ウィリーvsマーチン 熊殺しと大鷲,身長190越の怪獣戦争!英国否極真史上最強の闘いは武と野獣の共演だった！
熊殺し
ウィリーウィリアムス。
熊殺しという凄まじい異名を誇り、事実として全長2メートル45センチ、体重320キロを超えるという灰色グマと想像を超えた凄まじい頭の末に打ち倒したとされ、さらにはレスリング界のレジェンドともいえる燃える闘魂アントニオ猪木と異種格闘技戦を繰り広げ、リングスにも参戦。
その本来の戦いの舞台ともいえる極真空手において、第二回世界大会では緒戦から3連続の1本勝ち、それも膝蹴りからの上段廻し蹴り、足払いからのフェイントでの上段回し蹴り、接近してくる相手のその太ももに膝蹴りを入れてもKOという、すべて違う流れ、技を経ての、あまりにも余力を残した勝利。
そして迎えた5回戦では全日本王者である佐藤俊和を相手に、膝蹴り、そして延長で大山倍達も戦慄したというした突き10連打でその肋骨を4本破壊したという、あんまりにもあまりに凄まじい惨劇を見せつけている。
身長196センチ体重100キロとは到底思えない軽快なフットワーク、上中下のバラエティに飛んだ蹴り、鉄の如き打たれず強さ、そしてありとあらゆる時代、格闘技のジャンルすら超えて全てを破壊するようなそのパンチ力は、まず間違いなく極真史上最強の1人に数えられるべき実力を誇っていたといえる。
大鷲
チャールズマーチン。
現在とは違い、海外では下段廻し蹴りというものを、その蹴り方及び対処法というものを伝えられ、教えられていなかったという第一回世界大会当時において、さらには現代よりも肉体的年齢が表面化しやすかったといえるその時代において32歳という年齢にして185センチ120キロを誇るというイスラエルのギドンを後ろ回し蹴りにより吹き飛ばし、失神KOに持ち込んで会場を戦慄させ、さらにはジェット機ボーイといわれていた天才児、東谷巧をほぼ一方的に追い込み、そのあまりの技術力が高さで武の極みを見せつけ、来たる第5回全日本大会王者盧山初雄との準々決勝では、身長190センチ体重107キロというある意味ではウィリーウィリアムスすら上回るといえる体格にして、天空に舞い上がりその下段廻し蹴りを避けるという信じられないような所業でそこからの正拳突きの連発で本戦2対0とあと1本まで追い込んだという。
もしその第一回大会の開催が早ければ──いやそうでなくても当時下段廻し蹴りを知っており、その対策法を確立、逆に下段回し蹴りを武器としていたなら、そうでなくても天秤は傾きかけていたという、その武道精神、天を中心として円を描く理想的な体捌き、恐るべき破壊力を見せる上段蹴りと、天からがたれる鉄槌のこと正拳突きはまさに1つの空手家としての完成形ともいえる、間違いなく極真史上最強に挙げられるべき武道家。
そんな2人が、あい見えた瞬間。
同じアメリカの、正しくドリームマッチともいえる戦い。
怪獣戦争
周りで道場生たちが正座して見つめ、後方では吊るされたサンドバッグが確認できる中、まずはウィリーウィリアムスの左上段回し蹴り。
それをチャールズマーチンが紙一重で外した次の瞬間、閃光のような鋭さを伴って、右正拳突きで飛び込む。
信じられん、ほんとに107キロなんて想像だにできないほどのスピード。
さらにその右手を残し、右足で崩し、左手で押さえて左上段回し蹴りにつなげる。
1つの攻撃側に、3、4の動き、止めにつながっている。
さらにガードが空いた隙間を狙って右正拳突きが肘をくぐり抜けて脇腹に突き刺さり、そしてほぼ同時に右の足払いが繰り出され、さらに左をギリギリで止め、さらに右正拳突きが胸元へ！
さらに次の瞬間には再び足払いが狙われており、それをギリギリでウィリーが避けたところに後ろ回し蹴りの追撃、それが届かないと見るや肩をつかんで一緒に転倒し、上を取る。
……いや凄くない？
改めてじっくり見ると、チャールズマーチンの動きって全てが連動、さらには1つの動きに3つ位の意味が付与されていて、あまりにも全てがほぼ同時って位連続してて、手がつけられなくない？
今度はウィリーが右の整形付に行くが、それを飛び上がって躱し、引き込もうとし、さらに上下に飛び跳ねリズムを取り、足払いを足を浮かして外し、その足が床をつかむや否や右手を振りかぶり正拳突き！
それが胸元を襲いながらもウィリーも内股で再び足払いを狙い、それチャールズマーチンは左中段回し蹴り。
ウィリーがその上背を生かし上から振りかぶっての正拳突き放つが、それをチャールズマーチンが肩で外し、左右正拳突きの内側をとって左右正拳突きでカウンター。
そして左でフェイントしておいての振りかぶってのものすごい正拳突き！
ウィリーの正拳突きをやはり肩で外し、チャールズマーチンの右の下突きがボディーを捉える。
前手争い。
拳を避けたり捌くのではなく拳で捌き、逆に切ろうとするのが、まるで日本刀のつばぜり合いからのそれのよう。
あのウィリーの野獣のような攻撃をほとんど肩、体捌きだけで外しており、そのため非常に近いところで反撃、倍の破壊力をぶち込むことができる。
しかしそれだけの武の極致を見せつけられても、野獣の咆哮、気迫で打ち込み続けたウィリーもまた凄まじいの一語。
時間としては非常に短く、やりとりとしては決して多いとはいえなかったものの、そこの中に見受けられたものは非常に多く、この2人の実力、技術論を恐るべき、それをまざまざと見せつけられたといえるだろう。
そしてそれに恐れおののくだけではなく、謙虚に探求し、研究し、後に生かすことが、我々に与えられた課題といえるのかもしれない。
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