吾孫子功二 未完の大器と嘱望されベスト8の壁越えられなかった力が花開いた第7回世界大会の輝き!

2024年4月9日

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未完の大器

身長186センチ体重102キロと言う非常に恵まれた体格、日本人離れしたパワーを持ち、当初その将来を嘱望され、しかし十分な実力を発揮できずにいると考えられ、"未完の大器"と言われていた空手家である。

そんな吾孫子功二は第11回全日本ウェイト制空手道選手権大会の重量級にエントリーし、4回戦まで勝ち上がり、第5回世界大会でイギリスの黒豹と呼ばれたマイケル・トンプソンに勝利し、例し割り世界記録31枚を保持している、阿部清文と対戦。

強烈なパンチで攻めかかってくる阿部清文に対して、落ち着いて対処し、強烈なパンチからの中段膝、そこからの上段膝蹴りを顎にぶち当て、前歯2本へし折る技ありを奪取!

しかしその後その大会で優勝を果たす新保智の猛烈な胸パンチ、ローキックをもらい、ペースを掴めず敗退する。

続く第26回全日本空手道選手権大会では、その体格とパワーを存分に生かし、前に出続ける組み手で相手を圧倒して緒戦を突破し、さらには後に第28回全日本大会4位、第29回全日本大会7位、第1回全世界ウェイト制空手道選手権大会重量級4位に入賞する高尾正紀の腹を下突きで効かせ、膝蹴りでダメ押しして、判定勝ちを収めてしまう。

4回戦でもベテランの和田勝に競り勝ち、準々決勝進出とともに、世界大会代表の座を獲得するが、そこで後に全日本大会5度優勝、世界大会2度の準優勝を果たす数見肇の世界最強クラスの下段を浴びて、中段廻し蹴り、膝蹴りの猛攻を喰らい、破れることになった。

第6回世界大会からの活躍

そして迎えた第6回世界大会、2回戦、スイスのピーターライアスを相手に、連打に全く同じず強烈な膝蹴りを打ち込み、その後右下段廻し蹴り一発で1本勝ち!

快調な滑り出しをし、さらには第7回全世界空手道選手権大会で前世界王者"空手革命児"塚本徳臣を破り準優勝を果たすムザファバカックに、猛烈な左右のパンチを浴びながらもまるで気にしていないかのような前進してのパンチ右ローキックで追い込み、再延長3対0で優勢勝ち。

5回戦ではその圧倒的な突進力で第8回全世界大会優勝の鈴木国博を追い詰めることになる、オーストラリアのマラデンペキックに、その素早い前蹴りを躱しながら、一瞬の隙をついての右の下段、カウンター、奥足への右の下段廻し蹴りに連打で技ありを奪い、さらに前蹴り三連打の3発目を選んでの、合わせの下段廻し蹴りで見事なまでの1本勝ちを奪う。

準々決勝、そこで立ちはだかるは"野武士"の異名を持つ、凄まじいまでの握力、パンチ力を誇る、鈴木国博。

戦いはやはりというか鈴木国博が得意とする超接近戦となり、お互いの胸のパンチ、鈴木国博の下段廻し蹴りに対しての吾孫子功二の膝蹴りと言う構図になる。

しかしその中から鈴木国博の強烈無比の下突きがボディーに食い込み、そこから下段、中段廻し蹴りにつなげられる。

あの吾孫子功二が、徐々に下がっていく。

それほどまでの、それほどまでの鈴木国博の、圧力だと言うことか。

延長いもつれるが、ポジション取り、パンチ力、それによるボディーのダメージの差がついてしまい、判定4対0で敗れ、最終結果は8位と言うことになった。

続いて吾孫子功二は第28回全日本空手道選手権大会にエントリー。

初戦をカリニン・アレクサンドロヴィッチに下段を蹴ってからの変則上段回し蹴りで倒し、3回戦で、中量級の体格にして第24回全日本空手道選手権大会で、圧倒的な打たれ強さを誇る岩崎達也に、後ろ回し蹴りの一瞬の隙をついての突きで効かせて勝利してのベスト8入賞を果たしている、小川俊一と対戦。

下突き、膝蹴りで詰め込んでいくが、小川俊一は動じず、延長へ。

そこで小川俊一は完全に膝蹴り対策を確立し、右左に周り下段回し蹴りを連打、再延長で一発の左中段廻し蹴りでやや効いたように見られ、そこでラッシュを仕掛け3対0の判定勝利。

4回戦では蹴りの名手佐伯康徳と対し、回り込みからの下段を浴びて、上段前蹴りをまともに食らい、出血。

延長、昼間距離から蹴りを貰い続け、動き続ける佐伯健徳をとらえきれず、再延長でも前に続けるが体重判定でここで敗れることになった。

さらに吾孫子功二は1997年4月26、27日に行われた、第14回全日本ウェイト制空手道選手権大会の重量級に出場。

準々決勝まで進出し、そこで飛び技、特に胴廻し回転蹴りを得意とする飯泉俊明と対戦し、早速の胴廻し回転蹴り。

それを冷静にさばき、膝蹴り、膝蹴りで押し込み、右の下段廻し蹴りを効かせ、さらに一瞬の胴廻し回転蹴りも見切り押し勝ち。

準決勝では第6回世界大会4位の村瀬剛史と対戦し、延長にて強烈無比の左の胸への突き、上段膝蹴りを見せつけ勝ち上がり決勝へ。

そこで立ち塞がるは"強いムーミン"逢坂祐一郎。

重量級の重鎮ともいえる、この後体重別の世界大会であるワールドカップ出場を控える男との戦いは、その強烈なパンチ、膝蹴り、さらには下段の連打にさらされ、間合いを制せられ、自分の組み手ができず、振り回され、最終結果準優勝と言うことになる。

さらに同年12月20日、21日に行われた、第29回全日本空手道選手権大会では、2回戦でベテランの和田勝相手に、膝蹴りからの左上段廻し蹴りで失神一本勝ちを奪い、準々決勝に進出。

そこで待ち受けていたのは、第6回世界大会以来の、そしてその大会で準優勝果たしていた、鈴木国博。

空手革命児、そしてその当時天下無双、平成の宮本武蔵と呼ばれていた塚本徳臣と双璧をなすと呼ばれていた男との対決は、まずは吾孫子功二が下突き下突き、鈴木国博が下段回し蹴り。

自分から積極的に、スピーディーに前に出て、前回の印象を払拭しようとしているかのようだった。

しかし鈴木国博の左の内股下段が効いたような素振りが見られ、そこから下突きに繋げられ、胸へのパンチ、ダッシュで反撃しようとするが、足を崩され、飛び膝蹴りも届かない。

延長で左の膝、そこへのダメージが顕著となり、堪えなくなり、場外に出され、気持ちは前に出ようと、咆哮するが、やはりその壁を乗り越えることはできなかった。

迎えた第30回全日本空手道選手権大会。

変則上段回し蹴り、マッハ蹴りを使う柏木信弘との戦いでそれをまともにもらい、さらに上段前蹴りも喰らい、鼻血を出し、のけぞる場面も見られ苦戦するが、再延長線ではその持ち前のパワーを生かしたパンチラッシュで押し込み、5対0の判定勝利を奪う。

「最近になって自分の中でやるべきことが見えてきた。

もう迷いはありません」

その言葉を胸に、準々決勝に向かうが、そこで立ち塞がったのはあまりにも、あまりにも巨大な壁だった。

第6回世界大会3位、第29回全日本大会3位、第1回空手ワールドカップ軽量級優勝、軽量級の枠を超えたあまりにも規格外の実力を持つ"人間風車"谷川光。

軽快な動きの谷川光に、吾孫子功二は詰めていこうとするが、その出鼻にローキックのつるべ打ち。

パンチの連打をみまおおとするが捉えきれず、蹴りを躱され、その鮮やかすぎる出入りについていけない。

そして終了間際には風車戦法炸裂。

延長では膝で押し込もうとするが、それも反応され、風車が回り、再延長でもとらえることができず、やはり準々決勝の壁を越えることはできなかった。

そして迎えた第7回全世界空手道選手権大会。

第7回世界大会の開花

膝蹴り、上段回し蹴り、上段膝蹴りで圧倒して初戦を突破し、3回戦で大変な相手と対戦。

第2回空手ワールドカップで、初の外国人重量級世界王者となり、次の第3回空手ワールドカップではあの塚本徳臣の胸骨をへし折る地上最強の拳と呼ばれた、"シベリアの皇帝"テニス・グリゴリエフ。

吾孫子功二は積極的に前に出て、胸へのパンチを喰らいながらも前蹴りを放ち、そして飛び込んで放たれた右、左の正拳突きに合わせて、あまりにも鮮やかな左の上段廻し蹴りのカウンター!

デニスグリゴリエフは脳が揺さぶられ、一瞬意識が飛んだのか、半回転し、白目をむき、技ありをダッシュ。

後の戦績を考えると、ここで1つ日本の最大の脅威の1つを止めたと言う功績が挙げられると言えるだろう。

そして準々決勝。

そこで立ちふさがるは3度目の戦いとなる、鈴木国博。

この戦いの前、誰もが思ったであろう。

鈴木国博が勝利し、そして前王者塚本徳臣がまさかの敗北を消した今、そのまま優勝するのではないかと。

そんな中吾孫子功二はいきなり攻め込まず、もうすでに冷静に間合いを図り、今まで見られなかった中段、上段前蹴りを連打。

鈴木国博のパンチを無理をせず下がって受け流し、内股下段を流し、回りながらのローキック。

鈴木国博の膝蹴りを受けて下がったかと思えば、前蹴りのカウンター。

そして左中段廻し蹴り、連打、その後上段に変化、前蹴り。

以前は見られなかった、見事なまでの中間距離での蹴りのコンビネーション。

さらに回り込みながらのパンチ、接近しても無理をせず待ってみたり、膝蹴り前蹴りを組み合わせたり、今までと全く違う姿を見せつける。

再延長となり、パンチを受けながらも貰いっぱなしにならず、下りながらの左上段廻し蹴り、さらに中段前蹴りのストッピング、動きはとどまることを知らず、さらに左上段廻し蹴り、パンチは確かに効いているが、下段回し、下がらずパンチパンチパンチ、膝蹴り膝蹴り。

あの鈴木国博相手に、一歩も引けを取らない。

覚悟を感じる。

膝蹴り、そして塚本徳臣のような飛び膝蹴り、鮮やか、試し割り判定となり、16枚対17枚で、1枚差を以てついに吾孫子功二が準々決勝の壁を破り、準決勝へ。

そこで待っていたのは、達人的な足払いを持つ男、岡本徹。

まずはローキック、前蹴りを放っていくが、岡本徹は冷静に左右の下段廻し蹴り。

そして追撃の胸へのパンチを見て、気づいてしまう。

吾孫子功二はもはや鈴木国博との戦いで、取り返しのつかないほどのダメージを負ってしまっている。

飛び込んでさゆのパンチ連打、前蹴りでカウンターを取り、回り込むが、岡本徹のスピードにして安定感のある下段廻し蹴りをさばききれない中、上段廻し蹴りを放ち、膝で飛び込み、本戦終了。

判定3対0、岡本徹の優勢勝ち。

世界大会の準決勝、果たして本戦で決まるほどの差がそこにはあったのか。

見る限りでは、吾孫子功二は自らの持ち味を十分に生かしていたと思えた。

それを聞かれたときの、吾孫子功二の表情が非常に苦々しいものだった。

その胸中に渦巻くものは一体何か。

そこで足を引きずり、後のことを岡本徹に託し、吾孫子功二は第7回世界大会を4位と言う堂々たる結果を残し、壇上を去った。

まさしく彼こそが、大山倍達が著書にて常々、早熟の天才ではなく、長い時間をかけて努力を重ねて、その素質を花開かせ、人はむしろ後者に拍手するのではないかと語っていた、大器晩成を成し遂げた名選手であると考える。

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