第46話「かなりまずい文面」
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本編
『へえ、それって格ゲーとかガンシューティングとかのことかな。それなら僕も結構やるよ。
でも、ゲームが好きなんて少し意外だなぁ。ならさ、今度一緒にゲーセンにでも行かない?』
――――うゎ……。
打ち終わった後に内容を確認して、頬が引きつる。
まずほとんど初対面の相手に意外とか失礼だし、それにいきなり話飛びすぎだし、誘い方が強引だし、おまけに色気も何もないデート場所だし……。
かなりまずい文面だとは思った。
だけど、女性に話を合わせるのが苦手な僕としては、それでも考えうる精一杯だった。
それにどこをどう変えればいいかわからなかったし、なるようになれと祈るような気持ちで送信した。
今度はすぐには返事が来なかった。
携帯を握り締めて、待受画面を見つめながら返事を待つ。
周りの音がまるで聞こえない。
意識が集中しすぎているせいか、実際に物音がしていないのか。
まるで自分だけこの世界から切り離されたみたいだ。
携帯以外の世界が、遥か遠くのものに感じる。
耳鳴りが聞こえるくらい、緊張する――
携帯が震えた。
「!」
ボタンを押してメール画面を呼び出し、見る。
『ゲーセン?』
……まさか、知らないのか?
打ち返す。
『ゲーセンっていうのはゲームセンターの略で、みんなで遊べるようにゲームがたくさんおいてある場所のことだよ』
すぐに返信。
『いつ?』
……えー、と…………
手が震える。携帯まで遠くのものに感じ始める。
『僕はいつでもいいよ。暗戸さんに合わせるよ』
息が乱れる。
心臓がどくどくと脈打つ。
まるで全身が心臓になったみたいだ。
期待と不安が複雑に入り混じったような感覚が頭をかき乱し、脳みそが湯立つ。
返信が来た。
「!」
『明後日』
今まで頭から消え去っていた曜日感覚を呼び起こす。
昨日の空手は、黒帯研究会があった。
そんで一昨日……は、切間に相談したから、道場稽古は休みの日。
つまり一昨日は水曜日で、昨日は木曜日。
必然的に今日は金曜日。
だから明後日は――――日曜日……だな、うん。
週に一度の休養日。
今のところ予定は、ない。
それに、もし何かあったとしてもキャンセルしてやるぜ!
気合が入った。
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