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ⅩⅦ/愛と優しさ②

2020年10月9日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 スバルは考える。

「……なんでだろうなぁ」

 そういえば咄嗟に、思いつかなかった。

 なぜだろう?

 スバルから見れば、アレは単なるみなしご、戦争孤児だ。
 ベトが拾ってこなければ、気にも留めなかっただろう。
 それからあの夜の会話があり――

 ああ、そうか。

「ベトが連れてきたから、だな」

 ニヤリ、とその時スバルは思わず笑みを浮かべていた。
 その意味が、アレにはわからない。
 だがその言葉の意味は、理屈ではなく直感で理解出来た。

「ベトが……?」

「あぁ、ベトがだ」

「ベト……ベト……」

「あぁ、ベトだ」

「ベト……優しい、ですよね」

「あぁ、優しいな……本当に、バカなくらいにな」

 向き合う。
 アレは、柔らかい表情を浮かべていた。

 それを一言で表すなら、安心したというところだろうか。

 見届けて、スバルは頭を下げた。
 唐突に。
 だからアレはしばらく、そのことに気づけなかった。

「……え? あの、スバルさ――」

「ベトの奴を、頼む」

 なにを頼むのかもわからない。
 目をパチパチして動揺するアレにスバルは頭を下げたまま、

「……わしでは、ダメだったよ。あのバカの目を、覚ましてやることは。だから嬢ちゃんに頼むよ。なんとかあのバカの目を、覚ましてやってくれないか?」

 説明されても、意味がわからない。

「……あ、あのバカって、ベトのこと?」

「あぁ、そうだ。頼む」

「……目を覚まさせるって、起こすって意味ですか?」

「違う、気づかせてやって欲しいんだ。あのバカが、なにを本当はしたいかを」

 わからない。
 なにをいっているのかなにひとつ。

 だけどなにが言いたいか、なんとなくわかるような気がした。

「……ベトが、死ぬんですか?」

 一足飛びの見解に、今度はスバルの方が驚き顔を上げる。

 アレの瞳は、どこまでも真摯だった。
 スバルはそれに少し圧倒され無意識に髭を撫でて、

「……端的に言えば、そうなるか」

 確かに一足飛びではあったが、アレの見解は間違いではなかった。


 このままでベトは、死ぬ。
 間違いなく。
 スバルのように要領よく、うまいところだけとってトンズラという真似をベトは決してしない。

 一番の死地に一番に赴き、そして大暴れする。
 あんなやり方では、いかに戦いの才があろうと不意打ちは避けられない。

 事実アレがきた二日目、一度死にかけている。
 なによりベトが、どう考えても死のうと考えている。

 自責の念によって。

「……わたしに、止められますか?」

 その言葉には、自信の欠片も見受けられなかった。
 そこにスバルは、アレという少女の矛盾を垣間見る。

 世界を変えると言っておきながら、それ以外のことにはまったく奥手。
 自信も意思もない、その極端な在り方。

 よく似ている。
 ほとんど直感的に、スバルは思った。

「止められるか止められないかじゃない、止めて欲しいんだ」

 どこかで聞いたような台詞に、アレはハッとする。
 スバルは出来るだけのどこまでも優しい笑顔で、じっとアレを見つめる。

「嬢ちゃんなら、できそうな気がする……いや違うな、嬢ちゃんにしか出来ないと思う。言い方は悪いが、嬢ちゃんが出来なくちゃ誰にも出来んだろう。だから嬢ちゃんがダメなら、わしも諦める。だから、頼まれてくれんかな?」
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