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Ⅹ/急襲②

2020年10月9日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

「敵兵が、10分後にはくる。兵力、50から60」

「10分後? かァ、ったく。ろくに態勢整える暇もねぇぞ?」

「悠長にやり取りしてる場合じゃねぇな。とにかく俺の部隊が先陣切る。あとのことは任せたぜ!」

「わかった。くれぐれも無茶すんじゃねぇぜ?」

「ンなもん今に始まった話じゃねぇよ……じゃあな!」

 それだけやり取りし、ベトは再び駆ける。
 広間の左端に集まっていた自身の隊の連中に向かって、

「よし、行くぞお前ら! 先陣風を切り、向かい来る奴らを薙ぎ払えェエ!!」

『ウォ――――――――ッ!!』

 ベトの号令と共に、彼らは一斉に駆け出す。

 傭兵は基本的に、歩兵だ。
 馬など持てず、そして剣のみで簡素な鎧に身をまとい、突撃する。
 城の正規兵にも使い捨てと思われている。
 そんな存在だった。

 だが、ベトは死んでたまるかと思っている。

「う、オラァ!」

 突撃し、敵の鎧の上から幅30センチ長さ1メートル70センチにも及ぶ大剣を、叩きつける。

「ごァ!?」

 その衝撃で敵兵は吹き飛び、地面に叩きつけられ、そのまま沈黙。
 鎧を着た上からの戦いなど、こんなものだ。
 技術ではなく、ただ勢い。
 パワーに任せた、特攻だ。

 その中で生死を分けるのは――考えないことだ。

「らァ!」

 再び身体ごと大剣を、振りまわす。
 今度は運よく敵の鎧の脇にある隙間に潜り込み――

 ベキン、という心臓に響く感触。

「――――」

 そのまま敵兵はモノ言わず、倒れ伏した。
 脇腹を五、六本へし折った音だった。
 それどころから勢いそのまま、折った骨は間違いなく心臓を貫いているだろう。

 既に刃は、相当に摩耗している。
 だから基本的には、ただの尖った鈍器としての使い方が主流となる。

 だからどうしたというのか。
 一切、疑問を抱かない。

「この野郎っ!」

 敵兵が二人、ベトに突撃してきた。
 双方大上段に振りかぶった剣を、こちらの脳天めがけて振りおろしてくる。

 それを迷いなく、右手の敵の懐に飛び込み、胴を薙ぐ。
 その際振りおろされた剣が、ベトの右肩を打ち、肩当てを陥没させた。

 もちろん、激痛が走る。

「ぐ、が……ッ!」

 胴を打たれた相手はアバラを砕かれ、その場に倒れ伏した。
 しかしベトはすぐに振り返り、空振りして態勢が崩れている相手に肉薄、その頭部に――フルスイング。

「おがァ!!」

 兜を吹き飛ばすその一撃で頭がい骨は粉砕、二メートルは吹き飛び、男は絶命した。
 しかしベトは喜んだり安心したりすることなく、次の敵に向かう。

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……!」

 息は、激しく乱れている。
 だからと言って戦場の真っただ中で休みなど入れれば、次にああなるのは、自分だ。

 だから、考えない。
 ただどうすれば生き残り、敵を駆逐できるか。
 それだけを瞬間的に判断し、実行する。

 それだけだ。

 それこそが、生きているということだ。

「ハッ、ハッ――あァ!!」

 さらに敵の眉間を割り、打ち倒し一瞬息を整えた次の瞬間、振り返らずに真後ろに剣の切っ先を――

「ごえ!?」
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