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十二話「雑木林の雑談」

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

 そして、放課後。

 神薙兄妹と天寺は、雑木林の中を歩いていた。
 堆守高校から二十分ほどいったところにあるそこは、木漏れ日が降り注ぎ、小枝や木の実が音を立て、緑の香りが鼻をつく、それは幻想的な場所だった。

「――それで、天寺、わたしたちはこれから、どこに行くのよ?」

 しかしすでにそれだけの時間が経過してなお、神薙兄妹は未だ、行く先についての説明を何も受けていなかった。

 朱鳥は5分ほど前からイライラしたように組んだ腕の指をトントンと叩き、隣にいる遥はその行為に頭を抱えている。

 そんなピリピリした2人とは対照的に、天寺は笑顔で振り返る。

「まーまーもう少しだからさ」

「もう少しって、それはさっきも聞いたわよ? 何よ、わたしはただどこに行くのかって聞きたいだけなんだけど?」

「いやそれ言ったら面白くねーじゃん。やっぱ行ってからのお楽しみってしとかないとさぁ」

「それはあんたの理屈でしょ? こっちはどこ行くかわかんなくて連れ回されるのが不快だって言ってんの」

「…………」

 遥はますます頭を抱える。
 どうもこの2人は相性が悪すぎる。
 気にしない天然ぽい天寺に、それが気に入らずにイライラする朱鳥。

 結局そんな二人に板挟みにされるのは自分なのだから、全く損な役回りだと思う。

「不快だって……ひでぇ言い方するなぁ。さっき俺、君たち助けたばっかだろ?」

「別に頼んでないし、あんたなんていなくてもあんなのわたし1人で大丈夫だったわよ」

 さすがにその言い回しは、遥としても黙っていられなかった。

「いや朱鳥、さすがにそれは言い過ぎだろ」

「なによ遥。あんた天寺の味方するわけ?」

「別にどっちの味方とかそういうわけじゃなくて、実際のところさっきは天寺に助けられたわけだから、そんな言い方ないだろう?」

「だからそれは、別にわたし1人だって……」

 言い争いになりかけたところで、天寺が間に入ってくる。

「まーまーそれはともかくさ。そんなことよりも気になってることあんだけどさ」

 天寺を擁護しようとしたところで間に入られて、一瞬遥は呆気に取られる。

「き、気になってることって……」

「おう、実際のところ神薙は、オレのなにが気になってたわけ?」

 一瞬天寺の言ってることがわからなかった。

「いや、何か気になってたって……」

「だって実際、尾けてたわけだろ?」

「う……いやそれは朱鳥が……」

「妹が?」

「妹って呼ぶなって言ってんでしょ」




 結構リアルなトーンだった。
 さすがの天寺も聞き逃せないでそちらを見ると、呪い殺すぞと言わんばかりにものすごい形相と瞳でこちらを見つめている。

「お、おう……ど、どうしたの、お前?」

「わたしと遥は、双子。そしてもっと言うんだったら、わたしの方が10秒くらい早く生まれてんの」

「そ、そっか……それは、悪かったな」

「謝るのが遅いってのよ」

 再びプイっとそっぽを向く。
 いちいち水を差されて、話が進まない。それに遥は責任を感じて、

「そ、それで、何が気になってたかって言うと……」

「あの馬鹿ゴリラぶっ倒した方法が気になってたに決まってんじゃない」

『…………』

 結局最後まで割って入ってきて全部まとめてしまった朱鳥に二人は言葉を失う。
 朱鳥は相変わらずそっぽ向いている。

 天寺は遥に耳打ちして、

「……あのさ。神薙の姉ちゃん、ちょっと口悪くないか?」

「……ちょっとじゃないって、半端じゃねーんだからほんと。それと別に姉ちゃんじゃないから。朱鳥は朱鳥でいいと思うぞ?」

「ばっ、お前、知り合ったばっかりの女子にいきなり名前呼び捨てできるかよ、てゆうかお前はできるわけ?」

「いや俺できないっていうか、そもそも女子の知り合いとかいないっていうか……」

「目の前で内緒話されると、さすがに気分悪いんですけど?」

『あ、ごめんなさい』
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