“鳥人”ギャリーオニール 二度の全日本準優勝と世界4位 塚本徳臣も学んだギャリーステップと飛び後ろ回しで極真を席巻!

2023年12月13日

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ギャリーステップ

極真空手の長い歴史の中でも、そのステップワークに名前がついているものは、彼だけなのではないだろうか。

身長171センチ、体重72キロ。

身長、体重ともにほとんど軽量級と言っても差し支えない、実際にウェイトコントロールをして出るとしたら軽量級であろうこの体格。

通常で考えれば世界的に通用するものでは無い。

しかしギャリーオニールは、その体格で、まさに革命的な活躍を見せた。

ギャリーステップ。

その唯一無二のステップワークは、後に多くの空手家の影響を与えたいと言い、特に共に城南で稽古し、一緒に住んでいた塚本徳臣は、その動きに衝撃を受けて、その動きを学んだと言う。

さらに、あの極真史上最強クラスの圧倒的な実力を持つ塚本徳臣をして、その絶頂期のギャラリーオニールは、まともに勝つことが難しかったという話もある。

私がギャリーオニールを初めて知ったのは、松井派の第6回世界大会だ。

この大会、数多くの有力選手たちがエントリーしていた。

特に注目された選手だけを列挙しても、八巻建志、数見肇と、フランシスコ・フィリオ、グラウベ・フェイトーザ、ニコラス・ペタス、黒澤浩樹、市村直樹、ルシアーノ・バジレ、田村悦宏など、その他にも他の格闘技のリングスで活躍した強豪など、非常にレベルの高い大会だった。

そして勝ち上がっていくのは、やはり重量級の、身長、体重、そしてパワー、全てにおいてみなぎっている、そういった怪物たちだった。

その中において、ギャリーオニールの活躍は異彩を放っていた。

第6回世界大会での快進撃

4回戦で一撃のドラゴンの異名を持つ成嶋竜を迎えるが、そのステップワークと上段の蹴りで相手に全く的を絞らせずに、試し割り判定で退けると、5回戦では極真でも稀とも言える打たれ強さと重心を持つ岩崎達也を相手に、確かに最初のステップを使うのが、間合いに入ってからは、なんと真っ向から打ち合い、そして打ち負けず、互角に渡り合ったのだ。

そして2度の延長の末、体重判定で勝利した。

これに驚いた人は少なくないだろう。

まるで鎧をまとっているかのごときその攻撃に崩されることなく、撃ち合って、破るなど、そもそもは同階級ですら難しく、岩崎達也は前回の世界大会では体重130キロのジャンリヴィエールとも互角だったと言うのに…これはこの時点で異常事態といえた。

そして準々決勝でぶつかったのは、その前の5回戦にて――
その時点で過去無差別の全日本大会を2度準優勝、さらには一度優勝に輝いている、その突進力で言えば日本でもトップクラスと言えた田村悦宏を相手に、巧みな体捌きや槍のように飛ばす中間距離の蹴りで間合いを制しやはり体重判定で勝利したブラジルの新鋭、ルシアーノバジレ。

しかしギャリーオニールはそのルシアーノバジルの槍のような蹴りを一切クリーンヒットさせず、逆に強烈なパンチとローキックを的確に当てて、自分のペースに常に持っていき、やはり体重判定にて破ってしまうと言う快進撃を見せつける。

衝撃だった、実績から考えても、強敵ぞろい、このグループの中で、ギャリーオニールが勝ち上がるなど誰が予想できたと言うのだろうか。

そして迎えた準決勝、極真史上最強クラスの力を持つ、超巨大戦艦、八巻健二。

さすがのパワーで押しまくろうとする八巻で、そしてそれまでの対戦相手によるダメージでやりオニールの足は限界だったが、それでもギャリーオニールが最後まで後ろ回し蹴りのその一撃、それを狙い続けていた。

事実としてある壱発は、まさに見事なまでの間合い、タイミングで、見ているものが見ていれば、その切れ味でまともに当たれば落とされている、そういった刀の一閃であった事は間違いのない事実だろう。

そして翌年の第28回全日本大会、キャリーオニールはまさしく恐ろしい存在となって日本の前に立ち塞ががることになった

2年連続全日本大会準優勝

中間距離での矢継ぎ早な中段廻し蹴り、前蹴り、そしてかかと落としで早々にダウンを奪う。

そこから前後にステップワークして相手に間合いを掴ませなくしてからの、飛び込み様の胴廻し回転蹴り気味の飛び後ろ回し蹴り!

まるで映画のような光景に、場内に衝撃が走る。

さらに続く松本憲一選手相手に、上段に対しての見事な下段の合わせを見せた後に、ゆっくりとした軌道で途中まで下段と見せかけての上段回し蹴りをクリーンヒット!

効いたとて上段を畳みかけての、中段廻し蹴りを聞かせて、前のめりにさせたところでやはり一瞬で駒のないように空中で一回転しての、跳び後ろ回し蹴り。

まともにこめかみを捉えて、松本選手はもんどりうって倒れるしかなかった。

続く志田清之選手との戦いでは、途中まで上手に志田選手がギャリーオニールの攻撃をさばき、下段を当てて、これはいけるかと言う雰囲気が流れていた。

しかし途中からギャリーオニールの人が変わったような胸の連打からの左の膝蹴りでの逆襲を受けて、その変化についていけず、本戦にて判定待ちを喫してしまう。

飛び技だけじゃない。

世界大会の時はそうだったはずが、いつの間にかみんな忘れていたその事実に、場内にはギャリー恐るべしと言う雰囲気が流れる。

そして準々決勝、迎えた田村悦宏との戦い。

おそらく田村悦宏は1度も自分の間合いで戦えなかったのではないか?

まさに業師、そうとしかいい様がない。

常にキャリーステップを踏み、中段回し蹴り、中段前蹴りで、距離を保ち、さらに踏み込んできたら後ろ蹴りで突き離し、自分の間合いを絶対に保ち、相手の間合いで戦わせず、相手の攻撃をもらわず、自分の攻撃だけを自分のタイミングで当て続ける。

ボクシングに当てさせずに当てる、という言葉があるが、まさにそれを実際に用いている。

派手な倒し合いではないが、超高等技術と言う意味では、この一線は他を圧倒していると言っても過言ではないだろう。

準決勝、高久昌義。

この年に行われた第13回全日本ウェイト制大会で重量級優勝、さらに翌年の大会前世界ウェイト制大会で軽重量級の部で優勝する、パワースピード打たれ強さ全てにおいてハイレベルでかつ、非常にテクニカルな組み手を信条とする選手だった。

事実としてギャリーオニール相手にしても惑わされることなく、的確にさばき、自分の攻撃を当てて、明らかに自分のペースとしていた。

そんな本戦、ラスト23秒。

目の前のキャリアオニールが、消えた。

誰もがそんなふうに自らの目を疑ったに違いない。

追いかけていたはずの高久昌義の、その首筋に、キャリーオニールの左の踵が、直撃していた。

バックステップからの、急襲の飛び後ろ回し蹴り。

まさに、一撃必殺。

技ありを奪い、ついに第4回全日本大会のハワードコリンズ以来の、外国人の全日本大会の決勝進出を果たす。

そこで相対するは、空手母国日本最後の砦、数見肇。

しかし数見肇は右腕を骨折、さらに右足の靭帯を痛めており、満身創痍の状態だった。

後の先を狙う数見肇を相手に、やりはやはり中間距離からの後ろ蹴り、前蹴り、中段回し蹴りで、どんどん攻め込んでいき、下段回し蹴りを蹴るチャンスを与えない。

しかし数見肇は、どれだけ蹴られても、殴られても、決して下がる事はなく、そしてギャリーオニールの高速の上段の蹴りも全てさばき、しがみつく。

そして延長戦から、唯一残された左の下段回し蹴りにすべてをかけて、それで攻勢をかけられる。

ダメージの差こそないようだったが、手数、圧力、そしてその気迫に押される形で、ギャリーオニールが準優勝となった。

そして翌年行われた第29回全日本大会にも出場し、変わらず軽快、そして時折力強い組み手を見せるが、この大会においてはその空中殺法での一撃必殺は見られる事はなかった。

変わらずその強さは確かで、正拳の威力が増しているように見えたが、やや体が重そうに見えたのは私の気のせいだろうか?

4回戦ではその半年前に行われた第一回全世界ウェイト大会で敗れた木山仁とのリベンジマッチを迎え、後の世界チャンピオンに対して1歩も引かず極太の戦いを見せた。

そして迎えた準々決勝戦、相対するは私が見る限りでも攻撃力と言うモノでは最強クラス、市村直樹。

あの分裂前の群雄割拠の第26回全日本大会においても八巻、数見肇に続いて3位に入っており、その実力は折り紙付き。

その市村直樹を延長戦で下し、さらには準決勝で再びおそらくは体重差40キロにも及ぶであろう田村悦宏と相対し、しかし1歩も引かぬ魂のド突き合いを見せる。

しかし傍目にもその代償は大きく、今度は逆に決勝はギャリーオニールの方が満身創痍に近かっただろう。

実に静かな立ち上がりから、数見肇が冷静につめていき、やはり前蹴りや後回し蹴りや中段廻し蹴りは見せずに、パンチとローキックという間合いのために、数見肇の下段回し蹴りがどんどん決まる。

徐々にキャリーの足が止まっていく、追い詰められる、場外が増える。

そして延長戦に置いて放たれた内股により、崩れ落ち、そして規定の時間内に立ち上がることができなかった。

世界大会ベスト4、そして全日本大会24年ぶりの外国人の決勝進出、および2年連続の準優勝。

なぜか第30回全日本大会にはスペシャルワンマッチでの出場となり、世界ウェイト制大会では先に述べた木山仁に破れ、その後2002年に一撃旗揚げ戦で一撃キックルールで松本選手と戦い1ラウンドのTKO負けで敗れて、そこで私の知る限り日本での戦いを終えている。

途中格闘技雑誌で、対大型選手のために体重を増やしていると言う話もあったが、適正体重と言うものの機微、それに伴う動きづらさや組み手の編成なども、影響したのだろうか、と想いを馳せる。

後の塚本徳臣、そしてその華麗なる飛び後廻し蹴り、一撃必殺の体現。

まさしく鳥人、そのあり方を存分に発揮し、我々を魅了した男、ギャリーオニール。

未だ私の、その回転技の理想像は、彼と重なって、離れる事は無い。

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