本物のコークスクリュー!山中慎介”神の左”は伊達英二の必殺技ハートブレイクショットだった!

2024年4月9日

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コークスクリューブロー

格闘やバトル、そういったものが好きな子供だったらきっと1度は真似をしたことがある話だろう。

手の甲を下に向けて、もしくはピーカーブーでぴったりと顎にくっつけて、そこから拳を突き出しながら肩、肘、手首を連動させて内側に巻き込んでいき加えていき、そのねじ込む力で相手に強烈なパンチを打ち込む。

起源は1890年代、ウェルター級の体格にしてヘビー級の相手をバタバタとなぎ倒したと言われている歴史的拳豪、キッド・マッコイ。

その彼が、ボールにじゃれつく猫の前足を見て考えついたと言われ、ワインの栓を抜く道具のコルク抜きからその名前がつけられたと言われる、古のブロー。

…と言われているのだが、実際のところその使い手と言うものはほとんどというか全くに近く思いつかず、その開発者と噂されているキット・マッコイに関しても、実際に打ち込んでいたり戦っている映像は見ることができないのが現実だったりする。

一説によるとモハメドアリがソニーリストとの2度目の戦いでコークスクリューを使ったと言っているが、アメリカの指揮者の中ではチョッピングライトでほぼ意見はまとまっていると言う。

実際私も正直なところをひねっている様子は見受けられなかった。

しかしそんな中、なんと日本のあるボクサーが、多くの人間からあれはコークスクリューブローだと言う話がされており、さらには本人もそのストレートには捻りを加えていると明言をしているという。

そのボクサーの名は、山中慎介。

“神の左"山中慎介

神の左という、凄まじいまでの意味を持ち、31戦27勝19KO2敗2分けと言う、凄まじいまでのKO率を誇り、そのほとんどを左ストレートで決めたと言うまさに日本ボクシング界に燦然と輝く伝説的なボクサーだ。

私もその試合はいくつか拝見させてもらったが、確かにものすごい試合をいくつも樹立させたものの、コークスクリューだったという感想は正直なかったので、やや意外だった。

しかし彼について掘り下げれば掘り下げると、確かにそのような一面が見受けられ、その中でも特にそのコークスクリューの一面が出たであろう1戦を、今回は紹介させてもらえればと思う。

それは山中慎介の、WBCの2度目の防衛戦。

対戦相手はメキシコの、トマス・ロハス。

元WBC世界スーパーフライ級チャンピオンであり、2階級制覇を狙い乗り込んできたという、その時点で54戦39勝26KO13敗1分け1無効試合、非常に高いKO率を誇り、さらにはリカルドロペスなどを始めとした、名ボクサーを輩出してきたメキシコ出身。

身長、リーチともに、山中慎介よりも3センチ高く長く、向かい合った状態では、山中慎介が見上げるような対比となる。

試合開始とほぼ同時に、ロハスは飛び込んで行き壱発を狙う。

非常にハイレベルなにらみあい、お互いに高い攻撃力を持つゆえに、生半可なパンチは出せないのだろう。

これだけジャブが少ない試合も珍しいと言える。

そしてロハスが山中慎介のジャブにクロスを合わせる、これをされるとジャブがかなり出しにくくなっており、厄介な展開と言えるだろう。

そしてお返しのように山中慎介の神の左がぐっと伸びてくる。

一触即発。

ロハスはそこから体を柔らかく使って、フックともスイングパンチともつかない体全体を振り回すようなパンチで撹乱していく。

しかしそれは当たらず、隙を産むために、一転してジャブ合戦となる。

そして2ラウンド開始直後、山中慎介の右のフック気味のジャブが見事にロハスの顎を捉えて、ロハスがよろめくシーンが見られる!

この時点でこれはかなり衝撃的と言えた。

左を警戒している相手にとっては、まさに意表をついたと言えるだろう。

しかしそれによって警戒心も高まったのか、しばらくはクリーンヒットが見られない静かな展開となる。

ロハスが追いかけ、山中慎介が迎え撃つ。

ここまで飛び込んでこられたら、神の左は出しづらいだろう。

手数、勢いともにややロハス傾いてきたなと思った、そんな6ラウンド、山中慎介が小さく細かいジャブを少しずつ出し始める。

それにロハスが、飛び込むのをためらい始める。

距離ができる。

そんな中ロハスの左が山中慎介を捉えたりもするが、それはつまり、現在間合いが、ストレートのそれに移行したと言うことを表していた。

被災者に勇気を与えた衝撃KO

1分半、ようやく山中慎介の神の左が、その顎をとらえた。

腰が落ちる。

さらに顎、テンプルに神の左が炸裂。

しかし危険を察したロハスは、がむしゃらに前に出て、その必殺の距離をつぶしてくる。

やはり一筋縄にはいかない。

そしてこの後のリプレイが、第一の衝撃だった。

スロー映像、それにより、判明する。

確かに、ひねっている。

当たる瞬間に内側にねじれ、コークスクリューブローのその軌道に近いところにあるように感じられる。

通常の速度ではわからないと言うところが、本当にライフルのそれのようだった。

そして7ラウンド。

ロハスの長距離砲のリードジャブも目を見張るものがあり、それをしのぎながら山中慎介はタイミングを計っていたのだろう、またも神の左がその頬を見事にとらえる。

そして次の左で、ロハスはマットに沈みこむのではなく、叩きつけられた。

圧巻の映像。

背筋に冷たいものが流れるような感じすらする。

もはやロハスは動けない。

ボクシングの試合とは思えないほどの凄まじさ。

正直等速では、その価値が判断できないほどだった。

ロハスは立ち上がることができず、担架で運ばれようとする。

集まっている人の数が、そのダメージの深刻さを物語っているようだった。

この試合、復興と言う名目で、2000人もの被災された方がこの会場に招待されており、彼らがこれ以上ないと言うKO劇に、日の丸を大きくはためかせ、万歳三唱でその勝利をたたえている。

そしてその後公開された、ウルトラスロー映像により、そのパンチの正体が判明する。

まっすぐ飛んでいるように見受けられるが、その軌道は徐々に内向きに内向きに、そして拳の角度も巻き込まれていっており、そして顎を鋭角に貫き、さらにフォロースルーはいっそうの螺旋を描き、そのあまりの反動に、打ち終わった後拳が自然に元の形に半回転している。

これが人間が放つパンチなのだろうか?

まるでライフル銃のそれだ。

すごいと同時に、恐ろしいと思った、まさしくコークスクリューブローを打つために生まれてきたような男だ。

もしかしたらロハスは、それこそライフルで撃ち抜かれたら衝撃を味わったのかもしれない。

解説の西岡利晃選手の、当たる瞬間に捻っていますと言うことに、聞き役もコークスクリューと言うやつですねと返す。

正面からの映像を見ると、グローブが渦を描いているのがわかり、またも背筋に冷たいものが走りぬける。

解説も、ここ最近でナンバーワンのノックアウトシーンではないかと、その偉業を叩いている。

言葉がない。

確かにコークスクリューブローを探してはいたが、ここまでのものが、しかも誇るべき日本のボクサーでいるとは、想像だにしていなかった。

漫画を超えた、日本が誇るべき、神の左が作り出した、真実のコークスクリューブロー。

私個人的には、すべての日本人、他には世界中のボクシングファンが、この事実を知っていてほしいと願うばかりだ。

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