“超新星”数見肇 初出場20歳で準優勝 増田章、三明広幸、石井豊、七戸康博を撃破しての超快進撃!
数見肇
おそらくは極真史上においても最も高名とも言える空手家の一人と言っても過言では無いかもしれない。
極真空手において全日本大会初出場準優勝の快挙、同じく全日本大会3連覇及び都合5度の優勝、世界大会2大会連続の準優勝と、その記録は凄まじく多岐に及ぶ。
その立ち振る舞いに、ただ1人日本勢として外人の脅威に立ち向かった侍として、憧れているものも多いだろう。
そんな彼の戦いの歴史は、全国区的には、第24回全日本空手道選手権大会から始まったと言えるかもしれない。
この大会、数見肇はそのわずか2ヶ月前、同年9月8日に開催されたFTV杯東北大会で優勝はしていたものの、全国的な知名度は皆無に等しく、全く注目されていない中勝ち上がり、3回戦で対戦したのか、その前の第22回全日本大会で優勝を果たし、前年に開催された第5回全世界空手道選手権大会においては決勝まで進出し、優勝に輝いた、その後優勝者の緑健児が引退したと言うことを踏まえれば実質的な世界最強者と言っても間違いではない、増田章だった。
世界準優勝の増田章に勝つ
何をどう考えても100人がいたら100人増田章が勝つと予想しそうな戦いだったが、数見肇は増田章のその強烈なパンチで腹を効かされながらも、前後左右に体を翻す柔らかい動きでその攻撃を受け流しつつ、耐え、その動きを反動に使ってのパンチ、そしてサッカー出身でありそこで鍛えたと言う強烈な下段廻し蹴りを叩き込み、あの増田章の体をずらし、バランスを崩させ、再延長までもつれ込せ、
体重判定では増田章が89キロ、数見肇が91キロで決着つかず、試し割り判定で増田章が18枚、数見肇の24枚で、大金星をあげることになる。
4回戦では前回の第22回全日本大会で5位に入賞し、世界大会代表、全日本ウェイト制の中量級を2度制覇する、三明広幸と激突!
試合開始直後から中段、上段回し蹴りを中心に、ガンガン攻めていく三明広幸に対して、数見肇は20歳とは思えない落ち着いた動きで丁寧にさばき、下段廻し蹴りを返す。
そんななか本戦中盤からは、三明広幸も足を止めての魂のこもったローキックの蹴り合いとなる。
ダメージを負いながらも、20歳に対して27歳という意地か、下段からの上段回し蹴りをぶち当て、そこから渾身の突きを叩き込む三明広幸。
しかし数見肇は変わらない。
無表情に、落ち着き払って、淡々と間合いを詰めていく。
そして三明広幸の中間距離からの廻し蹴りを食らいながらも、叩き落とすような下段廻し蹴りを繰り出していく。
延長戦ではラッシュした代償か、逆に数見肇の手数が多くなり、右足を狙った奥足下段が効き始める。
さらに数見肇の左足の脛受けにより足を痛めたか、右足の廻し蹴りの威力がかなり落ちたように見受けられる。
それでもその勢いに巻き込まれまいと、左右の正拳突きのラッシュ、そして前蹴りの連打を叩き込んで1歩も下がるまいとするが、判定4対0で数見肇が勝利。
続く準決勝では、第20回全日本大会で準優勝、第5回世界大会で6位に入賞した"マサカリキック"石井豊と対戦。
この試合では数見肇は上段前蹴り、そして中段廻し蹴りで責め立て、中間距離の間合いから主導権を握っていく。
そこからじわりじわりと間合いを詰めて、やはり奥足に強烈な廻し蹴りを叩き込む。
さらに中段廻し蹴り、内股、鉤突き、そのプレッシャーに、石井豊は後退を余儀なくされた。
そして初出場にして迎えた準決勝では、"本部の怪物"七戸康弘が待っていた。
三明広幸、石井豊を破っての"本部の怪物"との激突
全日本ウェイト制大会を4度制覇、無差別の全日本大会においても上位入賞の常連で、世界大会でも連続出場を果たし、体重判定さえなければ無敵とさえ言われる巨漢。
試合は序盤から七戸康博がものすごい左右の突きのラッシュ、そして上段膝蹴りを顎にブチ当て、場内ざわつかせる。
てか、うわ、すげえ、さすが怪物…
そこからさらに中段膝に畳かけようとするところに、一瞬の隙をついての、数見肇の左右の下段。
動きを止め、次の瞬間には離脱し、間合いを離す。
そして中段廻し蹴り、それに負けずに七戸康博も中段廻し蹴りを返す展開。
数見肇の前足を狙った左の内股、右の下段に対して、七戸康弘のパンチからの膝蹴り。
まっすぐ詰めてくる七戸康博に対して、体をかわしての円の動きの数見肇。
その下段が早々に七戸康博の動きを止め、効いたような素振りを見せるが、ひるむことなくすさまじい下突きを返すが、やはり数見肇も動揺しない。
これで20歳というのが本当に恐ろしいと言える。
足が効かなくなったのか七戸康博は途中から蹴りが出なくなったが、本部の怪物はパンチだけで相手を圧倒、追い詰めていく。
しかし数見肇もまた、体をかわして、円を描き、前足を狙った下段廻し蹴りの速射砲。
七戸康博七戸康弘のものすごいパンチからの膝蹴りが腹をえぐるが、驚くべきことに数見肇は効いていないのか、耐えているのか、ひるむことなく、一瞬の隙をついてものすごい下段を返す。
まさしく弁慶と牛若丸の如き戦い。
体重差は20キロ近くにも及ぶといわれ、延長でさらに勢いを増した七戸康博に追い込まれるが、膝蹴りを躱し、胸のパンチを耐えて、脛受けされようが、膝に当たろうが、右の下段廻し蹴りにかける。
そして注意を左足向けておいての、回り込んでの奥足である右足の下段廻し蹴りの連打。
膝蹴りをこらえてのインローで崩し、左中段廻し蹴りを叩き込み、満を持しての前足のローキックを効かせる!
動きが止まった!
怪物が、初めて止まった!
判定は赤い旗2本。
しかし主審がとらず、引き分け。
再延長は開始と同時に、七戸康弘がゴリゴリの膝蹴りのラッシュ、中段廻し蹴りを見せ、下がることなく耐え忍び、奥足への下段を返す。
その後放たれた右の下段で、再び七戸康博の動きが止まる。
さらに散らすパンチから奥足への下段、それを連打でたたきこまれ、七戸康博の表情が歪み、動きがスローモーションになっていく。
それで中段廻し蹴り、円の動きも最高潮となり、手数でも上回りだす。
終了間際には上段前蹴りさえだし、判定5対0で勝利!
超新星の輝き
初出場にして、20歳にして、驚異の決勝進出。
それも世界大会準優勝、全日本中量級2度の優勝、全日本準優勝世界大会6位、全日本重量級4度の優勝と言う、名だたる戦績、異名を持つ実力者中の実力者たちを、それもきっちりダメージを与えて判定で破ってという、堂々にして恐るべき快進撃。
そして決勝ではあの超巨大戦艦と呼ばれた、第6回世界大会で優勝を果たす八巻建志を破って上がってきた、田村悦宏。
突きで突進してくる田村悦宏に対して、数見肇は回り込みながらの下段廻し蹴りで対抗し、開始早々に上段回し蹴りも狙っていく。
しかし田村悦宏の突進は止まらず、物凄まじく重い胸への突きを送り出し、さらに重たい左の中段廻し蹴りにつなげていく。
数見肇も下段廻し蹴りを返すが、脛受けきで捌かれ、逆にそれまでの蓄積でダメージが溜まっている足に蹴りを食らって、グラついてしまう。
それでも崩されず、下がらず、魂の左右の下段廻し蹴りを返し、一方的な展開にはさせなかった。
その堂々たる戦いぶり、結果は、20歳と言うことも踏まえて、その後の大躍進、日本を代表する空手家となる、その鮮烈すぎる輝き、その当時称えられていた超新星と言う言葉にふさわしいものと言えるだろう。
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