第25話「リハビリ①」

2020年10月8日

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目次

本編

 テレビが置いてある購買部前のテーブル席。

 施設が清潔なカフェテリア。

 広くて温かい料理が食べられる食堂。

 空気が綺麗で眺めがいい屋上、というように、僕の大学は食事をするロケーションには様々なニーズに応えている。
 だけどその中にあって、あえて僕はここを好んで利用していた。

 こんな場所、昼休み時なんてほとんど誰も来ない。

 大抵の人はさっき言った場所に行って友達との語らいに花を咲かせるし、友達がアリーナを利用する場合は一階から二階までぶち抜いている観客席に座る。
 利用する時といえばせいぜいこの真後ろにある教室が次の授業で、しかも不測の事態が起こってすぐに中に入れない時に待つ場合とか、休み時間に移動教室の生徒が時折向こうの教室からこちらの教室に歩いてくる人が通り過ぎるくらいだ。

 僕はいつも、そこで何を考えるでもなくぼーっとアリーナの方を見下ろして昼食をとる。

 なぜか。
 それは僕が未だにまだ、完全には人との付き合いに馴染めていないことをあらわしていた。

 話すと、楽しい。
 それは間違いない。

 嬉しい。
 それも本当だ。
 笑いあえる仲間がいてそんな風に感じないわけが無い。

 だけど、僕の場合それだけじゃない。
 自分自身だって、話したり一緒にいる間感じてるわけじゃない。
 思ってるわけじゃない。

 だけど、やっぱりいつの間にかそれは訪れている。

 疲労だ。

 嫌いな人間と無理やり一緒にいて作り笑いをしていた訳でも、面接や接待をしたわけでもないのに、やっぱりふと感じる、この脱力感。
 切間と喋るのが、隼人と笑い合うのが苦痛なわけじゃないのだ。
 僕はそもそも、誰かの視線に晒されるそれだけでも、普通の人間以上に緊張しているのだろうと思う。

 自意識過剰。
 そういわれれば反論のしようもないが、僕自身、今のところ直しようが無い。
 意識しているわけじゃないのだ。
 これが僕にとっての、普通なのだ。
 外に出て、誰かと関わり合いになるだけでも、こんな風になるとは……

 きっと僕は、今でもリハビリが続いているのだろうと思っている。
 元の当たり前の人間の関係が"演じられるようになった"だけなのだろう、と。
 僕自身楽しんでもいるし、自然にやっているつもりでも、それはまだ全て曝け出してる――もちろんそんなこと、みんなしているわけじゃないのはわかっているが――わけでもなく、形だけ取り繕ったものなのだろう、と。
 だからそれまでは気長に、こんな風に小休止を取りながらなんとかやっていこうと思っている。

 ただ、今期に入ってからはまだ一度もそこで昼食を取る機会がなかった。
 理由は、やっぱり美香ちゃんに振られたことが要因だ。
 全然食欲とかわかなかった。
 面倒で、屋上の隅っこで人目を避けるように横になって寝てた。
 ただ、このままじゃいけないとも思う。
 切間にもいつまでも腑抜けてんなと言われた。
 久々にいつもの習慣を取り戻していこう。

 そう考えて、一限の休み時間に購買部で買っておいたパンを食べようと、指定席に向かっていた。
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