第98話「かき氷」
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目次
本編
「うるせーや。女の子相手に思い切りアタックする方が、よっぽど無神経だろうが。ったく、その猪突猛進な性格、もうちょっと、どうにかなんないのかよ。あとしろやめろ」
「む? それは違うぞ。俺は猪突猛進なのではなく、興味があるものにはとことん"没頭する"だけだ、しろ!」
「だから極端なんだってば、そういうの。ちったぁ自粛しろよな。あとしろやめろって」
「それは無理というものだよ、しろ! これはオレの"生き方"とも言うべきものなのだからな!」
まぁ別に、その性格が悪いと言ってるわけではないのだからいいのだが。
とりあえずしろはやめてほしい。
「とりあえず、しんちゃんもカキ氷食べなよ~」
当の彼女が一段降りた砂利の通路に現れたのが目に映った。
「うるせーや。女の子相手に思い切りアタックする方が、よっぽど無神経だろうが。ったく、その猪突猛進な性格、もうちょっと、どうにかなんないのかよ。あとしろやめろ」
「む? それは違うぞ。俺は猪突猛進なのではなく、興味があるものにはとことん"没頭する"だけだ、しろ!」
「だから極端なんだってば、そういうの。ちったぁ自粛しろよな。あとしろやめろって」
「それは無理というものだよ、しろ! これはオレの"生き方"とも言うべきものなのだからな!」
まぁ別に、その性格が悪いと言ってるわけではないのだからいいのだが。
とりあえずしろはやめてほしい。
「とりあえず、しんちゃんもカキ氷食べなよ~」
隼人がブルーハワイ味のカキ氷を神龍に手渡す。
それを神龍が武士のように手刀を額につけて受け取る。
みょ~、に義理堅いんだよな、今のモード。
「うむ、感謝する」
スプーンで一口救い、口の中に入れる。
「……うまい。やはり夏はカキ氷だな。ブルーハワイの意味は未だにわからんが、食べれば爽やかな気持ちになるからよしとしよう」
僕も隼人からプレーンのカキ氷を受け取る。
さて、次はどれにするか……いい加減シロップ、全種類制覇しそうだしな。
「しっかしぼくら、海に来たって言うのに泳いでないね。すっかり焼けて、背中とかひりひりするよ」
「うむ、それもまた夏の風物詩」
迷う手を止め、ツッコむ。
「お前……何でもそう言えばいいと思ってないか?」
「そんなことはないぞ? 隼人、他に夏と言えば?」
「やっぱ焼きそばだよね~」
「よし、しろ。ともに焼きそばを食べよう!」
「…………あ」
呆れて彼女の様子を見に行こうと思った、ちょうどその時。
当の彼女が一段降りた砂利の通路に現れたのが目に映った。
両腕にぐるぐると包帯を巻きつけ、その手でいつもの黒いバッグを握り締め、肩にはタオルをかけて、その上から女性スタッフの人に両手を乗せられている。
俯き加減で、ちょっと気恥ずかしそうにしていて、もう今日の彼女は最初から最後まで可愛いと思う。
そんなことを考えていると後ろで神龍が立ち上がり、
「夜月君!」
いきなり名前呼びで、君付けときたか……。
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