五十二話「トーナメント」

2021年11月7日

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目次

本編

 不気味な存在、前回4位。"勝利至上主義"海宮慎二!
 彼は天寺の同級生だという。しかしそのスタイルはむしろ正反対で、ハッキリいえば、荒い。
 とにかく反則擦れ擦れの事態が多いのだ。だが、それは勝利への貪欲な姿勢の裏返しともいえるのである。前回大会の準々決勝でのハプニングは、ハプニングの一言で片付けられる単純さではなかったと思う。だが、その時ですら彼は涼しい顔を崩さなかった。むしろ筆者はこう書きたいと思う。勝利至上主義、と。

 前回大会は、豊作の年といえた。何しろ、ベスト4のうち、3人までが最年長の3年生ではなかったのだから。それゆえ今大会は、その3人ともが再び出場している。これほど楽しみな大会の年も、過去なかったのではないか? 前回同様天寺が優勝を決めるのか。それとも建末がリベンジを遂げるか。はたまた海宮が波乱を巻き起こすか。それとも前回大会のように1年生から超新星が飛び出すか。想像は留まることを知らないだろう。

 しかし今大会に於いて、事前に注目しなければならない選手がもう1人、いる。

 盟帝会所属、蓮田夕人(はすだ ゆうじん)。
 この彼、盟帝会(めいていかい)という新進の空手団体に所属ということに、書類上はなっている。事実現在籍を置いているのも盟帝会だ。だが、キックボクシング関係者、特に本場ムエタイに詳しい者なら、この名前には聞き覚えがあるのではないかと思われる。
 そう。彼は若干18歳という年齢ながら、本場ラジャダムナンスタジアムで日本人ムエタイ選手として闘っていた、ということで一時格闘技誌を賑わした、あの蓮田夕人なのだ。筆者も最初彼の名前を見た時は、驚きを隠せなかった。その事実を確認しようと盟帝会に電話してみたところ、返って来た返答は、『現在彼は盟帝会の会員です』の一言だった。どういう流れで彼が盟帝会という空手団体に籍を置いているかは定かではないが、これはムエタイ対空手、という構図にもなりうるのではないか? もちろん高校生レベルの話ではあるし、ルールも空手のものだ。どこまで通用するかはわからない。だが、筆者は彼の動向も追っていきたいという気持ちに駆られているのは事実である。』

 遥は空手に関しては素人だ。





 だから天寺と纏と慎二以外はどう見ればいいからわからないため、その三人にここに書いてある二人の選手を加えた合計五選手に印をつけて、文字通り指針にしていたのだ。

 改めてトーナメントのページをめくる。
 その準々決勝の四つの頂点に残っている、8選手の名前。

 天寺司、建末元示、橘纏、海宮慎二の順で、有力選手は順当に勝ち上がっていた。
 他3人参加していた他流選手も、その2人までは既に序盤で姿を消していた。

 しかしあとの一人。
 注目選手としても上げられている、蓮田夕人の名前も、8人の中に残っていた。

 ベスト8に他流派が――ムエタイ選手が食い込んでいる。
 このライターの予想は一つ、当たっていた。

 だが、次に当たる選手が――

「建末が、止めるな」

 声が横から飛んできた。

 慌てて振り返るとそこには――腕を組んでパイプ椅子に腰掛けた長い後ろ髪の男、天寺の姿があった。

「あ、天寺……」

「よ、神薙。本当に来てくれたんだな」

 彼は気さくに手を上げて、愛嬌のある笑顔で挨拶した。
 ――そう。
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