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2020年10月8日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

「まぁまぁ。恋愛のやり方なんて、個人の自由なんだしさぁ」

「そんなこと言ってるから毎回『友達としてしか見れない』なんてありていな言葉で――」

 穏便にフォローしようとした隼人の意見に反発した切間が再び熱く語りだしたところで、

 授業の終了を告げるチャイムの音が鳴り響いた。

 それを聞いて筑島先生は持っていた指し棒をしまい込みながら、いつもの決まり文句を口にする。

「――では、今日の授業はここまでとする。各自TAから配られた出席票を受け取り、自分の名前を記入した後提出してから退出するように」更に付け加えるように、「それと、代筆は認めないし、発覚した場合その協力者の出席も無効とするので、決して行わないように」

「それやって俺んとこの先輩、四人まとめてこの授業落としたらしいぜ」

 切間が配られてきた出席票に記入しながら声を潜める。

「え。それマジ?」

 僕も同じように書きながら聞き返す。
 切間がヒソヒソ声なので自然僕の方もヒソヒソ声になる。

「マジマジ。なんか一人気が弱い奴が他の三人に頼まれてっていうか脅されてっていうかで代筆してたらしいんだけど、それがバレてアウト。問題はその真面目なヤツもアウトだってこと。そいつ出席率百パーで、しかもレポートも完璧に出してたのに、アウト。正直酷い話だと思わねえ?」

「うわ。じゃあそいつが一番災難だったんだな。こわっ。僕はお前から代筆頼まれても絶対やんないからな」

「心配すんな。俺が代筆する時は隼人に頼むから」

「そんな話聞いて、ぼくがやると思うの?」

 すんごい笑顔で横から覗き込んだ隼人に切間と引きつった笑顔を返しながら、出席票に授業名、教授名、学籍番号、自分の名前を記入し終える。
 ノートパソコンをケースに入れ、それをトートバックにしまいこんでから三人同時に立ち上がり、

「じゃな、進也。続きはまた後でな。あと、いつまでも腑抜けてんなよ!」

 ビシッ、と切間が人差し指で僕を指差す。

「また後でね。次の授業は確か、チャイ語、203教室かな。そこでねー」

 隼人が笑顔で手を振る。
 そうして二人は出席票を前の教壇に提出して、いつものようにそれぞれのサークル室に向かって行った。
 それを確認して、後を追うように僕ものんびりと出席票を教壇に提出してから、いつもの指定席に向かうために入り口のドアに手をかけた。

 去り際にもう一度、教室の後方にある窓の外の桜を見た。
 その後ろに輝く太陽の力強さが、もうすぐ夏が来ることを文字通り熱く語っていた。

 僕が通う大学の一階の中心にはアリーナがある。
 基本的にはバスケットコートとなっており、必要に応じてバレーやバトミントンが行われることもある。

 一階の手前にある入り口の向かい側にはアリーナを挟んで観客席が二階の空間まで並んでいる。
 右手には事務室、左手には階段と、その奥に教室が続いている。

 手前の階段を昇って二階に行くと、まず購買部がある。
 大体誰かいて賑わっているそこを抜けて中心に向かうと、そこはアリーナを見下ろす吹き抜けになっている。
 左手の観客席と、右手にある外を見渡せるテラスを挟んで教室がぐるりと囲むように配置されている。

 三階は食堂とカフェテリアが並ぶように配置されてあり、四階は図書館。

 その上の五階に屋上がある、といった構造だ。
 ちなみに屋上は施錠されておらず、いつでも誰でも入ることが出来る。
 たまに行くと案外お喋りな女の子グループやアベックの溜まり場になっていて、あまり好きな場所ではない。

 僕はいつも、昼休みになって隼人や切間と別れたあと、二階の購買部であらかじめ買っておいたパンを持って、購買部前の行列や、カフェテリアや食堂や屋上に向かうであろう学生達の賑わいを横目で見ながら中心の、アリーナを見下ろす吹き抜けに出る。

 高さは十メートル近くあるであろうそれを設置された手摺を握り、見下ろし、その手前に置かれたパイプ椅子の列の左から二番目の定位置に座るのだ。
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