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ⅩⅤ:レッサーデーモンの群れが現れた!

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 その洞窟で、エリューとマダスカは、必死の形相で息を切らしていた。

「くっ、はっ……」
「っ……うぅ……」

 その前方には――十数体にも及ぶ、レッサーデーモンの群れ。
 毒々しい赤が無秩序に連なる様は、まるで立ち並ぶ血まみれのゾンビたち。

『が、がる……ぐるるるゥ!』

 それが今の二人には、絶望の壁に思えた。

「……くそっ!」

 一歩踏み出して、剣を横薙ぎ。
 しかしそれは飛びのかれ、容易く避けられる。

 同時に横手から、別の一体による――火炎球。

「っ……らァ!」

 それを横薙ぎに、真っ二つに。
 その一撃に魔力を込めたことにより可能な、力技だった。

 それはエリューの後方で、爆発する。

「ぐ、ぅ!」

【legit de cia(まるで、眠るように)】

 その間隙をつくように、マダスカが詠唱。
 その突き出された両掌から放たれるは――冷気の、シャワー。

「ぐ、ぐぎ……?」
「ぎゃ、ぎゃわ」
「くきききぃ!」

 その広範囲攻撃を避け切ることは叶わず、レッサーデーモン全体の動きが鈍くなる。

 そこに再度、エリューが飛び込む。

「う――りゃあッ!」

 先ほどとは違い、タメを作ることでその一撃は鋭さを増し、確実にレッサーデーモンを捉え、その身体を、切り裂いた。

「が、ぎゃばああああああ!」

「ふっ――はァ!」

 さらに一閃。
 次のレッサーデーモンを、脳天から真っ二つ。

 さらに後方でマダスカが地面に手をつき、

【lite squet(目覚めよ、その鼓動)】

 振動、さらに地面に、大穴が開く。
 それに、エリューの連続斬撃に気を取られていたレッサーデーモンのうち4匹が巻き込まれ、呑み込まれた。

「ぎゃ、ぎぎゃ?」

「おおおおお!」





 そこにさらに、エリューは畳みかける。
 毎朝毎昼毎晩というか時間があればというか時間がなくても作って練習した円の動きを、実践する。

 さらに3匹、斬り捨てる。

「ぎゅ……ぎゅぎぎぎぎぃ!」

 その戦況に、エリューから狙いを変えた2匹にマダスカは――

【qa dena stracle(抱くは、傷つけ)】

 今度は風の刃を、突き立てる。

「ッ――――!」

 喉仏に穴をあけられたそれは声すら出せず、その場に突っ伏した。
 そのあとも二人は敵の陣形が整うのを待たず、畳みかけ――

「いや、本当――――にっ、ありがとうございました! おかげでこれからは、安心して家の外に出ることができますわい……!」

「いえいえ、出すもの出してもらえれば……じゃない。みなさんの喜びが、私たち魔王対抗軍の喜びですから」

 町長に対するオルビナの営業スマイルを、マダスカは胸中複雑な想いで見ていた。
 オルビナさまに喜んでいただけたのは嬉しいことだが、これほどの労苦を請け負い、かつ――

「素晴らしいお考え、わたくしどもこれからも貴殿の活動を応援させていただきますぞ!」

「はい、ありがとうござます。……それで、礼金の件ですが?」

「あ、はい。もちろんご用意してありますぞ? おい!」

「はい! どうぞ、こちらです」

 どさ、という音と共に現れたのは、背負えるほどの巨大なズタ袋。
 それはごつごつとしており、中にたっぷりと――金銀銅貨が詰まっているのを連想させた。

 それにオルビナは満面の笑みを浮かべ、マダスカは俯いた。
 確かに旅を続けるには資金も必要にして、自分たちの実戦経験を積むという意味でもこの上ないものに思えるが、しかしそれにしてもこんな露骨なものは……

「フフッ」

 その声に、マダスカは顔を上げた。
 そこには堪え切れなかったという感じの、エリューの笑み。

「……何を笑っているのだ、お前は」

「へ? 俺、笑ってた?」

 ――この男は、時折自身の感情すら制御できていないようだった。

「……笑っていたとも。その意図は、なんだ?」

「あー……いや、オルビナは厳しいなぁって」

「それでなぜ笑うのだ?」

「いや、さすがだなぁ、って……」

「……理解不能だ」

 もうこの男のことは考えないようにしようと思った。
 そんなやり取りをしている間にオルビナは交渉を終え、

「では、またどうぞ。……よし。次の街へと進もうか、二人とも?」

「はいっ、次の試練お待ちしてますっ!」

「やる気があるのはいいことだね、エリュー」

「はい、やる気満々ですっ!」

 その声に、マダスカは表情を曇らせる。
 この男の場合、単純に燃えているというよりは別の意図が見て取れてしまうというか……

「む? マダスカは元気がないようだけど、疲れたかね?」

「あ……いえ、そんなことありませんっ」

「そうか。ならば、早速発つとしようか」

「は、はい……」

 そしてルタニアの町を離れ、次の町へと続く下草、砂利だらけの沿道を進んだ。

 移動は、徒歩だった。
 馬はマダスカが乗ってきたものとオルビナが所持していたものと本部に待機させていたものを含めてすべて、けが人を運ぶ時に放出してしまっていたからだ。

「ハァ……ハァ……」
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