【BLACK CAT】トレインvsクリード 視えない刀に生身で挑むサヤを賭けた男の決闘!
BLACK CAT
言わずもがなTo LOVEるという世界中のオタクをブヒブヒさせた、ラッキースケベ漫画とでも言うべきだろか? その金字塔の前作。
友達に聞いたところ、なんだかこの作品に関してはエピソードとか逸話とかあるらしく、評価は賛否両論というか感じなのだが、私個人的にはとても好きだったりする。
作品を、その善し悪しを決めるものの1つに、雰囲気と言うものがあると思う。
小説家として、物語の整合性や、美しい演出、伏線の回収などがあるのは当然だと思うのだが、それが全て揃っていれば完璧かというとそうでもないと思う。
実際のところ作品なんてその瞬間その瞬間は楽しくて面白かったりするのだが、しばらくして見終わった後、その感想を聞いても、大体1シーンが2シーンぐらいしか思い出せなかったり、なんなら面白いか面白くないか位しかわからなかったりするのも普通だと思う。
だから実際のところ、そこまで合理的に考えなくてもいい気もする。
作り手としては別だけど。
そんなBLACK CATの、印象に残っていることとして最初に挙げられるのが、序盤で繰り広げられた、ラスボスとも言える、クリード・ディスケンスとの決闘だった。
新連載が始まり、まだ2巻。
そこで、まさか主人公と、ラスボスとの対決など、誰も想像つかないと思う。
ここからは個人的な見解になるが、正直そこまでは、主人公のトレイン・ハートネットが掃除屋として、かつてのBLACK CATとしての伝説的な殺し屋としての一面をなくして、日々飄々と暮らし過ごすある種地味な展開が続き、今となっては人気のキャラになったイヴが出てきたりしたが、結局は暴走したりもせずに進み、人気が低迷していたために、テコ入れ時な感じで差し込まれたのではないかと考えている。
実際のところその当時のジャンプで順位も、正直下から数えた方がかなり早いような感じだった。
僅か2巻で始まったラスボスとの戦い
主人公のトレインが、その直前のイヴ奪還計画で組んだリンスレット・ウォーカーが攫われ、その交換条件としてクリードに呼び出されるが、それ以前に元々のパートナーであり恩人であるサヤを殺されていたトレインは、こんなことをしなければ応じないとでも思っているのかと怒り狂う。
そして呼び出された場所である高さ191.7メートルのルナフォートタワーに、エレベーターで来ると見せかけてワイヤーを使って窓から銃弾を打ち放ちながら飛び込み、その戦いは幕を開ける。
そしてパートナーを殺したことを差し置いて自分と手を組もうと言うクリードに対して、純粋に人質を解放して自分と戦えと主張するトレイン。
それにクリードは、決闘で自分が勝ったら組んで革命に参加すると言う条件を提示して、そしてケットが開始する。
これはトレインのパートナーであるサヤと、クリードのどちらが正しかったか証明する戦いだった。
クリードが抜刀した名刀虎徹には、刀身がなかった。
しかしそれにもかかわらず斬撃を繰り出すことができる。
幻想虎徹(イマジンブレード)
クリードは、自らの気をイメージ化し物質化する術を身に付け、その実力はトレインの想像の遥か上をいっていた。
トレインの銃撃を斬撃によって防ぎ、そして放たれた一撃が、刀身が見えないために間合いが掴めず躱しにくい。
斬撃が避けられないため爆弾を使って距離を取るが、そのイマジンブレードが気を使って作られた疑似物質のために、長さが自由自在。
最大80メートル近くまで伸ばすことができるため、どれだけ距離をとっても安全地帯に逃げることは叶わなかった。
クリードが、サヤに出会って、トレインは優しさと言う要素を身に付けてしまったから、自分に勝てないと主張する。
それに対してトレイは回想する。
そうかもな、確かに俺はあいつに出会って弱くなった。
でも、それを悔やむつもりはね――
悔やむことがあるとすれば、ただ1つ
見ててくれよ、サヤ。
たとえ刺し違えても、俺は……
覚悟を込めて
最終局面、トレインは愛銃ハーディスを、右から左手に持ち変える。
クリードが回想する。
そういえば昔、言っていたな。
今でこそ両利きだが、もともとは左利きだったと。
しかし聞き手に持ち替えたところで、発砲速度と命中精度がわずかに上がる程度。
決め手になると思えないクリードに対して、トレインをやってみたらわかると挑発する。
突進するトレイン。
それを迎え撃ち、凄まじい勢いでなぎ払いを見せるクリード。
そこにトレインは、右手を差し出す。
トレインの狙いは、ここだった。
……刀身が見えなくても、
斬撃の瞬間なら、間違いなくそこにある。
ここだ!!
ハーディス、その銃口が、虎徹の刀身をとらえる。
発砲。
虎徹が吹き飛ばされ、そして同時にトレインの右手も地に落ちる。
ふらつきながら、トレインが語る。
……終わりだ、クリード。
俺の覚悟……甘く見すぎたな。
その笑みは、憔悴しながらもどこか吹っ切れたような清々しさがあった。
この1発は……強烈だぜ……!!
破裂する銃弾。
炸裂段(バースト・ブレッド)。
現在の相棒であるスヴェンが、出発する際に持たせてくれたとっておきだった。
それを確認して、トレインは思う。
上等な威力だぜ、スヴェン……。
あんた、やっぱり頼れる相棒だよ。
そして足場が崩れ、トレインは落下する。
その間、脳裏によぎるのは、今は亡きパートナーの言葉だった。
パートナーであり、恩人であり、親友
助けられ、手当てを受けたとき、トレインはなぜ女性が掃除屋をしているのか、そのわけを尋ねた。
何か深い事情でもあるのかと。
しかしサヤは、それこそまるで猫のように無邪気に笑った。
別に?
気ままなノラ暮らしが、性に合ってただけっスすよ。
道、と言う常識を超えた能力。
そしてラスボス。
それを相手に、特殊能力ではなく、ただ自らの期待あげた戦力、そして覚悟で、相手を打ち破った。
そしてそこには打算や計算は全くなく、ただ自分が愛した女性、その言葉、その存在を否定させないと言う、それだけのまっすぐで純粋な思いだけがあった。
自分が傷つき、私に行く時も、それに頓着することなく、ただ彼女を思う。
そのまっすぐさんに、その切なさに、私は胸打たれた。
ここから霧崎京子などの、またクロノナンバーズなどの人気キャラのおかげもあったのだろうが、BLACK CATは人気を持ち直していき、最終的にアニメ化も果たす全20巻ものを大人気漫画へと駆け上っていく。
しかし私はそれでも、この戦いこそが、その分水嶺に当たったのではないかと考えている。
トレイン・ハートネット、その存在、その全てをかけた戦い。
未だ忘れることのない、男の生き様がそこにはあった。
「BLACK CAT」Full Story [Blu-ray]
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