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ここは今から倫理です 苦しみ悩み想像する過程を描いた生きる指針

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

生きていく上での倫理観

すごいタイトルだと思う。

正直、店頭にあった際に手に取るかと言うと微妙だ。

この作品は、現在存在する様々な作品たちの中でも、かなり上位に人生と言うものの意味、そして生き方、そういったものを考えさせられる作品だと思う。

人間が生きていくその上で、実に様々な、当たり前がある。

学校に行って当たり前、授業に出て当たり前、先生の言うことを聞いて当たり前、1日3食食べて当たり前。

勉強ができてる人が偉い、イケメンが偉い、かわいい子が偉い、モテてる生徒が上、お金を持っている人が上。

そうやってスクールカーストなどという言葉も誕生した。

人のために生きなくてはいけない、人を殺してはいけない、ルールがある以上守らなければいけない。

それは、すべていわゆる倫理と呼ばれるものだ。

倫理という単語よりも、倫理観と言う言葉の方が使われることが多いかもしれない。

しかし考えてみて、それがなぜなのか、どうしてそうなっているのか、そういったことを端的に説明できる人は思っているよりも少ないかもしれない。

不条理を通しての交流

この作品は、今では底辺的な立ち位置である風俗が、一昔前の花魁と呼ばれていた時代には、ありとあらゆる教養が必要で、技能が必須で、なる為にはほとんど宝くじ並みに難しい尊敬されるべき職業であったと言うことを逢沢 いち子に説くシーンから始まる。

そして様々な不条理を感じている生徒たちとの交流を通じ、いかに生きるべきか、よく生きるべきかとは何かと言う命題に突き当たる、そういった話の進め方がなされている。

ぬいぐるみが恋人であり唯一の心許せる女生徒本田 奈津子、より良い先生と言うものにとらわれている男子生徒谷口 恭一、普通の自分に悩んでいる生徒山野 亮太、他人を見下している生徒酒井 美由紀、一言も校内ではしゃべることなくそのアイデンティティーを貫く生徒曽我 涼馬。

通常であるのならば、彼らと共感し、その上でいかに生きるべきか、よく生きるべきはどうなのか、そういう風に説くと言うパターンもあると思う。

だけどこの漫画は、あえて結論を出さない、そういった場合が多い。

もし現代までの哲学や倫理において、幸福とは何か、よく生きるとはどういったことなのか、そういった命題に、結論が出ているとするならば――

教育は、ただそこだけを目指す、そういった画一的で、単純なものになっているだろう。

しかし現代もまだ、教育者は迷い、生徒たちも苦しみ、さまざまな試行錯誤の上での失敗を繰り返しているというのが実際だ。

繰り返される失敗を、過程こそを大事に

しかし主人公である高柳は、そんな中でも、かつての偉人や、倫理学者、哲学者たちの引用を用いて、1つの指針や、自分が目指すべきものの正体、そういったものをおぼろげながらも探そうとしながらも、求められていなければどれだけ訴えかけても届かないと言うことに報われないと嘆いたり、それでも届いたときに、しかしそれが本当に正しかったのかと迷ったり、そういったことを繰り返している。

問題は、答えではなく過程。

最初に受け持ったクラスの終盤で、彼はクラス全体を巻き込んだ、全体主義と個人主義の双方の主張のぶつかり合いと言うディベートを行う。

様々な議論の末、まとめを求める生徒に、しかしあまりに素晴らしくて 聞き入っていて何も考えていなかったと漏らす。

端的に、簡単に、わかりやすく結論を出すことに、本当は意味などない。

その過程、いかに、どのように、どうしたら、そういうふうに考えること、知らなかった立ち位置の考えを想像してみること、聞いてみること、それこそが全て。

しかし個人的に残念だったのは、そのような個性豊かなクラスメイト達のストーリーが、基本的には1話完結で、それ以降はディベートの時などしか登場せずに卒業を迎えてしまい、そしてその主人公高柳自身も誰にも言えない深い闇を抱えているが故に、正直物語が迷走している感が否めないことだった。

はっきり言って卒業式以降の話は、個人的にはオススメできるかどうかと言われたら難しいと考える。

ぶっちゃけ面白くない。

しかしそれもまた、ある意味ではこの物語の色というか空気感に合っているとも考えられなくもない。

少なくともそこまでの話は、本当に一つ一つが胸に残り、新たな自分を発見できる、そういった珠玉のエピソードたちだから。

このたびテレビドラマが決定した迫真のストーリー、触れてみるのも学びの1つかと考えられます。

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