【幽遊白書】飛影vs時雨 一瞬の交錯 武術の機微が詰まった究極の戦い!

2024年4月9日

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幽遊白書という超絶大ヒット漫画

未だその人気は衰えず、様々な総仕上げでコラボなどしていて他にもお店とかそういうものでも取り上げられていて、特にキャラ人気は凄まじい。

続編のハンターハンターも大ヒットしてまさに超売れっ子漫画家の富樫義博の2大看板漫画の1つと言えるだろう。

そんな 幽遊白書には、もちろん骨太のメインストーリーもあり、それぞれのキャラを掘り下げた日常もあり、背景もあり、そしてど派手なアクション、まさに全てがあると言って間違いない。

しかし私が 幽遊白書のことを思い出すときに浮かぶのは、終盤のやや人気が低迷して、話の流れが迷走して、どちらかと言うと話題になりにくい、そんな雰囲気の中の、ある1つの戦いだった。

幽遊白書の中でも屈指の人気キャラ、飛影。

もう1人の美形キャラ蔵馬と2分する、そんな彼の数多ある激闘の中でも、1つの戦いだった。

彼は終盤、幽助が魔界に乗り込み、そして蔵馬と3大勢力の1つに潜り込み、その圧倒的な戦力差を補うために、ひたすらあてがわれた妖怪を相手に、殺し合いをずっと続けることにより、その戦闘力を高めると言う無茶な修行をしていた。

そしてある程度実力が戻ったところで、その3大勢力の1つである親玉軀に、その陣営の中でも、1番実力が下だと言う、時雨との戦いを要求される。

実質的に、自分の軍団に引き入れるか否かと言う、それは入団試験と言う立ち位置に近かかったのだろう。

当然、飛影の立場としては勝たなければならない、勝って当たり前、負ければ目標の道が絶たれ、そして命もなくなると言う、そんな場面。

しかし飛影はそこで、あえて、そこで勝ちに執着しなかった。

生きる意味を――

飛影には少年漫画特有の必殺技、炎の妖気と言うものがあり、そこから繰り出す、邪王炎殺拳と言うもので、数多の敵を薙ぎ払ってきており、それは現在の中二病と言う名前の、その語源的な立ち位置になっていた。

しかしそこで、飛影はあえて、剣のみの勝負にこだわった。

時雨の武器である、燐火円礫刀は、薄刀の切れ味と、斧の頑健さを併せ持つ、無双の名刀。

それに各々の技量の差を加味して、剣のみで戦えば7対3で歩が悪いことは見えていた。

それでもなお、飛影は、ここで敗れることに、ほとんど意味を見出せなくなっていた。

もともとが氷女たちの、不吉の兆しである双子の忌子として生を受けて、そんな中でも持ち得た才能だけで生き残り、生まれ落ちた時に作られ、渡されると言う氷泪石を盗賊にみせびらかすことにより、戦いを求め、血が吹き出す寸前の真っ赤な肉の切れ目が好きで、悲鳴を聞くと薄く笑う、ただただそんな日々を糧としていた。

しかしただの殺しに飽きた頃に、盗賊も飛影を恐れて避けるようになり、石を眺めるようになり、その時だけ気持ちが和む自分に気づく。

不思議な力を秘めた石を通して、この石と自分を作った人を思い、復讐とは別の意味で生まれた地である氷河の国を探そうと、土地を離れた戦いの際に石を崖に落としてしまい――

その自分への罰と、探すために千里眼の力を持つと言う邪眼を額に移植して、そのために自分の力が、鍛えたその妖力が限りなくゼロに近くなることも受け入れ、里に戻ったが、ほとんど死んでいないだけで息をひそめるように生きるその在り方に殺す意味も見出せなくなり、しかし生き別れの妹がいると言うことを糧に生き続け――

その妹が見つかり、自らの氷泪石を探そうと言うその目的も、魔界に発つ時に妹に、彼女が持つ氷泪石を託され、

――これは俺の氷泪石じゃない

そう言い聞かせてもなお、もはや生き続ける目的を見失っていた。

だからこそ、その時の飛影は、戦い方にもこだわることができた。

勝負は一瞬だった、次のコマには、決着がついていた。

その軌跡を、軀が目で追っていた。

一瞬の交錯

間合いを詰めようとした飛影の、それよりも早く時雨が接近し、その一撃を剣で受けようとする。

愚かな、剣の横腹で受けるか。

斧が威力の円礫刀、刀ごとと真っ二つにしてくれるわ!

そこで、気づく。

剣の腹ではなく、剣の刃の部分で受けようとしている事。

しかも、自らの腕を添えて。

刃を縦に、左腕を捨てたか!

腕をもぎ取られながらも、燐火円礫刀の上に足を乗せ、そして飛影は剣を振るう。

それを時雨も自らの左腕で、左腕を捨てて、防ぎ、頬を切り裂かれる。

一瞬の交錯。

時雨が燐火円礫刀を上下に揺さぶり、飛影が振り落とされる。

体勢を崩しながら下からの一撃。

防がれる、剣が真っ二つに折れる。

軀が思う。

浅い。

時雨が確信する。

勝った。

もはや防ぐ手段のない飛影の腹に、時雨の燐火円礫刀が食い込む。

勝利を確信して、時雨が笑う。

そして、体を真っ二つにされようとしている微妙もまた、初めて、笑う。

そのまま、体を真っ二つにされながら、飛影はその真っ二つにされた剣で、時雨の頭を割った。

交錯する2人、相討ち。

鼻より上を失った時雨の口が語る。

お見事。

薄暗い意識の中、飛影は思う。

相打ちか、悪くない。

悪くない?

昔の俺なら、考えられんな

いつから…?

軀がやってくる。

素晴らしい勝負だった、褒美をやろう。

お前が探していた氷泪石だ。

飛影が自分の氷泪石を探せなかったのは、軀の胃袋の中に隠されていたからだった。

そんな日に、飛影が一言。

お前の胃液臭い石など、もう…い…らん。

最小限の戦い。

いやもっと言えば、現実的な戦いと言えるかもしれない。

実際の戦いと言うものは、そして上級者になればなるほど、パワースピードスタミナテクニックなど、お互いが持ち得ているものは拮抗していくから、必然的に間合い、それが最も重要な要素となる。

間合いだけは、同じならば別だが、違う場合は同条件と言うわけにはいかず、つまりは自分の間合いで戦ったものこそが、その戦いを制すると言っても過言ではない。

そして、飛び道具をなくし、派手な演出をなくした、この一見地味な戦いこそが、腕で剣を切れば切り取られると言う、リアルで生々しく、だからこそ胸を打つ、至高の戦いと言えた。

そしてそこに行き着くまでの、飛影の心理状態。

もともと何も持っておらず、故郷からも忌み嫌われ、しかしその中で唯一のつながりである昼飯石を胸に生きて、唯一の肉親である妹である雪菜だけを思い、しかし彼女を助け出し、幸せを確認して、そして残された生きがいも中途半端に満たされてしまい、ただ1人魔界に戻ってきて、戦い、その果てに、相討ち。

今まではただ生きるために、何かを成すために戦ってきた男が、最後の最後、戦いのために、戦うために戦い、そして相討ち、戦いの中にその意味を見出した。

そこまでの彼の生き様を考えると、胸に迫るものを感じる。

それは単純な感動や、共感を超えた、人は元来たどり着けないある意味では無念無想であり、武道的な境地と言えるのかもしれない。

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