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ⅩⅩⅥ/叶えられない願い②

2020年10月8日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

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「……は、ハハ」

 その中でベトは、思わず笑みを漏らしていた。

 俯き、尋常な様子ではない。
 手はだらりと垂らされ、そして杖なしで立っていた。
 顔色もなく、視線もおぼつかない。
 みな、驚愕と恐怖の表情でそれに釘づけになっていた。

 ざまァ見ろ、とベトは思った。
 お高く止まって、この国をこんな風にしたお前らが、たったひとりの少女に度肝を抜かれてやがる。ざまァ見やがれ。

 さぁアレ、やっちまえ。

「……ベト?」

 といい気になっていたベトに、しかしアレはいつもの様子で声をかけてきた。
 それにベトの方がへ? と眉を下げた。

 アレはただ呆然自失としたように、こちらに頼りない足取りで歩いてくる。
 口からは血を滴らせ、そしてその、胸からも。
 背中からも。

 どうしたって、いうんだ?

「あ、あんた……?」

「ベト、ベトぉ……」

「――この、魔女がっ!」

 残っている十人弱の兵士のひとりが、アレの気弱な様子に我に帰り、剣を構え、

「やめ――」

 アレの肩口に、斬りつけた。

 血がパッ、と弾ける。まるで綺麗な、花火のように。
 剣が、鎖骨を砕き、深いところまで食い込んでいた。

 その光景に、ベトの頭は瞬間沸騰する。

「ッ! て、め――」

 先ほど自分が冗談交じりで思った通りの怒りにより力がこもった身体でそいつを真っ二つにしようと身体を起こしたが、

「ベト……」

 気づかない?

 アレは剣をめり込ませたまま、やはりぼうっとした様子で歩みを再開する。
 それに呆気にとられた男は、歩みのままに剣をずるりと抜ける。
 血がボタボタと、なぜかだらしなく見えるように零れる。

 アレは、見ていなかった。

 自分に投げかけられる奇異の視線も、振り下ろされる刃も、場を支配する王の威厳も。
 そのなにもかも放置して、ただ、ただ、ただ――ただただ自分だけを、見ていた。

「あ、あん、た……」

「ベトぉ……」

 腕に、飛び込んできた。
 いや、崩れ落ちてきた、という方が近いかもしれない。

 その身体は、泣きたくなるほど、軽かった。

 なぜ自分がこの子の体重が軽いことで泣きたくなるのか、ベトは理解できなかった。
 だけどそのわき上がる感情を、抑えることは出来なかった。

 一瞬前まで、すべて滅ぼしてしまえと荒々しい感情に支配されていたというのに。

「ベトぉ……ベトぉベトぉベトぉ……」

「ど、どうしたんだい、あんた……」

「ベトぉ……」





 ただ応えず、アレは自分の名前を呼び続け、泣きじゃくった。
 なんだか最初の出会いの頃を思い出した。
 それに心が、身体が、溶けてしまいそうな心地になってしまった。

「なんだ、この茶番は?」

 それを不躾な声が、割り込んできた。

 どうしようもなく、心が現実に引き戻される。

「――あ?」

 アレにのしかかれたまま、ベトは壇上の男を睨みつける。

 エリオム十四世は頬杖ついたまま、そこになんの感情も読みとれなかった。
 それがまた、ベトをイラつかせた。

「なんなんだよ、てめぇ……!」

「貴様こそ、なんだ?」

 エリオムは逆に問いを投げかけてきた。
 それにベトは、顔をしかめる。

「お前……殺してやるからな! 殺してやるからな、エリオム……っ!!」

「貴様はいったい、なにがしたいのだ?」

 しかしベトの叫びは、エリオムのつまらなそうな呟きに掻き消された。

 ベトの思考は、急速に冷えていった。

「―― オレがしたいことは、お前を殺すことだ」

「我を殺して、なんとする?」

「お前を殺せば、少しは世界がよくなんだろ?」

「なれば、誰を王とすると言うか?」

 ほんの一瞬の間で、ベトは考えをまとめる。

「お前が王をやるよりは、マシな筈だぜ?」

「貴様はわかっておらん」

 しかしエリオム十四世は、極めて平常最初と変わらぬ様子で言葉を紡ぎ出す。
 もちろん臭うような傲慢な貴族オーラのようなものを、撒き散らしながら。
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