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#45「怖い」

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

「わたしが、遼を……見てるみたいに?」

「――――」

 今度はぼくの方が、絶句する番だった。
 もはや嬉しいとも違う。
 というより、意味がわからない。

 なぜ彼女はここまで、ぼくのことを買ってくれるのか?

「…………」

 またか、とぼくは少し落胆した。

 ぼくはどこまでいっても、理屈の人間なのだろう。
 理論で納得できなければ、感情が振れない。
 きっと幸せから一番縁遠いタイプの人間なのかもしれない。

「遼は、わたしのこと、覚えてる?」

「――前に、会ったの?」

 記憶を探る。
 だけど浮かんでくるのは、見慣れた人ばかりだった。
 もうだいぶ会っていない父親に、愛想笑いばかりしていた母に、難しい顔の渡河辺先生に、豪快な裕子さんに、噂好きな幾人もの看護士さんや事務や裏方のみなさん――

 みんな。

 みんな、失ってしまう。

「…………っ」

 とつぜん。
 まるで身を裂くような恐怖が、ぼくの全身を襲った。

「く、あ……ァ!」

 それは物理的な痛みを伴うような、そんな信じられないくらいの激しさを伴うものだった。

 みんなと、二度と会えなくなる。
 言葉を交わせなくなる。
 触れ合えなくなる。
 もうぼくは成海遼としての権利をすべて――失ってしまう。

 信じられない。
 信じられないくらい――信じたくないくらい、怖い。

「ッ、うぅ……ううううッ!!」

 死が怖くないだなんて、そんなのは嘘だった。
 怖かった。
 怖いのは動けなくなるとかもう生きれなくなるだとかそういうことじゃなく、当たり前のものにもう触れ合えなくなってしまうという事実だった。

「う、うぅ……父さん、母さんっ!」

「遼……」

 心配するような声。

 それにぼくはハッとする。
 というか事実心配しているのだろう彼女の存在を思い出し、ぼくは少しでも気持ちを落ち着かせようと努める。

 だいじょうぶだだいじょうぶだだいじょうぶだから……そう自分に、必死に言い聞かせる。
 なにもだいじょうぶじゃなかったけど、だけど今だけは、その理屈を忘れてくれ。
 なんでもいいから大丈夫だと、思ってくれと。

「ぅ……う、ん。だいじょおぶ? だよ。はは……」

 声がひっくり返って力ない笑顔で大丈夫もないとぼく自身思うがこの辺りが、限界だった。

 唐突に車いすの前進が、止まる。
 ぼくの擬態が通じずに彼女に心配させてしまったかと心配したが、そうではなかった。

 地面がゆっくりと、上がりだした。

 もちろんそうじゃない。
 ぼくたちは今、階段に設置されている昇降機の上にのっているのだろう。
 ということは、ぼくたちは、もう――

 目の前の空間が、開かれる。




 ほとんど来たことがなかった、屋上。

「あぁ、今日は……雪なんだね」

 そこには天から、意外なプレゼントが舞い降っていた。

「初めて、触るよ……」

 雪。
 ひらひらと舞い、まるで遊ぶ妖精のように暗い夜空を染める白い雪。

 それにぼくは、手を、伸ばす。
 白い雪は冷たくて、手に触れると同時に形を崩し、溶けて、水へと変わっていった。
 よく創作物や理科の参考書に書かれているような、あの綺麗な幾何学模様は見てとれない。

 これが本物の雪なのか。

 本当に彼女は、ぼくに感動を与えてくれてばかりだった。

「冷たい……冷たいなぁ」

「遼、楽しい?」

 ピン、とくるものがあった。
 これだけの雪、そうそう降るものじゃない。
 ぼくじゃなくてもきっと、ひとの目を奪う類のものだろう。

 だけど彼女は、ぼくに訊く。

 考えればいつも、ぼくに訊いていた。

「――楽しいよ、本当に」

 だからといってストレートに訊くほど野暮じゃない。
 ぼくのことをそんなに想ってくれているのなら、ぼくも誠実さで応える。

 だって楽しいと思っていることも、間違いなく事実なのだから。
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