薬屋のひとりごと 激情を持たぬ二人の積極的ではない世界の謎解き

2024年4月9日

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一線を画すミステリー

現在圧倒的な人気を誇っており、発行部数も何万冊を超えて、2つの漫画化も大成功を収めている。

この漫画は、今までのようなものとはまた一線を画している。

通常はこういう謎解きというかミステリーものは、主人公がまず違和感に気づき、積極的に関わり、中心となってその違和感を取り除こうと、事件の犯人に気づき、追求していき、追い詰め、自供させて、解決に導く、大体がそういう設定になっていることが多い。

しかしこの作品よ主人公猫猫は、そういう事は一切ない。

彼女の目的はただ1点、毒の研究、薬の研究、そして毒の摂取、それだけだ。

毒の摂取といっても、死にたいわけではない、自殺を求めているわけではない。

本当に純粋な好奇心。

毒と言うものそのものに魅力を感じていて、それを追求し、それを研究して、摂取するしびれやそういったものを嗜好している、有り体に言ってしまえば変態おっと失礼、変人なのだ。

大体が最初の設定がすごい。

女の園―後宮での人物相関図

人さらいに拐されて、皇帝が囲う女の園、後宮で働かされている。

しかもその以前も、女性を斡旋する館で、借金を返す日々。

非常にヘビー、だけど彼女はそんなことどこ吹く風だ。

そしてその類稀な洞察力、観察力、そして蓄えられた知識によって、違和感に気づき、そして細い線をたどって真実にたどり着く。

だけど彼女はそれを積極的に関わろうと、いや解決しようとはしない。

だけど命に関わっているときは、最低限それを避けて通れるような、そういう道筋を示したいと思えるような、そういったまともな人間だ。

渇いた感覚が現代の縮図と重なる

そんな彼女が、絶世の美女にも見えるような謎多き宦官壬氏に目をつけられ、しかし彼女自身がそういった容姿に全く興味がないことから他の人間とは違う反応したところから興味を持たれ、そこから様々な問題を彼女に投げかけていくところから物語が転がっていく。

その謎と言うものも一つ一つが、大掛かりな細工や、ややこしい人間関係のもつれなどはあまり盛り込まれていない。

そして最初述べたように肝心の猫猫も、積極的に関わりたいとか、目立ちたいとか、そういった気持ちは持っていない。

だからこそ、読んでいるこちらとの熱量にかなり近いものというか、有り体に言ってしまえば感情移入して読むことができて、気づけばその世界観にどっぷりとハマっている。

我々の世界とは違う、古城中国の、皇帝が絶対的権力を持っていて、たくさんの女性――玉葉妃や梨花妃に里樹妃、阿多妃に楼蘭妃などの美姫を囲って、口出すために、その中で様々な争いや、牽制や、もしくは仲間意識や、そういったものがある中で、人々はどのような思いで生きていて、そして訪れるそこの中ならではの謎が、どのような形で解き明かされていき、そして猫猫は一体どういう風にして生きていくのか?

それを取り巻く様々なキャラクターたちは、一体どのような形で彼女や、人事に関わっていくのか?

目的や、ゴールや、その果てが見えないこの物語は、一体どのような終着点を見せるのか?

一切何にも執着を見せないように見えるこの2人の中心人物たちに、果たして心境の変化があるのか?

そして、彼らは、幸せになれるのか?

まるでドキュメンタリーを見せられているような、そんなじんわりと胸に染み込んでくるような、それが多少不快なような、だけどとてものめり込ませるような麻薬のような、そんな中毒性がこの作品にはあると考えている。

知識欲、人間模様、ミステリー、群像劇、心理戦、全てが盛り込まれた、だけど突出して華々しいものではない、まるでお正月に食べる、焼きたてではないけれど味が染み込んだおせちのような作品。

未完の作品だが、だからこそその刹那の味わいは深く、この先どのような変化が訪れるか、私は心の底から楽しみにしている。

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