畑山隆則vs朴宰佑 天才レフトクロスで解説に「これはちょっと早過ぎる」と叫ばせる!
畑山隆則
日本のボクシング史上において、ある種最も高名な、そしてあまりにも高いセンスを見せつけたボクサーの1人とも言えるかもしれない。
16歳の夏、テレビで見た辰吉丈一郎の試合に刺激を受け、自分と同じような不良でも世界一になれると、高校中退して、プロボクサーを目指して上京
名トレーナー柳和龍と出会い、二人三脚で練習を重ねていき、東日本新人王及び全日本新人王を獲得。
そのキャリアのほとんどをKOで積み重ねていき、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座3度防衛、日本スーパーフェザー級王座獲得、WBAスーパーフェザー級を一度、WBA世界ライト級王座を2度防衛と言う、輝かしい成績を残すことになる。
そんな彼の試合の中で今回取り上げさせていただきたいのが、1995年7月17日に行われた、朴宰佑戦だ。
その時畑山隆則は12勝10KO無敗、日本ジュニアライト級2位につけており、大変に勢いに乗っている時期であり、そのきっちりと分けられ、整えられ、さらには後ろで結ばれた茶色の髪と、キラキラ輝くガウン、さらに試合前に受けたインタビューで「放送ではとても言えないような物騒な言葉」で語ったという自信が、その時の彼の状態を表しているかのようだった、わからないですけど(笑
対する朴は韓国ジュニアライト級4位、10勝5KO2敗1分、この時国内で畑山隆則の試合の相手をしてくれるボクサーと言うのはおらず、これで4試合連続の外国人との戦いという話だった。
試合前体を動かす畑山隆則のその瞳、そこには一種の狂気、笑顔にも、ある種の恐ろしさがにじみ出ているように感じられた。
睨み付ける朴に対して、畑山隆則はどこを見ていると言うこともなく、ただただ自ら、そこに集中力を高めている様子が見てとれるようだった。
vs朴宰佑戦
第1ラウンド、静かにグローブを合わせ、そしてサークリング、恐ろしいまでの静かな始まりから、いきなりの左フック。
そして静かに構えて、オーバーハンドの右。
重い。
いきなり狙ってきた。
そして完全にノーガードで腰のあたりに両手を据えての、鮮やかなサイドステップ。
そして飛び込むような左フック。
この時点で非常に異質なボクサーだということが伝わってくる。
両手を叩いての左ジャブ、さらに猫だましからの左ジャブ、とらえどころがない、出たり入ったり、体をひねったり、まるでモハメドアリのようだ。
朴がパンチを打とうという体制を見計らって、左フックを合わせる、カウンターよりも早いカウンター。
見たところ左のフック、それが自信があり、狙っているような印象がある。
かと思えばいきなりの右ストレート、全てがフェイントであり、全てが本命のような、そのような不気味さがある。
静まりかえる会場、こんな雰囲気はある種初めてかもしれない。
それに対して朴も、石のように固そうな右のオーバーフックで反撃。
当たるたびガードの上からでもゴツゴツと固い音が響く。
しかし小さな左のダブルを払った、その二発目を狙っての鮮やかな左フックのカウンター。
そこからアッパー、左フック、速い、そして非常に的確。
まだ1分半しか経っていないと言うのが信じられない。
チョッピングライトを狙っての、左フックのカウンター。
恐ろしいまでの当て感。
常に動き、常に頭を振り続ける。
飛ばされたその動きすら、次の一手に変える。
頭がつくほどの接近戦でも、ショートアッパー、ショートフック、そのコンビネーション、ガードの隙間を突く技術がすばらしい。
そのままボディの叩き合いで、コーナーに押し込まれ――もしかしたら引き込み、1ラウンド終了。
この卓越さで、19歳というのはまさしく恐るべきと言えるだろう。
超衝撃のクロスカウンター
8連続KOなるかという解説に背中を押されるように、リングから飛び出し、駆け足で第2ラウンド開始。
こんな始まり方するボクサー初めて見た!
対角線にいる朴目掛けて一直線、そこに朴はカウンターの右フックを合わせるが、それをガードして、返ってきた左フックに合わせてのあまりに鮮やかな左フックでの、レフトクロス!
言葉を失った、そして叫んだ。
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやあり得ねー!
倒れた朴はうつろな表情で両足をぴんと伸ばし、肘を曲げた状態で動かず、こう言ってはなんだが、まるで死んでしまったかのようだった。
実況の一言、
「これはちょっと早すぎる!」
終わった後の畑山隆則の表情が余裕すぎる。
なんだこの人――
レベルが違うっていうか、化け物なのかな?
なんかちょっと行って、パチンとやって倒したみたいな……。
当たった瞬間朴はのけぞり、しかしあまりにも的確に顔面だけとらえたために体はその左フックの勢いで回転し、その首だけが置き去りになり、いびつな体となり、そのままの勢いでロープに体が叩きつけられ、弾き飛ばされるようマットに着地。
顎を打ちつけ、頭を打ちつけ、ある意味悲惨な倒れ方となったが、それにしてもそれにしてもそれにしてもな一撃だった。
それこそ本当に、交通事故のような……。
あまりにもあまりにも、ショッキングな映像。
そしてそれを涼しい顔で、当たり前のようにやってのける、その精神力。
なるほど確かにこれだけの実力があれば、天才だと、騒がれているのも、有名なのもうなずけると言う話だ。
倒した直後にトレーナーとにこやかに語っていて、一瞥もしないと言うのもその異質さに拍車がかかっている。
さらに一説よると「この後の決まった相手は誰でも倒す。いつでもうちのジムに電話をかけてくれ」という名言も飛び出したという話もあるという。
恐るべし、そしてこれから知るべき、日本が誇る凄まじいボクサーと言えるだろう。
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