“リアル範馬刃牙”平直行vs”黒いブルースリー”マンソンギブソン 漫画と映画のクロスオーバー夢舞台の結末とは!?

2024年4月9日

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ブラック・ブルースリー

マンソン・ハワード・ギブソン。

ザ・マスター・ブラスター、ザ・タイキラー、そして日本では黒いイナズとも呼ばれ、世界的にはザブラック・ブルースリー、褐色のブルースリーと呼ばれた男だ。

キックボクシング及びムエタイの世界で12度もの世界チャンピオンに輝いたアメリカのキックボクサーといわれ、なんといってもその特徴は真横を向き、そこから異名通りのブルースリーの如き横蹴り、それを中心に組み立て、前後左右、大きな縁を描きリングを丸く使い、そこから文字通り稲妻のように放されるバックスピンキック、バックキック、空手でいう後ろ切り、後ろ回し切りで、80にも及ぶという京王の山を築いた、長く世界に分布するキックボクシングの歴史の中でも特異点と呼ぶ男。

そして平直行。

格闘技漫画、バトル漫画の金字塔であるグラップラー刃牙の主人公、範馬刃牙のモデルとして大変に知られる彼は、空手、シュート、ブラジリアン柔術、シュートボクシングなど多くの格闘技を習得し、精道会館の大会や、格闘技オリンピック、リングス、総合格闘技など様々な戦いに赴いた、文字通りのリアルバキ。

そんな2人が激突した戦い。

シュートボクシングという舞台で、正しくアクションスターブルースリーVS漫画の主人公範馬刃牙ともいえる、フィルムと2次元の夢の対決ともいえる組み合わせは、平直行が両手を合わせて祈り、リングイン、さらにぐるぐると飛び後ろ回し蹴りを見せつけ観客にアピール。

マンソンギブソンはベルトをつけて悠々と花道を歩き、笑顔の平直行と対照的なにらみつけるような気迫が印象的だった。

髪の長さ、肌の色、体型、そして背筋の伸び具合まで、何もかもが対照的ともいえる2人。

果たしてどんな戦いを見せるのか、胸の周りが抑えられない心地だった。

第一ラウンド、なんとまずは平直行の方が完全な半身を見せつける。

それに対してどちらかというとマンソンギブソンの方がオーソドックス気味。

さらに平直行はサウスポーに構えており、平直樹が街構えてマンソンギブソンがその周りを回り、しばらくファーストコンタクトは起きなかった。

どちらから手を出すのか。

真剣の斬り合いのような緊張感の中、マンソンギブソンが体を傾け、そちらに注意を向けて、体を起こしたその瞬間に放たれた右ハイキックがやや前のめりになっていた平直行の顎先を狙う。

それを紙一重で躱し、フッと息をつく間を狙ったバックスピンブロー。

なんという虚実の駆け引きを仕掛けてくるのか、この男は。

会場に大きなざわめきが起こる。

左ミドルと横蹴りの交錯。

さらに平直行、下段への掛け蹴り。

これは新極真会の塚本徳臣が主に第4回の体重別の世界大会であるカラテワールドカップから使い始めた、革新的な技だと思っていたが、まさか20年も前のこの時代から既に見られていたとは…

マンソンギブソンが笑う、この技の真価を正確に把握しているということだろうか。

平直行がローキックに狙いを定めたところに、左右のパンチ。

どちらかというとマンションギブソンの方がオーソドックスなキックボクシングスタイルをしているということに驚愕する。

バズーカのような右ストレートが平直行を襲い、それを何とか間一髪で回避する。

その巨大な後ろ回し蹴りに、再び場内がざわめく。

膝蹴りをつかまれつかまれ、ブレイクになるかと新した瞬間にその掴まれた足を支点にしての飛びしろ回し蹴り。

トリッキーを超えてもはやアクロバティック。

ゆっくりとしたら下段からの上段回し蹴りというかハイキックがいやらしく恐ろしい。

それを2度見せてゆっくり慣れさせてこの辺で第一ラウンドを終わらせるかと思った矢先にいきなり飛び出す超高速のバックハンド!

油断及び瞬き厳禁!

なんと恐ろしい男なのだろうかマンソンギブソンとは――

リアル範馬刃牙

第2ラウンド、マンソンギブソン片足の2段蹴りから始まり、そこから片足タックル、平直行の膝蹴り、マットに叩きつける。

しかしそれにしても、これほどまでに静かな戦いというのは、かつてあっただろうかと思わされる。

しかしマンソンギブソンは常にカウンターを狙い、一瞬の予断も許さない。

正しく平直行のほうは、虎穴に入らずんばの覚悟であろう。

虎vs侍。

一瞬そんな連想をしてしまった。

バックハンドブローがひらめく。

バックスピンからのミドル、それに耐える勇気が左のバックハンドを放つと、それにギブソンがドラゴンフィッシュブローで合わせ、右のショッピングライト2連打!

目まぐるしい展開の切り替わり。

平直行が首相撲からの膝蹴りを決めれば、マンソンギブソンはボディーへのアッパー。

戸惑っている暇など一瞬たりともない。

下段掛け蹴りから入ってくるところに高速のバックハンドブロー、さらに左右のフックで畳み掛けられ、一瞬間合いを開けての胴廻し回転蹴り!

本当の本当に漫画の世界のよう!

しかし徐々にマンソンギブソンの圧力は高まっていき、全体重をかけたストレートが平直行の顔面を襲う。

そんな中、左右のミドルからの右ローキックが、やや効果を発揮したように見受けられた。

最後はマンソンギブソンのバックブリーカーで次のラウンドへ。

平直行、左右のミドルから首をつかんでぶんなげて、右ロー、さらに左右の膝蹴りがボディー、顔面に食い込み、首投げ。

お互い疲労困憊の中、必死の攻防。

その中でも平直行のバックハンドブロー、飛び回し蹴りなど、派手な技が印象強く残り、さらにやはり首相撲、膝からの投げが非常に有効のように思われた。

しかしそんな最中の右フック、それが平直行を襲い、右手で突き離しての左フックがまともに顔面をとらえる!

ざわめく場内、第3ラウンド終了。

第4ラウンド、マンソンギブソンはやはりストレートを狙っているようで、それに平直行胴廻し回転蹴り。

首相撲の膝蹴りにマンソンギブソンはボディボディ、そして左の膝蹴りを躱してのオーバーハンドレフトが平直行の顔面を再び襲う。

一瞬相手を見失ったように見えた平直行は右ミドル、そこにマンソンギブソンは左ストレート。

ガードの隙間を付き、ついにダウン。

ダメージは蓄積も含め、かなり深いように思われた。

大平コールの中立ち上がり、そこで構えはオーソドックスになっていた。

それにマンソンギブソンもオーソドックスからコーナーに押し込み右右左。

さらに足に右足を伸ばしてきたところを狙ってのバックハンドブローが側頭部を捉え、平直行は胴廻し回転蹴りで回避。

マンソンギブソンは笑い、躍動し、再びリング中央での一瞬のためを込めてのバックハンド!

ガクッとなり、組みつき、平直行ロープに押し込んで視力を込めた左右の連打を放つが、しかし立ち上がって再開後。

またくるりと回り、散々見せてきたバックハンドが来ると思わせておいての、マンソンギブソンまさかのバックキック――後ろ蹴り。

それが平直行のボディーを完全に捉えてしまい、倒れ、のたうち、再び大平コールが巻き起こるが立ち上がることができず、マンソンギブソンの4ランドノックアウト勝利となった。

USAコール。

かつてないものを見たような心地。

フィジカルではない、フィジカルがあるのは当然として、メンタルで、タクティクスで、自分が理想とする動きを体現するために、そして相手を一撃必殺するために、そういったものが交錯する、まさに映画や漫画のような世界がそこに経験していた、そういった類稀なファイトだったといえるだろう。

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