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第18話「あの日のその後⑦」

2020年10月8日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

 忘れてしまった話術を、人との付き合い方を必死に思い出そう、思い出せなければ学びなおそうと最大限に努力した。

 ぎこちない笑顔を作り、かすれた挨拶をし、不器用な手を振った。

 それでも皆心広く迎えてくれた。

 中学までと違って、高校生は大人な人間が多かった。

 一から、一つ一つ。大丈夫、やれる、こういう根気のある作業はリハビリで慣れてる、そう自分に言い聞かせて僕は頑張った。

 でも、やはり遅れを取り戻すのは難しかったみたいで、僕は自分もハッキリと言い切れるくらいのの口下手さだ。

 それも極度の。

 そんな僕も大学に入る頃には人付き合いにも慣れが出てきて、その結果。

 ようやく人並みに恋をするようになった。

 そうはいっても好きな子が今まで一人もいなかった訳じゃないが、僕の場合人付き合いすら出来なかったからその感情はどちらかというと憧れに近かったから、やっぱり恋といえるのはこれが最初だと思う。

 一人目は、サークルの同級生だった。

 友達の隼人に、

「部費が増えるんだって。だから、名前だけ貸してくれない~?」

 と頼まれて、顔見せに部室に顔を出した日に恋に落ちた。

 佐藤さんという、眼鏡の奥の鋭い目つきに真面目さと可憐を宿した凛とした女の子だった。

 その日から足しげく通い、彼女ともよく顔を合わせ、挨拶をした。

 それだけだった。

 隼人にも相談した。

 他の部員にも協力してもらって部室に二人きりにしてもらったり、二人で用事をやったり、色々作戦はこなした。

 会話が続かなかった。

 出来ないわけではなく"続かなかったのだ"。

 ここで今までろくに女の子と話してこなかった、という経験の差がここで出た。

 僕には女の子と話すための話題がなかった。

 趣味不足も痛かった。

 今まで空手ばっかりやってきたのがここで響いた。

 一応告白した。

 学祭の、写真部の展示の片付けの後に部員に協力してもらって二人きりにしてもらって、会場の教室の中で震えながら、額に冷たい汗をびっしょりかきながら、掠れる声での生まれて初めての告白は、

「ごめんなさい。白柳(しろやなぎ)くんのこと、あんまり知らないので、付き合うことは出来ません」

 彼女らしい、凛とした言葉だった。

 僕の通う上芝(かみしば)大学では二年の後期からゼミが始まる。

 僕には、気が合う教授がいた。

 その教授は、パソコンの技術系のゼミを開いていた。

 空手以外にはあまり趣味がない僕が、技術系のゼミに入る事になったのはそれだけの理由だった。

 そこで知り合った切間(きりま)に紹介された、夏子(なつこ)という、少し軽い印象すらする、恐ろしく異性受けする整った顔立ちをした美女。

 またも一目惚れだった。

 しかし、今度はもっと酷かった。

 男慣れしている夏子に、おどおどする僕はほとんど相手にされなかった。

 そもそも喋る機会も少なかった。

 何しろ今回は周りのバックアップはまったくなかったのだから。

 一ヶ月後、彼氏がいることを知った。
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