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青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

格闘技史上最高のBEST BOUT

二宮城光と戦う極真空手家佐藤勝昭

それを考えたとき私に浮かぶのが、3つの極真空手の試合、2つのキックボクシングの試合、2つの総合格闘技の試合です。

そんな中、私は今までに、総合格闘技のミルコ・クロコップvsエメリヤー・エンコヒョードル、極真空手の"南間合いの星"アデミール・ダ・コスタvs"ヨーロッパ最強の男"ミッシェル・ウェーデルの試合を紹介させていただきました。

そして今回は、格闘技史上最高のBEST BOUT極真空手編第2弾といたしまして、第1回世界大会準決勝、二宮城光VS佐藤勝昭の試合をご紹介させていただきたいと思います。

極真空手の第1回全世界空手道選手権大会。

それは大山倍達がその一心をかけて、ありとあらゆるツテ、それまでの力を総結集し、48カ国、128名が集結し、2万5000人もの観客を動員し、その大会で日本が優勝することができなければ、自らが腹を切るとまで断言した、そういった大会でした。

そんな中で日本勢は快進撃を続け、ベスト8を占める中、行われた準決勝戦で実現した技術、パワー、スピード、その最高峰とも言える試合こそが、この一戦なのです。

二宮城光。

第5回全日本大会ベスト8、第8回全日本大会準優勝、そして第10回全日本大会ではその後無敵を誇り、三誠時代と呼ばれる一時代を築いた、中村誠、三瓶啓二を連覇しての堂々たる優勝を果たしており、その師である芦原英幸、そして極真会館総裁である大山倍達からも多大なる期待、寵愛を受けており、

その柔道でも鍛えた足払い下段突き、そして前蹴り、重い突きは観衆を魅了する、皆が想像する空手と言うものを体現していると言っても言い過ぎではなかったかもしれない。

対する佐藤勝昭は身長180センチ体重は90キロ近くと、当時としては非常に恵まれた体格を誇っており、同じく柔道で高校にて1年間コーチを引き受けるほどの実力を誇っており、その足腰、パワーは確かなもので、

それに加えて西田幸夫、そして"日大の花"山崎照朝に指導を受けたと言う左上段回し蹴り、後ろ蹴り、跳び2段蹴りなどは、その当時の極真空手の規格を遥かに超えた、雄大にして繊細な彼にしか到達しえない領域に達していたと言えるかもしれない。

佐藤勝昭はその試合のほとんどを1本勝ち、もしくは本戦で圧倒すると言う仁王の如き勢いにして、対する二宮城光は乗り込んできた中国のカンフーを相手にローキック、下突きで瞬殺、準々決勝では"人間機関車"の異名を持つ怒涛の圧力の東孝を判定勝ちで下すなど、まさに5分とも言える勝ち上がり方を見せていた。

佐藤勝昭はやや脇を開けた、双手の構え。

この対する二宮城光は、やや円心気味の前羽の構え。

足掛け下段突き

開始直後、いきなりの二宮城光が左の上段回し蹴りを狙ってくる。

それは届かなかったが、さらに二宮城光は飛び上がって間合いを詰めて、どんどん佐藤勝昭に圧力をかけていく。

それに佐藤勝昭が後ろ蹴りを返し、そして接近戦で佐藤勝昭の正拳突き、二宮城光と下突きのド突き合いとなる。

そして一旦離され、佐藤勝昭が遠間からの蹴りを狙ったところ、二宮城光が空振りに終わらせ、1本足になったところを狙い、伝家の宝刀足払いが炸裂!

そこから見事なまでの下段突きを決め、なんと世界大会準決勝で早々の技ありを奪取!

これはとんでもない事態と言えた。

世界大会の準決勝で技ありなど、現在過去を見回しても、そうそうあるようなことではない、このような超ハイレベルで実力差がつくと言うこと自体が、稀な事態と言えるのだ。

やられたといった感じで頭をかしげる佐藤勝昭。

続行とともに、佐藤勝昭が詰めて、胸への突きから下突き、そして二宮城光もそれに応える。

さらに佐藤勝昭は膝蹴り、そこから一本背負いに持っていこうと言うモーションさえ見せる。

この2人の対決だからこそ見られたシーンと言えるかもしれない。

それにお返しのように佐藤勝昭の前蹴りを掴んでの、足払いのようなものを見せる二宮城光。

佐藤勝昭の後ろ蹴り、それをわずかに喰らいながらも詰めての二宮城光の突き、佐藤勝昭の膝蹴り三連打。

一進一退。

そう思われた直後、佐藤勝昭のふわりと舞い上がる独特の左上段廻し蹴りが、二宮城光の顔面をとらえる。

軌道が変化する上段廻し蹴り

それは途中までまっすぐとした軌道で、前蹴りのような中段廻し蹴りのような三ヵ月突き蹴りのようなモーションになっており、そこから軸足が返されることによりグイッと伸びてこめかみをとらえる、恐るべき軌道、破壊力を持った蹴りだった。

急激に起動を変え、視界の外に飛んでいったため、もしかしたら二宮城光からはその蹴りが目に入っていなかったのかもしれない。

バックリとそれは二宮城光の目の上を割り、技ありとなる。

世界大会準決勝で、まさかの本戦にて技ありの取り合い。

何と言う洗練された技術の応酬。

試合は3度目の延長戦へ。

誘導間合いで蹴りの探り合い、そこから二宮城光が接近戦を狙うが、佐藤勝昭が膝蹴りでカウンター。

二宮城光の下突きは強烈だが、それに対して佐藤勝昭が内股の連発で体勢を崩していく。

さらに下突きの撃ち合いでも決して負けていない。

いやむしろ打ち勝っている。

さらに間合いを開けたら、バックリと顔を切り裂いた上段回し蹴りが飛んでくる。

しかし二宮城光も負けずに、1回、2回、3回と、足払いを狙い転がしにかかってくる。

二宮城光もその足技の振り幅、パンチ力の差を感じ取り、体を躱して、そのさばきのテクニックで自らが有利なポジションを取ろうと絶妙に動き回る。

そんな最中、詰めてきた一瞬を狙っての後ろ蹴りが、二宮城光のどてっ腹を穿つ。

延長が繰り返されて、余裕がない中、これは相当きついはずだ。

それに前蹴りからの、膝蹴りさん連打、そしてインロー、膝までたたみかけたところで、試合終了。

判定は、赤1本、白3本上がり、佐藤勝昭の勝利となった。

健闘を讃え、抱き合い、肩を抱き、握手をする2人。

三度の延長を乗り越え、10分者間真剣勝負を繰り広げた、その2人だからこそ到達し得た、見ている者たちがわからない心境にいるのかもしれない。

もう二度とないかもしれない、世界大会準決勝での、本線での技ありの取り合い。

高等技術のオンパレード、お互いの持ち味を存分に生かし、その上で封じ、さらにその上を行き、その繰り返しによりお互いがお互いに考える詰めの形に持っていく、まるで名人戦の将棋の盤のような戦い。

それを見せてもらったらような一戦だった。

二宮城光、佐藤勝昭、極真空手に鍛錬と輝くの2人が、最も壇上できらめいた、綺羅星のごとき戦いが、そこにはあった。

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