本物デンプシーロール!長谷川穂積最初の防衛で炸裂した誇りを懸けた連打!!

2024年4月9日

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長谷川穂積vsヘラルド・マルチネス

言わずもがなWBCの世界タイトル3階級制覇。

その中バンタム級では5年間王座に君臨し、10度の防衛、4度の年間MVPを受賞した、間違いのない日本のエースであった伝説的なボクサー。

当ブログでも二度、1度目はその引退試合vsウーゴ・ルイスとの激闘で巻き起こった、感動感激の実写版デンプシーロール、そして2度目はあのタイの英雄ウィラポン・ナコンルアンプロモーションとの再戦で炸裂した、神技とも言えるクリスクロスを紹介、解説させていただいた。

まさに彼にしかできないとも言える必殺技を送り出してきた長谷川穂積の3度目に取り上げさせていただきたい試合というのが、2005年9月25日、横浜アリーナで行われた、WBC世界バンタム級初防衛戦、VSヘラルド・マルチネスとの戦いだ。

三度世界のベルトを手にした天才、辰吉丈一郎の奪われたベルトを、45戦無敗の王者ウィラポンから取り返した男として、長谷川穂積はWBC世界バンタム級8位、34戦27勝20KO5敗2分という74%という高いKO率を誇る、メキシカンボクサー、ヘラルドマルチネスを迎えると言う構図となっていた。

個人的にはこのマルチネスと言う名前が、はじめの一歩好きとしては劇中最強の絶対王者リカルドマルチネスを彷仏とさせるので、色々想うところがあったりする(笑)

20戦18勝5KO2敗、24歳。

この時点での長谷川穂積のKO率は決して高いとは言えないものだった。

長谷川穂積が初めて戦うラテンアメリカンボクサーという言葉も、一抹の不安を抱かせるには充分と言えたかもしれない。

そして試合開始。

まずは慎重に中央に陣取って、お互い軽いジャブと思ったら、いきなり交錯する左と左。

お互いやる気満々と言うことか。

あえてマルチネスと呼ばせてもらうが、マルチネスの方からぐんぐん前に出て、好戦的に仕掛けているようだった。

ワンツーワンツーワンツー。

それに長谷川穂積も返す。

しかし右ストレート打ち込まれて、それに大きい左右のフックを返す。

これが強烈で、マルチネスはやや面食らった様子だった。

そしてこの動き、間違いなく見覚えがある…

牽制。

非常にテクニカルの間合いの計りあい。

しかし長谷川穂積のパンチの方が伸びていて、着弾する。

この防衛戦のおよそ10日前に突然サウスポーからオーソドックスに相手が変わったとは思えない対応。

そして1ラウンド終了間際、相手の左ジャブに合わせた右フック――というか木村達也のドラゴンフィッシュブローのような一撃がクロスカウンターとなり、ダメージを与える!

そして第二ラウンド。

やはり間合いの計り合いとなり、お互いフェイントの応酬となり、ほとんど手が出ず、これはなかなか勝負が長引くかと思った、その時。

打つ前を狙ったカウンター

マルチネスが行くぞと下半身に力を込めた瞬間、その顔面めがけて左が放たれ、そしてそのままマルチネスは膝から崩れ落ちた。

あんまりにも鮮やかすぎるカウンター。

こんな神業見たことない…

さらに体重を後足にかけて、待ち構えての体重を乗せたジョルトの連続。

まるで獲物を狩る獣だ。

さらに試合終了間際、懐に飛び込んできたところに左を合わせてそのまま千鳥足で地をはわせるが、試合開始直後と合わせて両方ともスリップと判断されてしまう。

今のはダウンだろうと言う解説の言葉が響き渡る。

…裏取引とかしてないよな?

そして3ラウンド、やはり30秒ほど動きがないと思っていたら、マルチネスが前に出たところ左ストレートで牽制し、放たれた左にかぶせての右のクロスカウンター!!

あなたは神か!?

ついについについについについに初ダウン!

しかしマルチネスもまた、やぶれかぶれ気味に見える右ストレートをかぶせてくる。

これは怖い、全然壱発あるぞ。

まるで剣豪同士の立ち会いのようだ。

4、5ラウンドはボディボディボディと攻めていき、ダメージとともにスタミナも奪っていくが、マルチネスもそれに対応して前にプレッシャーをかけて、右の一撃にかけているようだった。

間合いが近くなる。

6ラウンド終了、それと同時に横浜アリーナに陣営からジェット風船が打ち上げられる。

その数はなんと驚くべきことに1000個。

ここから一気にKOまで行ってくれと言う願いがあるのかという話。

そんな願いをかけられてるかもしれない7ラウンド。

開始直後、中央にて、右かかと、左かかとはね上げ、まるでエンジンを蒸す前のF1カーやジェット機のような仕草だなぁと思っていたところ、足を下ろして直後、右でガードを振り払っての、左ストレートがまるで大砲のようにマルチネスの顎を撃ち抜く。

…言葉がない。

神がかっている。

そして再開直後に、マンツーで踏み込み、間合いを図り、マルチネスの右ストレートを躱し、ドラゴンフィッシュブローを返し、そして組みつかれての接近戦から左フックで頭を下げさせ、体が起きたところを右で間合いとタイミングを計っての、左ストレートで再び打ち抜く。

しかしマルチネスの荒い動きでロープに押し付けられるが、そこで逃げず、力強い左フック左フック、それにコンパクトな左右フック3連打――

じゃない!

何発撃ってんだ!?

衝撃驚愕の、一瞬にしての14連打!

たまらず離れたところを追いかけ、左フック右ジャブ右ジャブ、そして再び左踵を上げ、

ギアを上げ、

ワンツーでロープに押し付け、リング中央、ワンツーでコーナーまで吹き飛ばし、左左右左でダウン!

まさになぎ倒した!

残り1分、

長谷川穂積が襲いかかるが、そこにマルチネスも決死の大振りの左右フック。

ここで間違えれば、逆転KOもあり得る。

これだけダウンさせて、ダメージがあるのならば、いちど立て直すのも手としてありだ。

デンプシーロールの原型

しかし長谷川穂積はそこで踏ん張り、左フックを合わせ、頭でロープに押し付けられ、そこで左右フックをまとめられるが、もらいながらも超高速の7連打で逆に押し返し――

あー、デジャブだ。

これは…

そしてリング中央まで舞い戻り、マルチネスの右、その次に来る左フックを合わせ、顎にブチ当て、そして思いっきり体を振ったその反動を利用しての右フックを後頭部へ!

続いてマルチネスの右フックにかぶせるような、さらに反動を使っての左フックが顎へ、それはマルチネスの左フックに対するカウンターとなり、一瞬遅れてマルチネスは顔を庇って、崩れ落ちる。

ノックアウト!

出た、出た、出た!

これ、最後の試合、引退試合、ウーゴルイスとの戦いで飛び出した、デンプシーロール、その原型だ!

なんてことだろう、長谷川穂積のデンプシーロールは、初防衛戦から始まり、そして最後の3階級挑戦で、完成を迎えていたと言うのか!

こんな劇的なことあるだろうか!

まさしく、事実は小説より奇なり。

しかもその最初の相手の名前が、メキシコの、リカルドマルチネス――いや間違えたヘラルドマルチネス。

個人的にはじめの一歩の幕ノ内一歩にもそのリカルドマルチネスに、このような形でデンプシーロールで倒して、世界一になってほしいので、それすらも現実の方が先に彷仏とさせてしまうと言う。

リアルはじめの一歩

しかもこの日は妻泰子さんと三度目の結婚記念日と言い、その奥さんも笑顔で、おそらくは家族とにこやかに話し、それでまぁ、なんというか、うらやましい位美人ですねはい。

来月には第二子も出産と言う、完璧すぎる、いやこれ漫画にならない位完璧すぎる1日。

インタビューでも、KOに関してはうんがよかっただけですと謙虚に答え、今日は特別な日で結婚記念日と言う言葉に泰子さんはピースで答え、うん、この絵もすごくいいですねはいなんていうかおなかいっぱいです。

一言声をかけてくださいという言葉に、

そこで初めて詰まり、

「ええーっと、お、おめでとうって言うんかな……おめでとう!」

何か照れているところも本当好印象ですねほんとほんと笑

そして最後に次の目標と聞かれても、

「そうですねとりあえずゆっくり休んで、次決められた試合をまぁ一生懸命練習して、勝てる努力して頑張るだけです」

素朴でまっすぐで謙虚で、正しく以前に取り上げた内藤大助だけではなく、彼もまた真実の意味で実写版幕ノ内一歩と言えるのではないだろうか。

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