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ⅩⅩⅦ/王との問答①

2020年10月8日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 王の前に揃う敵の数は、正確には13。
 おあつらえ向きに、不吉な数が残ってやがる。
 体力も限界に近く手傷も負った現在では絶望的に厳しい数字だ。

 そしてなによりの問題は、目の前でピンピンしてる槍斧(ハルバート)を構えた隊長格の男だった。

 こいつは強い。
 もうダントツに強い。
 それが一度の手合い――よりも前に会った瞬間に、直感的に感じられた。

 だいたいあの超重武器である槍斧(ハルバート)を扱える時点で、まず常人ではありえない膂力だ。
 それに加えて巨躯、そしてあの突きのスピード、恐ろしいまでの冷静さ。

 まだ万全ならなんとかなるかもしれないが、この状況なら自殺行為に近い。
 愛剣も先はへし折れてるし。

 だが、やらないという選択肢はなかった。

「邪魔、だこらァ!!」

 愛剣を振りかぶり、叩きつける。
 しかし男は造作もなく、槍斧(ハルバート)の腹で受け止める。

 それも、片手で。

 こっちァそれだけで今まで生き残ってきたっていうのに、まったくアイデンティティーを破壊してくれる。

「まだやるか、首斬り公?」

 今度は斧の部分が、振り下ろされる。
 次は逆にこちらが、剣の刃部分で受け止める。

 しかしあまりの重さに、膝をつく。
 やはり強く、そしてこちらの体力は残っていない。

 まず勝てない、と直感した。
 その途端、死が脳裏を駆けた。

「ッ……ンのやろう!」

 気合いで、押しのける。
 そして打ち合いは諦め、刺突を繰り出す。

 先が砕けたそれで、首を狙う。

 それを男は、受けなかった。
 ただつまらなそうに首を捻って躱し、近い間合いで槍斧(ハルバート)を使わず拳――ガントレットでこちらの腹を、殴ってきた。

 折れたアバラが、砕けるのを感じた。

「カッ!? ハッ、く、あああ……ッ!」

 膝をつく。
 身体が真っ二つに引き裂かれたような衝撃だった。
 さらに喉の奥から、なにかが込み上げてきて――吐き出した。

「ゴァっ!」

 真っ赤な、血の塊だった。
 内臓をやられたのかもしれない。

 そこに槍部分の穂先が、振り下ろされる。

「ぐ、ぇえ……っ!」

 血を吐き散らしながら、前のめりに転がってそれを回避する。
 もう恰好も糞もない。
 ただただただただ死なないために、必死だった。





「あ"……あ、ぁああ……!」

 そして前のめりで、剣を構える。
 ただただただただ、殺すために必死だった。

 他の兵は、突っかけては来なかった。
 おそらくは隊長であろうこの男に、全幅の信頼を置いているのだろう。
 助かるが、実際は助かっても何でもないだろう。

「そんなに、俺の首が欲しいか?」

「欲しか、ねぇよ……オレが欲しいのは、そこのそいつの、首だ……」

 指さす。
 壇上の上を。

 その言葉に、隊長格の男は表情を厳しくする。

「――身の程を知らぬ言葉だな。王に……とは、言葉にするのも憚れる暴言だ」

 ひときわ鋭く、斧が振るわれる。
 それを体勢を崩しながら、受ける。
 それにより吹き飛ぶが、アバラにかかる負担を少しでも軽くする。

 しようとした。

 全然ダメだった。

「――――!!」

 べこん、と腹がへこんだような錯覚すら覚えた。
 どうしようもなく飛んだ先で、うずくまる。
 その際足も大いに擦り剥く。
 血の道が、出来ていた。

 それでもなお、剣を杖にして、立ち上がる。

「ぐっ!?」

 湧き上がる嘔吐感を堪え切れず、口から――血の塊が、吐き出された。
 まるで、魂が零れていくような感覚だった。
 力が、流れていくような。

「惨めだな」

「……っせぇよ」

 エリオムに言われたが、しかしンなことはわかっていた。
 だけどそれでも、立ち上がるしかなかった。それしか、出来なかった。
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