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2020年10月8日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 話が面白いのか僕がこんなことをやるのが珍しいせいか、今日の切間のペースは早かった。
 何か喋るたびにビール缶の半分は飲み干す。
 かくいう僕もすっかり舞い上がっていたのか切間に笑われたり否定されるたびに酎ハイをぐいぐい煽っていった。


 ――最終的に、

 Mission.1
 まずジュースを買っていって「ねぇねぇジュース飲む?」と訊く。

 そこで大半の女性なら、知らない男からそんなことを言われても受け取らない。
 多分「飲まない」と言われる。そこで、


 Mission.2

「マジ!? じゃあオレが飲むよ!」と勢い良く言って、実際に一気飲みしてその場の主導権と相手の冷静さを奪う。
 その後間髪入れず、


 Mission.3

「じゃあさ」と、相手が座っている席の隣の席を指差し「ここ座っていい?」と訊く。
 ここでもおそらく、ターゲットは動揺しながらも「ダメ」または「嫌」もしくは、渋い対応をする。

 しかし拒否されたらすぐに、


 Mission.4

「マジ? じゃあ」と反対側の席を指差し「こっちの席座るね!」と有無を言わせず座る。

 これでMission complete!
 ――という作戦を立てた。

 感嘆した。


 実際、普通の人付き合いさえ未だに緊張するような僕が一人でこんな、相手の反応がイエスでもノーでも対応できるノリで引っ張る、ある意味強引とも言える作戦を立てるのは無理だっただろう。
 様々な女性と付き合ってきた切間ならではの入念な作戦といえた。

 作ってる最中、やたら切間がにやにや笑ってたのは気になるが、うまくいくことを確信しての笑みなのだろう。

 午前零時過ぎ。
 二時間もの間喋り込んでの会議ののち、部屋の中は色んな物で散乱していた。
 二十を越える酒の空き缶、食い散らかされたチーかまやするめなどのビニール袋の残がい達。
 他にも下の階から持ってきた皿に盛られたご飯の残りや魚の缶詰なんかも転がっていた。

 目の前の切間も大分回っているようだった。
 顔は赤く、頭がぐらんぐらんと揺れている。
 手足も投げ出され、窓際に寄りかかっている。

 その上の方から覗く夜空に、半端な月が上っていた。

「……しろ~」

 すっかり酔いが回った声で、切間が妙なことを口走った。

「……切間」

 僕はそれほど回ってない。
 お酒に対して僕は比較的強い部類に入ると思う。
 この辺も自分の体質としてはありがたいと思っている。

「お前さ、そう呼ぶなっつったろ? それじゃまるで犬だ」

 切間は僕と会ったばかりの頃、この呼び方で僕を呼んだことがある。

 "しろやなぎ"進也だから、『しろ』だそうだ。

 最初過剰に反応したせいで、切間はたまにこう呼んでは僕をからかう。

「へへへ、お前はしろさ。しろしろしろ、ほらこっち来い~」

 溜息一つ。
 どうやら相当回ってしまったらしい。
 まったくこれだけ酔っててよくあんな作戦を立てられたものだと思う。

 ぐったりしながらも陽気な切間を見て、僕は聞いてみる。

「最近は、家族とは上手くいってんのか?」
___________________

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