新着記事

大山倍達や安田英治と闘った澤井健一

: 空手および格闘技

“拳聖”澤井健一 大山倍達と赤城山で決闘 盧山初雄 カレンバッハに道を伝え”ケンカ十段”安田英治と死闘を繰り広げ、現代に気の概念を持ち込んだ歴史的武術家!

拳聖 同じ呼び方を持ち、武の根源とも言える剣の道において、剣客、剣豪、その上に存 ...
ムエタイファイター吉成名高

: 空手および格闘技

“絶技炸裂”吉成名高 クリスクロス,前蹴り,マッハ蹴り 格闘の枠を超えたその神域!

名高エイワスポーツジム 現在私が、最も注目する格闘家の1人。 世界的に有名なボク ...
ムエタイ最強のセンチャイ・ソー・カムシン

: 空手および格闘技

“神の御業”センチャイソーカムシン NJKF竹村健二に前蹴り ジャンピング肘 センチャイキック 投げ飛ばしの妙技が炸裂!

ムエタイ史上最強 その筆頭とも言ってまず構わないと思える選手が、今回紹介させてい ...
新極真会の柏木信広

: 空手および格闘技

“清廉裂帛”柏木信広 武道精神と闘争心 ブラジリアン/マッハ蹴りで一撃必殺を体現した空手家!

ブラジリアンキック 柏木信広。 現在までに途中から起動が変化する、縦蹴りとも、変 ...

記事ジャンル一覧

#17「老い先短い命」

2020年10月7日

まずはブログランキングにクリックのご支援
何卒宜しくお願いします。

 にほんブログ村 にほんブログ村へ 
 にほんブログ村ランキング   人気ブログランキング

最初から読みたい方はこちらへ! → 初めから読む
___________________

目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 湯気が立つ湯のみが、こちらに差し出される。
 それを受け取ると、熱く、そして茶のそれ以外のものも伝わるような気がした。 

 たぶん、気のせいだけど。 

「……おいしい、です」 

「でしょう?」 

 朗らかに、笑う。
 それこそ、屈託なく。

 それは彼女のそれと、同じように。 

「誰が、持ってきてくれるんですか?」 

「生き別れた、女房でしてね」 

 ドキン、とした。聞いてはいけないこと。
 そう直感した。 

「す、すいません……」 

「いえ、いいんです。なにしろ、今日はよき日ですからな」 

 そういって、煎茶を美味そうにゴクゴクと、喉に流し込む。
 その表情には、陰りの欠片も見てとれなかった。

 生き別れたという奥さんの話をしているというのに、なぜ? 

「あの、棚多さん……」 

「なんですかな?」 

「その……な、なにをぼくに、聞きたいんですか?」 

「聞きたいのではなく、わしは成海さんと話をしたかっただけなんですな」 

「話、を……なぜですか?」 

 なぜ。
 当然の疑問。

 だってぼくは今まで、棚多さんと話したことがない。
 同室だというのに、だ。 

 それがなぜ、今日になって? 

「成海さん、あなたの方こそなにかあったんではないですかな?」 

 どうして。 

「なにが、ですか?」 

「成海さん、最近色々と考えごとが多いようですな?」

「わかりますか?」

「わかりますよ」

 ひとくち、お茶で口を湿らせた。
 それに、心が安らぐ。

 良いお茶というものは、本当に――本当は違うものだと、実感する。
 今までは、興味すら持っていなかったから。

「そうですか、わかりますか」

「はい、わかりますよ」

「すごいんですね、歳を重ねるというのは」 

「そうでもありませんよ。そんなもの、人生の旨味に比べたら三つ葉みたいなものです」 

 三つ葉とは、そちらの方がよほど洒落が効いていると思った。 

  そして同時に、確信めいたものも湧いていた。 

  そうなのか。
 そういうのがわかるのは、大したことがない。

 そうかもしれないと、彼女と話してきて少しづつ、そう思うようになってきていた。 
  なら―― 

「じゃあ、人生にとってのメインディッシュって、いったいなんなんでしょうか?」 

「みいんでっす、ですか?」 

 ご老体だった。横文字は通じないか。 

「人生にとっての煮魚は、なんでしょうか?」 

「楽しむことですよ」 

 なんと単純な、難しい答えなんだろう。
 ぼくは頭を抱えたくなった。 

 だけど抱えなかった。 

 お茶が美味しくて、吹いてくる風が優しくて、花々の香りが安らかで、聞こえる小鳥のさえずりが、心地よかったから。 

「楽しめば、いいんですか?」 

「そうです」 

 棚多さんは朗らかに、ゆっくりとお茶を楽しんでいた。 

「どんな病気になっていても、外に出たことがなくても、意気地も勇気も活力もない人間でも、楽しめばいいんですか?」 

「はい」 

「本当に?」 

「老い先短い命、嘘をつくような暇はありませんなあ」 

 老い先短い命。 

 短い命。 

 嘘をつくような暇は、ない。
___________________ 

続きはこちらへ! → 次話へ進む

クリック👍のご支援お願いします。
にほんブログ村 にほんブログ村へ 
ありがとうございますっ!🙇