大学③

2019年11月22日

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「そもそも聞いた話によるとさ、美香ちゃんには既に彼氏がいたって話だぜ」

「え、それって本当ぉ? だとしたら、あの告白自体意味なかったのかもね」

 それを聞いて、尚更僕は肩を落とした。

 やっぱ、彼氏、いたんだ。
 じゃああの告白前の態度も、そのあとの変化も納得できる、か……。

 僕の大学生活は隼人(はやと)や切間(きりま)と授業を受けたり、休み時間とか一緒にくっちゃべったりしながら過ごして、昼休みの昼食だけは別れて食べる、という感じのものだ。
 隼人は写真部の、切間も遊び系のサークルにそれぞれ所属しているので、昼休みと放課後はそちらに顔を出すようにしている。

 切間が、僕が肩を落としたのをまたもめざとく見つけ、

「普通さ、誰か好きになる前にそういう大事な情報は調べておけよなー」

 隼人が、それに朗らかな笑顔を見せながら、

「でも、人は理屈で好きになるものじゃないから難しいと思うよ~」

 その意見に僕は無言で頷く。そう、恋なんて突然落ちてしまうものだ。
 事前にとか、そんなん出来るのはお前くらいのものだろう。

 別に僕たちは示し合わせて科目を履修しているわけではないので、いつも三人で授業を受けれる訳ではない。
 だけど、たまにはこういうこともある。
 そういう時はロクに授業に身が入らない。
 どうしてもあっちこっちに話が盛り上がってしまうからだ。
 今も筑島先生の存在をすっかり忘れてしまっていて、声を潜めてさえいなかった。

 切間は頬杖をつき、





「……大体さぁ。進也は趣味が空手に寄りすぎなんだよ。もっとこう……なんていうか色んなことに手ぇ出せよ」

「例えば?」

 意外な切り口の言葉に興味を持ち、僕はそう尋ねてみた。

「ナンパとかクラブとか」

 即座に飛んできたあまりにも切間らしい言葉に、僕は露骨に顔をしかめた。

「いやだ。僕は純愛主義なんだ」

 切間は口をぽかん、と開けて頬を引くつかせ、あからさまに呆れた、という顔を作った。

「お前……現実見ろ。それで彼女いない暦二十年だろが」

 ぽん、と肩に手を乗せる。

「ぐっ!?」

 自分の顔が苦虫を噛み潰したようにしかめられるのがわかる。

 彼女いない暦、二十年――

 言葉にすると、その重みに押し潰される心地になる。
 だから僕は決して口にしない。
 ああ、してたまるかよ。
 だから勝手に口にした切間、お前の口を刻んでしまいたい。
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