第78話「照ヶ崎海岸」

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 そんな早瀬市の中でも件(くだん)の照ヶ崎海岸は、ここに住む市民にとってトップクラスの知名度を誇っている。

 その理由は、三つほどある。

 有名な理由、その一。
 とことん交通の便が悪いへんぴ場所にあり、市内のどんな場所から向かっても最低二時間はかかってしまう。
 ついでにそのせいか、夏でも閑散としているのは市民の常識である。

 有名な理由、その二。
 理由その一の事情のためだろう、その海水は圧倒的な透明度を誇り、砂も素晴らしい白さを保っており、県の指定文化財になっている。
 ゴミとかポイ捨てとかしようものなら金五萬の罰金。

 まるでシンガポールかと。
 それじゃ行く人ももっと減るよね。

 有名な理由、その三。
 まるで映画のような話だが、過去にその海底にて沈没船が三隻も見つかっている。
 最初に発見された時など全国規模の新聞の一面を飾った。

 今のところは宝箱などの財産価値が高い物は発見されていないが、現在でも探索が続いていて、それを呼び物に観光地化されている。
 今回神龍が『照ヶ崎海岸の海の底に何があるか気にならないか?』という発言をしたのも、それに関連したものだろう。


 早瀬市は日本の中でも海開きが早い。
 本州は七月一日がほとんどだというのに、この市は六月の半ばに行われる。
 早い瀬の市という名は伊達じゃない。
 だからこの旅(?)の日取りもそれに合わせて、来週の日曜という話に決まった。

 この神龍という男、こういう約束を取り付ける時とテストの時にしか、学校で、少なくとも僕は見たことがない。
 一体どうやって単位を取っているのだろうか……。

 しかも身長は百八十を悠に超えており、スタイルもいい。
 その上顔の造形も整っているという、いわゆるモデル風なルックスを持ってる。
 にも関わらず彼女はおろか女友達もおらず、僕とか隼人みたいなモテない系とつるんでいる。

 実に変わった男だ。
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