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六十話「参った」

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikukose

本編

「天寺ッ!」

 神薙の声が聞こえた。

 他にも色んな音が聞こえた気がしたが、周りの雑音として処理されてしまっているようで、内容がわからない。
 最初に思った、カクテルパーティー現象ってやつか?
 何はともかく、神薙がオレを呼んでるようだ。
 それなら、目を開けないとな。
 なんか、切羽詰ってるみたいだし。

 そう思い、天寺は仰向けのまま静かに瞼を開けた。

 スポットライトの八つの強烈な光が、網膜を焼いた。
 眩しさに、顔をしかめる。
 手庇を作り、状況を確認しようと首を横に回す。

 神薙が、真っ青な顔で叫んでた。
 その周りには、道場生のみんなもいる。

 それで、思い出した。

 ――――そういえば、オレ、試合してて……
 手庇を、そのまま顔全体に覆い被らせて、アイマスクのようにして顔を隠した。
 その間に自分の中で、気持ちに整理をつけようと思った。

 今までの試合の流れが、ビデオ映像のように頭の中に流れた。
 それは実際には大雑把なものだったが、大筋では合っていた。
 そして、最後の後ろ回しから膝をもらうまでの流れを思い出した。

 思う。
 ――――負けて……しまったかぁ……

 実感が、頭と体に追いついた。
 負けた。

 しばらくごちゃごちゃとまとまらない感情を、自分の中で整理しようと努めて、
 ――――まいった。

 初めに沸いた感想が、それだった。
 あれだけ纏と戦いたくて頑張ってきたのに、寸前でその望みが断たれてしまった。
 悔しくないといえば、嘘になってしまう。

 ――でも、後悔はなかった。
 完敗だった。
 相手はそれだけ強く、自分はやれるだけの全てを出した。

 ――そして何より、纏が奴を止めてくれると信じていた。
 他の格闘技なぞに、優勝は渡さない。

 手を顔から外し、頭を上げようとして、アゴに鈍痛がきた。
 喋ろうとして、うまくアゴが上下しないことに気づく。
 初めてもらった顔面への蹴りに、これはなかなかしんどいな、と苦笑を作る。

 上半身を起こしたところで、医者が来た。
 こちらの現状を知るためにいくつか質問をされた。
 それにぎこちなくアゴを動かして答えた。
 とりあえず大事ないことがわかり、周りのみんなと共に自分でも安心した。

「担架! ……必要ですか?」

 医者の後ろに二人の白衣を着た大会役員が、担架を用意してるのが見えた。

「必要かね?」

「……らいじょうぶ、れす」

 医者の言葉に、うまく発音できないことをもどかしく思いながら、なんとか答えた。
 そのやり取りを見てから、神薙が肩を貸してくれる。
 素直に甘えさせてもらった。
 さすがにこのまま一人で歩ける自信は正直ない。
 その後ろに控える朱鳥の存在にも、天寺は気づく余裕はなかったくらいだ。

 正座をして待機してた夕人と、試合中央に行き、握手をする。
 顔を盗み見た。
 真面目な顔を作ろうと苦心してるようだったが、口の端が痙攣してた。

 礼をして、壇上を降りる。
 そこで、次の試合のためにパイプ椅子に座って待機していた纏と、鉢合わせた。

 いつも通りの、無表情だった。

「てん」

 反応はなかった。
 しかし天寺は安心しきった顔でアゴを少し整えて、

「頼んだ」

 その横を通り過ぎていった。
 その背中を、遥は天寺に肩を貸しながら振り返った。

 纏は、静かに拳を固めていた。
 その背中からは、熱い蒸気が上がってるように、見えた。
 彼も――猛ることが、あるんだろうか?





 準決勝第2試合が始まろうとしていた。

 Cブロックからは、橘纏が上がってきた。
 Dブロックからはシードの、海宮慎二が上がってきた。

 今回の慎二も、勝利至上主義の名に恥じない戦いを演じてきた。
 相手のバランスを崩す絶妙な間の外し方で力を出させず、順当に勝ちあがってきていた。

 ハイライトは3回戦だった。
 対戦相手は津田良平(つだ りょうへい)という――なんと現、長崎県大会準優勝者という猛者(もさ)だった。
 彼は、纏を倒すために――長崎県から追ってきて、この大会に参加した男だった。
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