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四十三話「回顧」

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 お互い何度も相手を試合場に叩き伏せ、場外に押し出しあった。
 力を振り回す『鬼人』と、『見えない前蹴り』で狙撃する弓崎。
 それはまるで狭い檻の中での猛獣と狩人の戦いを見る者に連想させた。

 何度も繰り返された延長戦の末、最終的に僅差の判定で煉仁会空手第一回全日本大会の覇者は、弓崎竜童となった。

 そして『鬼人』は、それ以来表舞台から姿を消した。
 その大会での準優勝以外、公式の記録は残っていない。

 それを――



 5歳ほどの男の子は、繰り返し見続けていた。



 テレビの前で、一心不乱に何度も同じDVDを繰り返し見る男の子。
 電気も点けていない暗い居間。

 テレビと、その明るさに照らされた男の子以外何も見て取れない。
 その子は見終わるたびにまた初めから見る、という作業を繰り返す。

 何度も何度も。
 まるでその映像を目に焼き付けるように。

 繰り返し繰り返し。
 それはその内容を胸のうちにしまいこむ様に。

 そうして、何度も何度も――数十回にも及ぶ繰り返しの末、男の子は再生ボタンを押すのをやめた。そして腰を上げ、テレビのスイッチを切る。途端、居間を完全な闇が支配し――





 気づけば、その男の子はミットを蹴っていた。

 場面は切り変わり、屋内ではなくどこかのガレージのような空間になっている。
 その5歳ほどであろう男の子の胴体と手足の長さは、ほとんど同じほどに見え、蹴っているというより手足をばたつかせているように見えた。

 それを、逞しい男が受けていた。
 両手でしっかりとミットを持ち、右に左に誘導する。

 その腕も胸板も足も太く、しかしそれはパンパンに張っており、硬そうに詰まっているようだった。
 だがその格好はよき父のように白いポロシャツに茶のチノパンを履いており、優しい笑顔を浮かべている。
 ぺちぺち、と紙を叩いているような微笑ましい音が響く中、二人の練習は続いていく。

 気づくと、男の子は小学生ほどの大きさになっていた。
 蹴りも少しは形になり、音もまともなものに近づきつつあった。
 それを男はどこまでも微笑ましそうな顔で見守っていた。
 それは、本当に嬉しそうな笑顔だった。

 またも、男の子は成長した。
 身長は男の肩の高さに届き、その足も腕も、太くはないがしなやかで、男譲りであろう硬そうな筋肉がついていた。

 その蹴りも強烈なものになり、一発ごとに男の体は大きく振動した。
 それはもはや男の子ではなく少年のそれだった。
 男は嬉しそうな笑みを崩さず――いや、むしろその成長が嬉しいかのように、強烈な、心臓に響きそうな蹴りを、ミットで受け続けた。

 二十発ほど蹴ったところで、突然少年は蹴りを止めた。
 黙って立ち尽くし、足元を見つめてる。
 その様子に眉を下げ、男はミットを持ったまま少年の様子を見つめた。

 少年が口を開いた。

「なんで自分と、闘ってくれないんですか」

 その言葉は、胸の奥底に溜めて溜めて溜めて、やっと吐き出した思いの丈のように聞こえた。
 少年は続ける。

「もう、大きくなりました」

 男はそれを聞くと、困ったように腕を組み、頭を傾げ、

「ん~、そうだなぁ…………じゃあ」

 答えた。

 纏が、日本一の高校生になったら、組み手しようか――



 白い蛍光灯が、目に入った。



 網膜を焼く眩しいそれに目が慣れると、徐々に天井の木目が見えてきた。
 続いてテレビのニュースキャスターが原稿を読み上げる声や、キッチンで父が油で何かを焼いているらしき香ばしい音が聞こえてくる。

 どうやらおれは、今まで寝ていたらしい。
 だとすると、今のは夢か――

 懐かしい、夢を見たな。
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