手道選手権大会
下りながらの鉤突き、左右下段蹴り、そしてつめての正拳突きで危なげなく突破し、2回戦は相手に体重をかけてのパワフルなパンチからの下段蹴りで、相手を圧倒する形で3回戦へ進む。
さらに試し割りを29枚成功させると言う脅威のレコードを見せつけるが、これにより古傷の右腕を骨折、倒れたブロックで足を負傷してしまうと言うアクシデントに見舞われてしまう。
そんな中3回戦では様々な流派の大会で優勝を果たし松本勇三と相対し、上段回し蹴りに内股を合わせて崩し、さらに入ってくる所に合わせ、止まったところに攻め込んで今度は太ももを蹴り込んで、付け入る隙を見せずに勝利。
4回戦は島端選手に押し込まれるも、内股の連打で崩して、崩して、崩しまくってから右の中段廻し蹴り2連発、さらに左右下段廻し蹴りを効かせて、勝ち上がり。
準々決勝ではライバルと歌われた堀池典久と対決、序盤から右の強烈な下段廻し蹴りの音で周囲を驚かせるが、堀池徳久もシャープで鋭い強烈な廻し蹴りを返していく。
しかし数見肇の左の奥足下段が効き、止まったところに様々な下段廻し蹴りの速射砲、途中下段から上段に変化する廻し蹴りを当てて再び場内から歓声がわき、足が効いてしまった堀池徳久は手数が明らかに減り、延長ではガードを捨ててパンチのラッシュで反撃するが、数見肇は冷静に今度は右の下段廻し蹴りを連打。
再延長戦までもつれ込み、最後の最後まで堀池典久は食い下がり、数見肇は体を右に左に躱しながら下段廻し蹴りでカウンター。
最終的に引き分け1、赤い旗1、白い旗が2本上がり、それに主審もならい3対1で苦しい接戦を制し準決勝へ。
準決勝では第26回全日本大会3位の強豪市村直樹を破り勝ち上がってきた新鋭、高尾正紀と対決。
巨体にも見合わせ中間距離でじっくり見る高尾に序盤数見肇は右の中段廻し蹴りの連発でその距離を制し、帰ってきたところのパンツのラジオスルリするりと足を下げて交わし、そして飛んできた上段回し蹴りに見事合わせて、その巨体をひっくり返す。
どっしりと構えて、パンチを受け止め、一瞬の隙をつき内股で崩し、反撃は左の鉤突きのみと言う、数見肇は右腕が使えないハンデを感じさせない。
延長戦では一瞬の隙をついた、やはり堀池典久戦で飛び出した上段回し蹴りが顔面を捉えたりもし、どっしりと構え、相手の体に反応して目まぐるしく動くを繰り返す。
オーソドックスとサウスポーをスイッチをして繰り返し、右に左に蹴りとパンチを繰り出すその姿は、ほとんど相手の動きに反応して、感覚だけで戦っているのではないかと言う想像を沸き立たせる。
さらに左中段廻し蹴りからの上段回し蹴り、下段廻し蹴りの印象が強いが、要所要所で様々で的確な蹴りが実に効果的だ。
再延長では右足の前蹴りを連発、さらに膝蹴り、そこから内股、間合いとタイミングを見切ったのか攻撃をほとんど貰わない。
鮮やか見事。
そこで数見肇に旗が2本旗が上がったが、主審がとらず引き分け、体重判定でも決着がつかず、試し割り判定29対18枚で決勝に進出した。
しかしここで、数見肇に再びアクシデントが起こっていた。
この準決勝で、数見肇は右膝の靭帯を痛めると言うさらなる怪我を重ねていたと言うのだ。
右腕骨折に続いて、これはもはや、片腕片足で戦うと言う、圧倒的絶望的状況。
そこで対戦するのは、飛び後ろ廻し蹴りによって、いくつもの1本を奪い、そして準決勝では後に全世界ウェイト制重量級を制する高久昌義を飛び後ろ廻し蹴りによって技ありをとり、粉砕した、第6回世界大会4位、オーストラリアのギャリー・オニール。
ここで止めなければ、史上初、全日本大会優勝者の海外流出を招いてしまう。
それはなんとしても食い止めなければいけない。
悲壮な空気が流れる中、なんと決勝では数見肇の方から先に前に出た。
“鳥人"ギャリー・オニール
ギャリオニールはギャリーステップと言われる独特のステップを刻みながら、中段廻し蹴り、前蹴り、踵落とし、下段廻し蹴りを飛び道具のように放っていく。
それに数見肇は食らいつくように右の正拳突きから下段廻し蹴りを返す。
ペースはギャリーオニール、間合いを制し、タイミングを制し、どこがそこには悠々とした余裕すらあるようだった。
しかし数見肇は、それをなぎ払いような力強い下段廻し蹴りで反撃。
叩かれても蹴られても体を交わすことをせずに、その身を犠牲にして、下段廻し蹴りを返す。
そのしつこいしつこい下段廻し蹴りが、徐々に徐々にギャリーオニールの右足をとらえる。
そしてついにギャリーオニールの長距離砲の左中段廻し蹴りに、内股を合わせることに成功。
さらに追い詰め、今度は後ろ廻し蹴りに合わせて転倒させる。
少しずつ、間合いとタイミングが合ってきている?
さらに数見肇は痛めているはずの右足による下段廻し蹴りを敢行、判定で白に2本上がったが、再延長戦へ。
再延長では骨折している右腕で重たいパンチを放ち、さらにしつこくしつこく左下段、さらに右足で内股、パンチの連打、骨折、靭帯損傷と言う重症の中、この魂の戦いぶりに、涙が出そうだった。
最後は壮絶な打ち合いとなり、再延長判定3対0で、数見肇は優勝、全日本大会外国人流出のその危機を、救うこととなった。
そして翌、第29回全日本空手道選手権大会。
しかしそこで数見肇は、その3週間前に腰を痛め、試合前の2週間練習はおろか、前日まで歩くことすら困難だったと言う。
そんな中迎えた初戦、相手の攻撃を受け止め、そして合わせての下段で崩し、最後は内股を効かせて勝利したが、今大会例試し割りは全て失敗し、その後に設定される最低枚数である合計3 × 4=12枚と言う形になってしまう。
暗雲が徐々に、立ち込めているかのだった。
3回戦で当たったのは、第13回ウェイト制軽量級チャンピオンの、田ヶ原正文。
前後に激しく動きながら回転技を狙ってくる田ヶ原だったが、数見肇はじっくりと間合いを詰め、下段を合わせ、下段を叩き込み、ほとんどパンチを使うことなく勝利。
4回戦は去年に引き続き再び島端明と対し、猛烈にせめ込まれるも、それを耐え、後半から左の下突き、そこからの強烈武士の右の下段に繋げ、さらに内股、左の下段をつるべ打ち。
前蹴り、三日月蹴り、下突き、中段廻し蹴り、さらに下段、内股とのべつまなく打ちまくり、最後は手数、ダメージと圧倒し、準々決勝へ。
そこで初の同門対決が実現。
初の同門対決
城南の先輩、岩崎達也と相対し、岩崎達也は強烈なパンチでプレッシャーをかけて数見肇はその膝頭めがけてものすごい下段廻し蹴りを返す。
じっくり、じっとりとした、コールタールのような空気。
岩崎達也がプレッシャーをかける中、一発の数見肇の中段廻し蹴りで、岩崎達也が転倒し、場内がざわつくシーンが見られる。
左の下段左の下段。
しかし岩崎達也は崩れない、効かない。
打たれ強さと言うものでは無双に近いものがある男。
その相手に数見肇が珍しく、中段前蹴り、そして上段前蹴りを放ち、さらに上段回し蹴りもたたみかける。
下段一本槍では勝てないと言うことを理解しているのだろう。
岩崎達也はじっと数見肇の目を見て、突進してパンチからの下段を繰り返す。
延長戦も数見肇の左上段廻し蹴り、そして前蹴りから幕を開ける。
岩崎達也の左の鼻から、赤い血が口元へ流れている。
岩崎達也のパンチは重いが、徐々に前に出るだけで、その手数が少なく少なくなっていく。
数見肇が回る、回って蹴る、回って蹴る。
再延長、一進一退の攻防、緊張感が場を支配している、カウンターの数見肇、間合いに出る岩崎達也、しかし、的確さ、技を直撃させた数、そういった意味では、明らかに数見肇に軍配が上がるだろう。
3対0、判定勝利。
準決勝では、やはり再び、堀池典久と対決。
今度は前回の反省を生かしてが、自分からは詰め込んでいくこない堀池典久に対して、数見肇は間合いを詰めて、下突きの連打から左の下段を叩き込む。
そこから右の下段、堀池典久はパンチの連打、そして後ろ回し蹴りで反撃。
さらに右の上段膝に繋げたりしたが、今度はじっくり見過ぎたのか、もろに数見肇の下段が1番重い間合いにはまってしまい、左右の下段をもろにたたき込まれる。
数見肇はギアが上がり、下段に加えて前蹴り、左中段廻し蹴りも放ち、堀池典久の攻撃はほとんど躱し、ほとんどずっと自らのペースで試合をし、その戦いをものにする。
やはり数見肇の攻略は極めて難しい、そう思わせる1戦だったと言える。
そして決勝で待っていたのは、第6回世界大会3位、前年に行われた第28回全日本大会準優勝、本大会に置いて4回戦で後の世界チャンピオンとなる木山仁を破り、準々決勝で市村直樹に競り勝ち、準決勝では体重差40キロにも及ぶであろう田村悦宏とド突き合いを演じた、"鳥人"ギャリーオニール。
昨年と同じ組み合わせとなったが、両者のダメージと言う意味では、前年と逆となったと言っても間違いではなかったのかもしれない。
軽やかなキャリーステップ、どっしりと構える数見肇。
しかし本試合ではギャリーオニールの速射砲のような蹴りは出ず、数見肇が序盤から左右の下段廻し蹴りで場外に追い込む。
内股、内股。
ギャリー・オニールの足が外に弾き飛ばされる。
顔が歪む、効いている。
既にここに来る前に、ほとんど満身創痍だったのだろう。
そこに数見肇は冷静に間合いを詰めて、的確で残酷とさえ言える内股下段を叩き込む。
ワンサイドゲーム。
数見肇強し。
現代のサムライ
そういった意味では、本大会、準々決勝の岩崎達也との戦い以外、ほとんど一方的とも言える試合を積み重ねていたと言えるかもしれない。
岩崎達也との戦いにおいても、ほとんど相手にチャンスを与えなかったと言う意味では、危なげないと言う言い方もできるだろう、実際に旗は2本こちらに上がっていたようだ。
延長戦。
ギャリーは数見肇の下段廻し蹴り吹き飛ばされ、後ろ回し蹴りを返すが当たらず、再三場外へ押し出され、そしてパンチから最後は右の下段、そして左の内股のコンビネーションで、立ち上がることすら困難なほどのダメージを被り、そして数見肇は完璧なる1本勝ちを奪った。
全日本大会、2連覇。
そして海外強豪勢、ギャリーオニールからの、日本王座の死守。
怪我やアクシデントにも負けず、立ち向かい、表情に出さず動きにも見せず克服し突破した、その不屈の精神力。
その頃の雑誌に、こう表現されていた。
数見の試合は、いつも日本人を感じさせる。
数見肇は、現代のサムライだ。
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